深く色づいた紅葉、夏よりも鮮やかに見える山々の稜線。
寒い時期のライディングはいつにもましてライダーにシャープな気持ちをもたらしてくれます。
凍てつく寒さの中だからこその風景に出逢うためにも、少しでも快適なライディングアイテムを求めたいですよね。
また、通勤や通学で凍てつく朝も毎日バイクというライダーには切実な問題。
今回は筆者が実装している防寒アイテムを中心に、電熱グッズのあれこれについて考えていきます。
目次
電熱系はまず手元から
電熱系グッズの導入を考えている人も多いと思います。
カタログを見れば、だいたい15,000円~20,000円位が平均でしょうか?
グローブにジャケット、パンツやソックスまで。
他にバイクのパーツ揃えたいですし、流石に全部一気に電熱グッズを揃えるのは難しいですよね。
なので、電熱グッズも段階的にそろえたいという人が多いのではないでしょう。
では最初に「電化」するとしたら?
やっぱり、かじかんで運転操作に影響が出ないようにすること優先して手元からの導入がいいでしょうね。
筆者は写真のようにエンデュランスさんのグリップヒーターとRSタイチのe-HEATを併用して使っています。
まずはe-HEATのインプレッションからお伝えしていきますね。
RSタイチe-HEATを使ってみて
筆者の持っているのはRSタイチのe-HEAT(RST605という旧型)で、これが2本目です。
初代のe-HEATではカルシウムイオンバッテリーが使われていたんですが、これがかなりデリケートな代物。
膨らんできたり、内部のコードが断線したり、安心して使える感じがしませんでした。
バッテリーを買い替えたのに、2シーズン目にはとうとう作動しなくなったんです。
しかし、一度手にしてしまうと手放せないのが電熱グローブ。
懸案のバッテリーがしっかりしたリチウムイオン電池になったことや、価格が他社のモデルより手ごろだったことで今のRST605を購入。
何よりグローブの生地や縫製などが前のモデルに引き続きしっかりしていたことなどがリピートの決め手でした。
以来3シーズン目を迎え、ノートラブルで良く馴染んでいます。
確かに夏グローブより若干ゴツっとした感じはありますが、操作を邪魔する感じでも少なくて、すぐに慣れましたので問題にはなりません。
指先までヒーターが入っているのでちょうどいい暖かさです。
さらに防水透湿機能があるので、文字通り雨風に耐え、結構頼りがいがを感じます。
最近、信号待ちなどでスマホを操作することもあるのですが、
指先がこんな感じになっていて、ちゃんとスマホの画面操作ができるようになっています。
この点は現行モデルにもちゃんと受け継がれていますよ。
欲を言えばやっぱりバッテリー君にはもうちょっと長く働いてほしいですね。
新しくなったe-HEATへの期待
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※サイズはお確かめください。
電源を選択できるようになった
筆者の型ではバッテリーは最初から付属していましたが、ご紹介している現行型からは本体と電源は別売になりました。
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これは不親切なわけではなくて、状況に合わせてバッテリー給電か車体給電かの選択をできるようしたんですね。
例えば、発電量・バッテリー容量の少ない原付~125㏄クラスや旧車などはバッテリーからの給電がいいでしょう。
また大型バイクでも、電子デバイスが満載された車種などは電気系統がシビアなので、車体給電との相性が悪いこともあります。
(コンピューターが「漏電」と判断して、エラーになることがある車種もあるんだとか…)
なので車両からの給電を考える場合にはご自分の車種との相性を、販売店の電気に詳しいメカさんとよく検討されることをお勧めします。
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3.6Ⅴだった旧型のバッテリーも、現行シリーズでは7.2V に増強。
8~10時間かかっていた充電時間も5時間でフル充電が可能になって、残量計までついています。
ただ、バッテリーの使用時間自体は以前のモデルと変わりはありません。
出力アップで同じ作動時間を確保してくれたことは拍手。
でも、温度の調整などをしながらバッテリーの延命に勤める工夫が依然必要でしょうね。
温度調節は上記のように3段階あって最長4時間なのですが、一番活躍してほしいのは冬の朝一。
どうしても「ハイパワー」に入れっぱなしという状況が多かったです。
片道1時間の通勤だったので一日の往復は持つんですが、ロングツーリングでは朝と夕の冷え込むときだけ電源を入れる等して対応していました。
しかし、2重構造で厚みのあるグローブなので、電源を切っても、日のあるうちは気温が10℃台前半までならある程度しのぐことができます。
発展性のある車体ケーブル
e-HEATの場合、車両ケーブルセットには、
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- グローブ用に2本、ジャケット側に1本、計3本つながるタイプ
- ジャケット側に一本だけつなぐタイプ
という出力側に2種類のケーブルが入っています。
まずはグローブから考えても、ゆくゆくe-HEATのベストやインナージャケットとシステムを発展できるようになっているんですね。
初期型からするとよく考えられたものだと思います。
気になるバッテリーへの負荷は?
