バイクの冷却水交換してるぅ? 意外と忘れられがちなLLC交換のススメ

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そうだ、バイクをいじろう!

暖かさを感じる日が続き、春が間近にあることを感じられるようになってきました。

コロナのこともあり、早く大手を振ってツーリングに出かけられる日が来てほしいとも思うわけですが、春を待ちわびるだけでは面白くありませんよね。

もちろん乗った方が楽しいに決まっていますが、いじっても楽しいのがバイクのいいところ。

スッキリとした気分で新しい春を迎えるために、今のうちにできる整備をしておくのも楽しいと思います。

 

これまでも、ポジドラではオーナーさんご自身がDIYで整備をすることをお勧めする記事をお届けしてきました。

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さすがに、タイヤ交換まではなかなかご自分でおやりにならないかもしれませんが、オイル交換くらいならやったことがあるという方も多いと思います。

でもでも皆さん、特に水冷バイクにお乗りの方。

LLCは交換なさってますか?

「えっ、LLCって何?」

なんて言わないでくださいね。

LLCは冷却水のことですよぉ。


LLCを交換しないとどうなるの?

LLCは新品から2年が交換時期と言われています。

そもそも「なんでLLCを交換しなきゃいけないの?」

という話なんですが、やはりLLCもエンジンの中で高温や圧力にさらされて変化というか劣化していくんですね。

これについて、ちょっと実験してみましたのでこちらをご覧ください。

白いキャップの方が新品のLLC、黄色い方が2年ちょっと使ったLLCです。

これを「せぇのっ!」で勢い良く振ると…。

古いLLCはメロンソーダみたいに泡立ってしまいました。

元々LLCの中には安定剤や消泡剤などが入っているのですが、こうした成分がどんどん劣化して冷却系の中で気泡となり、冷却効率を悪くしてしまうんですね。

ですので、エンジンを傷めないように、LLCもきっちりと管理していく必要があるわけです。

安いからオススメ!

なんて偉そうに言っておりますが、実は私もオイル交換こそまめにすれども、LLCは一度も交換しておりませんでした。

ウチのMT-10SPちゃんは2019年の1月に購入。

ちょうど2年の交換時期ということで、今回挑戦してみる次第です。

というわけで、さっそく必要なものを密林でポチポチ揃えてみました。

LLCにもいろいろありますが…

コスパをもっと重視するならば、希釈せずに使える汎用のLLCもありますし、

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排熱効率を高めることで夏場に電動ファンの出番を抑え、バッテリーを助けられるようなのもや、寒冷地対応みたいな機能性LLCも魅力ですね。

ワコーズ RHB-P ヒートブロックプラス チューニングマシン向けラジエター冷却液 4L R155

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ですが、今回はこのバイク初のクーラント交換ということで、ラジエーター内をしっかり洗浄しながら交換することを重視。

その中でコストを抑えたいと考えてこの3つを選びました。

今回ポチったのは、こちらの3つの製品。

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↑やっぱり純正、1:1希釈なので扱いが簡単、まぁまぁ安い!

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↑ワコーズ信者なので、試してみたかったんです。

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↑ネットの動画でこの純正水を使っている方がいらしたので、マネっこしてみます。

全部買っても3,265円となかなかリーズナブル!

値段を聞いただけでも、「おっ、それなら」って思いませんか?

簡単だからおススメ!

交換はオイル交換のように、ドレンを開けて入れ替えるだけ、でもちょっとしたコツがいるので、その辺もお伝えしていきたいと思います。

手順その① 車体を垂直に立てる 

MT-10やYZF-R1(2CR)の場合はそうなのですが、LLCの排水ドレンが車体の右側になる場合もあります。

再度スタンドをかけての作業ですと、排水がしにくいこともありますし、ラジエーターやエンジン内部でLLCが偏って、量がちゃんと量れない場合もあります。

ですので、この作業はメンテナンススタンドを使うなどして、車体を垂直にしてから行いましょう。

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↑ お持ちでない方のために、V型フックとL型フックの両方が使えるタイプをご紹介しています。

手順その② ラジエーターのキャップを開ける。

最初にラジエーターのキャップを開けるのですが、エンジンが熱いときにキャップを開けると、高温のLLCが噴出してやけどする恐れがありますので、これは必ずエンジンが冷えているときに行ってください。

カウル付きのモデルの場合、なかなかキャップにアクセスするのが大変な場合もあると思います。

くれぐれも無理をしてカウルを破損しないように気を付けましょう。

また、ラジエーターキャップのロックボルトを緩めるのを忘れて無理にキャップを回すと、ラジエーターのLLC 給入口を壊してしまう恐れがありますので、落ち着いて作業するように心がけてください。