カタログには記載がないのでRSタイチに問い合わせたところ、シリーズの消費電力は、合計3A になるのだそうです。
- グローブ単体が1A (左右で2A )。
- ウエアはジャケット、ベストは各1A。
e-HEATの車体給電ケーブルセットには、バッテリーからの電源側のケーブルにはヒューズボックスがあり、付属する2A・3A・4Aのヒューズを容量に合わせて付け替えるようになっています。
(車体側の電圧変動を考慮して、フル装備の時は余裕を持たせるために4A のヒューズを使うのだそうです。)
今回複数の量販店で電熱グッズのバッテリーへの負荷についてお話しを伺いました。
その中で、店員の皆さんがおっしゃるのは『容量もさることながら、電熱化にはバッテリーの「体力維持」が欠かせない』ということ。
電熱化を考える前に、バッテリーチェックは必須ですね。
関連記事 「バイク用バッテリーは安く上げたい!台湾ユアサ国内ユアサ違いは何?」
極寒ツーリングにはグリップヒーターが吉
電熱グローブ以外に考えたい手元の防寒と言えば、ヒートグリップの装着です。
エンデュランスの高機能グリップヒーター
先述のように筆者は電熱グローブとヒートグリップを併用しています。
バッテリー給電だと、やっぱり電池の寿命に気を遣うので、バックアップのつもりで買ってみたんですね。
しかし、低温時の高速連続走行など、走行条件が厳しければ厳しくなるほど、手元の熱源のメインはむしろ電熱グリップになります。
ちなみに写真に写っているのは、こちらの電熱グリップ。
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※ご購入の際はグリップの長さと車両との相性の確認を!
この電熱グリップは、先日カードポイントでグッズを安く購入しようという記事の中でもご紹介し、その中で実際に購入したものです。
今はXJR1300Lにこのエンデュランスの電熱グリップがついているのですが、実は前に乗っていたSRXにも着けて好印象だったので、これもまたリピートしました。
(消費電力は8~40W、単気筒の旧車の400でも大丈夫でしたよ。)
カタログ上の温度は60~85℃らしいので、出力をMAXにして素手で触ると確かに相当に熱いですね。
実際、厚めのe-HEATを付けてこのグリップを握るわけですが、かなり気温が低い中でもエンデュランスのグリップはものすごく暖かく感じますよ。
MAXにすると、ちょっと熱いくらいです。
基本的に安全装置がついていて、自動的に設定温度以上には温度を上がりすぎないようにしてくれるので安心です。
その上、電圧が基準を下回ると電熱グリップのスイッチを自動で切ってくれるので、車体に影響を及ぼすことがなく安全です。
(電圧が戻れば自動でスイッチが入ります。)
エンデュランスのグリップヒーターが他と違っていいと思うのは、やはりコントローラに電圧計がついていることです。
例えばこれはバッテリーに厳しい冬の電圧管理に役立ちますし、夏も電圧計としてコントローラーは邪魔になりません。
また、電圧計の下のコントロールボタンは、厚いe-HEATグローブをはめていても、楽に操作することができます。
これはポジドラ一押しのアイテムですね。
関連記事;「1人でできた!グリップヒーターのセルフインストールの方法とポイント」
↑こちらの記事では、MT-10SPにこのホットグリップを取り付けて、その取り付け方をご紹介しています。
すっきり派にはキジマの電熱グリップが吉。
「グリップヒーターは付けたい」けれど「ハンドル周りをゴチャつかせたくない」という方もいますよね。
既にマルチTEMPメーターを付けている人なら、電圧計の新設はいらないですよね。
すっきりスポーティーに手元の暖を取りたいということであれば、こちらがいいですね。
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※ご購入の際はグリップの長さと車体との相性のご確認を!