そして、ラジエーターキャップには冷却系内部に圧力をかける機構があり、この部分も時間と共に劣化しますので、キャップについてもしっかりと見ておきましょう。


↑ 幸い今回は劣化がないようなので、このまま使っていきます。

ゴムパーツにヒビや変形が認められる場合、あるいは3~4年以上交換した記憶がなければ、交換されることをお勧めします。

手順その③ LLCのドレンを開ける

こちらもカウルがある場合は、取り外しに気を付けながら行ってください。

ドレンを緩める時はボルトを傷めないように、必ずソケットかメガネレンチなどを使って丁寧に緩めていきましょう。

そして、床面を汚さないように受け皿やペーパータオルなどもお忘れなく。

右の写真で床面に染みを作ってしまいましたが、これは悪い例ということで…。

手順その④ ワコーズラジエーターフラッシュを使う

水道水の場合は、やがてカルキ(塩素成分)が冷却系の中に結晶化してしまい、暫くほったらかした電気ポットのようになってしまうので、今回はカルキの入っていない高純度精製水を用意してみました。

加えて、今回はラジエーター内をきれいにしようと思いワコーズラジエーターフラッシュも使っていきます。

説明によると、ラジエーターフラッシュはLLC 6~8リッターに1本(500ml)とのこと。

MT-10SPは約2リッター程度なので、必要量は大体167ml。(結構余ったけどどうしよう…?)

ひとまず事前に洗って乾燥させておいたペットボトルの中で高純度精製水2リットルとラジエーターフラッシュの混合液をつくって、ラジエーターに投入します。

そのあとはドレンを閉めて、エア抜き弁でエア抜きを行ってください。

※MT-10やYZF-R1(2CR)のウォーターポンプ上部にはエア抜き弁があるので、注水後は必ずここを緩めて「プシュっ」と音がしてエアが抜けたことを確認してください。

また、エア抜き後にLLCが減っているようであれば、適量を補充してください。

それ以外のエア抜き弁がない車両については、ラジエーターキャップを開けたまましばらく時間をおいて、エアが上がって放出されるのを確認してください。

エアが抜けたら、ラジエーターキャップを閉めてエンジンを始動させます。

冷却ファンが廻るくらいの温度になればOK。

そのあとはエンジンを切ってLLCが十分に冷めるのを待ちましょう。

近隣に騒音への配慮を

例えば我が家は集合住宅なのですが、やはり何度も長くエンジンをかけておくのはご近所に気を遣います。

その場での暖気作業が難しい場合は、必要に応じて場所を移すことも必要ですね。

ちなみに私の場合は、何故音が出てしまっているのか、見かけた人が判るように張り紙をしてみました。

まぁ、はっきり言っていいわけ、ですかねぇ。

きっと私よりもご近所に気を遣わせてしまったのではと反省しております。
(その後どこからもクレームはなかったですけどね。)



手順その⑤ 高純度精製水でラジエーターフラッシュを洗い流していく

フラッシュを入れたLLCが十分に冷めたら(作業は3月初旬で冷却には大体30分くらいかかりました)これをこれを抜いて、高純度精製水と入れ替えていきます。

ちなみに、ラジエーターフラッシュを排出してみましたが、特に目立った汚れもなかったので、『高純度精製水で繰り返し洗浄するだけでも良かったの?』とも思ったのですが、

これまで長年水道水で希釈してきたという方や、車歴の長い車両では、もっとありがたさを感じられるのかもしれませんね。

この回では高純度精製水でフラッシュ剤を洗い流していくのですが、注水前にラジエーターサポートタンクを取り外して、この中のLLCも廃棄します。


すみません、サポートタンクの脱着シーンをちゃんと撮影していませんでした。(詫)

この高純度精製水は5リットル入り、今回は大体一回に約2リットル弱くらい使っていくので、フラッシュ一回とフラッシュ流しに1回といった感じです。

この容器には1リットルづつ目盛がついているので使いやすいですね。

そして、ドレンからフラッシュを放出したらドレンを閉めて、今度は高純度精製水のみをラジエーターに投入します。

今度もエア抜きをしてからラジエーターキャップを閉め、先ほどと同じ要領でエンジンを始動させます。

手順その⑥ LLCを希釈して用意しておく

さて、こうしてもう一度エンジンをかけて冷ます時間があるわけですが、その間に本チャンのLLCを希釈して用意しておきましょう。

先にやっておいた洗浄作業で、高純度精製水の残りはちょうど1リットル。

今回使うYAMALUBEのLLCは1:1の希釈なので、丸々1本投入すれば、ちょうど2リットルのLLC液をつくることができます。
(写真のようにこぼさないように注意しましょう。(‘◇’)ゞ)