このキジマのスイッチ内装型グリップヒーターなら、グリップの根元にスイッチが収まっているのですっきりです。
イージケーターがぴかっと光るのもカッコいいと思います。
筆者がもしまだR1を持っていたなら、こっちを選びたいかな?
こちらもエンデュランス同様に安全装置を備えた全周電熱タイプ。
SSバイクにおススメです。
電熱グリップと電熱グローブはどっちがいいの?
これは、悩む人が多いですよね。
使ってみての結論から言うと、暖かさではグリップの方が上です。
もし、スタイリング的にOKならば、
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更にこういったハンドルウォーマーと組み合わせるのもいいと思います。
ただバッテリー的な問題もありますし、バイクを複数台持っている人ならばいちいち付け替えるのも面倒ですから、電熱グローブの方がいいかもしれませんね。
車体からの給電がOKな場合にはとりあえず電熱グローブから手に入れて、ウエアにも発展させていくのもアリですよね。
つまり、状況に合わせていただくのが一番ですが、極寒仕様ならグリップ、機動性や発展性を考えるならグローブということでしょうか?
電熱ウエアならインナーが効果的
色々なモデルがありますが、手持ちのジャケットのインナーとして電熱グッズを利用する方が、安くて効果的です。
売り切れ寸前の超人気ベスト
e―HEATシリーズではベストのタイプとインナージャケットの2種類がラインナップされています。
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毛の長いフリース地で内側も立毛。
筆者も狙っていますが、恐らく電源を入れなくても結構温かいんだと思います。
ヒーターは背中一面とお腹の当たり2面の計3か所
これならお手持ちのライディングウエアはももちろん、普段着のインナーとしても使えます。
多分、そのまま来ていても自然ですよね。
このベストも電源は別売。
バッテリー給電の場合はバッテリー2個使って最大8時間は電熱ユニットを作動させることができます。
また車体からの給電の場合は、3本に分かれたタイプのソケットを使って給電です。
このRSU600という電熱ベストですが、ものすごい人気で、バナーを貼ろうにも軒並み売り切れ。
黒と迷彩柄で在庫を持っているところが少なくてバナーも探したほどです。
残り僅かになっているようですよ!