OIL用のジョッキをLLCの補充に使うのは言語道断。

でも今回この高純度精製水の容器のおかげで、専用容器を持っていなかった私でも非常に合理的に作業を進めることができました。

手順その⑦ 本チャンLLC液を入れる

そうこうしているうちに、洗浄用の高純度精製水が完全に冷めたので、これを放出して先ほど用意したLLC液と入れ替えていきます。

この時注意しなければいけないのが、ドレンワッシャーです。

LLCのドレンには銅ワッシャーが使われていることが多いようですが、素材が何であれドレンワッシャーはつぶれることでシールする(密閉度を高める)ものなので、再利用は不可。

事前に新品を用意して必ず交換しましょう。(ガスケット90430-06466 1枚60円也。)

また、この後はもうドレンを開かず本締めとなるので、しっかりとトルク管理も行います。

写真はメガネレンチですがこの後トルクレンチを使って規定トルクで締め込みました。(MT-10/YZF-R1〈2CR〉は10N/m)

※なお、エア抜き口についても同様にワッシャーを交換しますが、この段階でまだ本締めは行いません。

用意したLLC液は、エアが入らないようにゆっくりと注ぎ入れるのがポイントです。

注いだら給入口までいっぱいになっているのを確認。

サポートタンクにもLLC液を入れておきます。

この段階でLLC液の水位が下がることがあるので、入れたことに安心してNOチェックでキャップをしないように!

少々見にくいですが、写真のように給入口の口までしっかり入ったら、エア抜きは大事!

忘れずにエア抜き作業を行い、エアが抜けたのを確認したら、しっかりと規定値で締めておきます。(MT-10/YZF-R1〈2CR〉は10N/m)

そしてこのエア抜き作業によって、ラジエーターの給入口のLLCの水位が下がることがあるので、再度点検ののち、減っていれば適量に補充しましょう。

その後、ほかにもエアが出てこないかしばらく観察して、特に問題が無いようであればラジエーターキャップを閉めます。

最後に、ラジエーターのキャップロックをするのですが、キャップを然りと締め込まずにロックボルトを締めてしまうと、ラジエーターの給入口を変形させてしまうことがあるので、キャップはしっかりと締まっているか確認してロックしてください。

使い終わったLLCの廃棄について

「冷却水というくらいだから水なんでしょ」って思っている人はいませんか?

実は昔そう思っていたのが私です。

まだ若い頃なので時効だとは思いますが、排出した冷却水(LLC)は『水とおんなじ』と思ってその辺の植木にまいたら、翌日その植え込みの植物が枯れしましたからね。

LLCは主にエチルアルコールなど化学薬品が主成分なので、しかるべき処置をしましょう。

といってもどうすれば?

ということなのですが、以前ネットで高分子吸収体(おむつ)に吸着させる方法が紹介されていたので、小学生になって要らなくなった娘のおむつの余りでやってみました。

しかし、1回の排出が2リットルくらいなのに対して、どうやら赤ちゃんおむつの吸収力は一枚につきコップ一杯250ml程度らしく、大人の介護用を買い直すにしても不経済すぎるのでこの方法は断念。

仕方なく、空になった高純度精製水のボトルに詰め、ある程度の引き取り料を覚悟して近所の2りんかんに廃棄を依頼したところ、何と無料で引き取ってくれました。

(飛び込みでたまたまだったのかもしれませんし、お店によっても対応が違うかもしれないので、最寄りのショップに依頼するときは事前にお問い合わせになることをお勧めします。)

まとめ

さて、これでLLCの交換は終了です。

ただ、組んで終わりにするのではなく、

  1. ドレンやラジエーターキャップ、ホースやホースの継ぎ目などから水漏れがないか?
  2. 一晩経ってラジエーター内の水位が異常に下がっていないか?

など、エラーチェックも入念にすることにしましょう。

特に旧車などで2.の場合、エンジン内部のガスケットなどに重大な異常が見つかる場合もあるので、もしそういった症状があるようであれば、ショップと相談してみてください。

というわけで今回はLLCの交換の様子をお届けしました。

「そういえばやってないなぁ」

という方は是非この機会に点検なさってみてはいかがでしょうか?

引き続き感染対策は必要ですが、しっかりと点検をしたバイクで気持ちよく、新しい春を楽しんでくださいね。

 

※今回の整備はおおむねマニュアルに沿ったものになっていると思いますが、多少のアレンジを加えたものにもなっています。

また、車両はヤマハのMT-10SPでのトライですので、別の車両ではうまくいかない内容もあるかもしれません。

読者様の作業につきましてはあくまで読者様の責任において行ってください。

作業の失敗・それによる破損等につきましては当方で一切の責任を負いかねます。

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