機能と発展性がうれしい電熱インナージャケット
ベストと値段的にそう差はないので、インナージャケットもいいですよね。
☆【あす楽対応】【RS TAICHI】RSU601 eヒート インナージャケット (本体のみ) e-HEAT イーヒート 電熱 防寒 寒さ対策 RSタイチ アールエスタイチ【バイク用品】 価格:16,285円 |
RSU601という電熱インナージャケットですが、これもヒーターの位置、そしてバッテリー電扱いはベストと同じです。
でも、袖の中にグローブ用のケーブルを仕込むことができるので、ケーブルがバタつかず、スマートな脱着ができると思います。
このため、車体からの給電には1本タイプのケーブルを使うんですね。
他メーカーではジャケットの給電方式がバッテリー・車体給電のどちらかに限定されていることが多いので、こういう自由なシリーズづくりは面白いと思います。
電熱に+αで効果的なジャケ内保温
電熱ウエアの効果を少しでも上げる為のキーワードとして「空気の層をつくる」ということをまず覚えておきましょう。
「空気の層をつくる」、もっと言えば「いかに空気をたくし込むか?」ということがウエアの中の保温として大事なわけです。
今のウインターウエアはインナーとジャケット本体(アウター)を2重構造にしていることが多いですよね。
「断熱」と言ってしまうとちょっと違うんですが、これはまずインナーとアウターとの間に空気の層をつくって外気の冷たさを直接感じにくくするためのもの。
なので、その下にフリースや裏起毛のアンダーウエアなどを着れば、、繊維の間により多く空気をたくし込めるのでいいですね。
更にこの隙間にホームセンターなどで売っている保冷バックを背中などに仕込んでおくと、身体から出る熱を反射して保温力がアップします。
↑これなかなかイケますよ。(お腹のミートテックのおかげかも知れませんが…)
加えてこの下に発熱系の下着をつけたりしていれば、効果は大きいですね。
ほとんどの電熱インナーウエアは背中に熱源を持っているので、その熱を内側に留めるためにもこれは効くと思います。
写真では付けていませんが、衣料用の両面テープを使うと簡単にできるでしょうね。
ネット購入後はNAP’Sで取り付けてもらおう!
色々な商品をご紹介しましたが、ネットでの購入品取り付けに関して不安な方もおいでだと思います。
NAP’Sさんに問い合わせたところ、NAP’Sさんでのお取り扱いがある商品であれば、ネットで購入した商品の取り付け自体には応じてくださるそうです。
お取り扱いの有無、工賃その他詳しいことは、お近くのNAP’Sまでお問合せください。
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まとめ
今回の編集は期せずして難航しました。
最初はいろいろなメーカーの電熱グッズの比較記事を企画していたんです。
執筆に当たっては、ネットの情報だけでなく実際の商品に触れるために複数のお店を廻って、店員の方々にお話を伺いました。
その結果、e-HEATよりもっとしなやかな電熱グローブもありましたし、首元や胸周りにもヒーターを持っている高級電熱ジャケットにも出会いました。
できればそういったものと比較しながらご紹介したかったのですが、今回それを見送りました。
なぜかと言うと、
- 価格がとても高いこと。
- グローブ、ジャケットについては代理店に話を聞いて、高級モデルでも防水性がないため実用的な魅力を感じなかったこと。
- バッテリーからの給電が必要なモデルの電池が、筆者が以前往生したカルシウムイオンバッテリーである場合が多いこと。
- 市販のモバイルバッテリーからの給電ができるモデルについては自信をもってお勧めできるだけの情報に行き当たらなかったこと
などを取材しながら突き詰めた結果、手ごろ感と性能のバランスの良いのがタイチだったわけです。
何より自分が長く使ったものでもあったので、良さを分かっていただきたいとも思い、大半をレビューにしてしまおうと方向転換しました。
「なんだ、タイチの提灯記事かよ」なんていう方も、多分いらっしゃるだろうことは想像に易いこと。
しかし以前、割とお高めなジャケットをご紹介させていただいたときに、
「高いものが良いなんて誰にでもわかる。そんなの買うくらいなら少しでも¥をパーツに回したいよ」
というお声を複数いただきました。
今回はそういった皆様からのお声を真摯に受けとめ、「お財布射程距離内」を考慮した結果このかたちにに落ち着いたわけです。
ちなみに「あったかくバイクに乗れるならいくらでも出すよ」という方。
「着るコタツ」、ココにありますので是非見ていってください。
取材協力;アールエスタイチ大阪本店
ライコランド新横浜店
NAP’S三鷹東八店
南大沢2りんかん
皆様、本当にありがとうございました。