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「和」の中でお披露目されたEVハーレー
昨年(2019年)にアメリカで発売された、ハーレーダビッドソン初の完全電動バイク「LiveWire(ライヴワイヤー)」。
このほど12月2日(水)~6日(日)の5日間にわたりその日本仕様が公開展示されました。
その場所がまた変わっていて…。
なんと東京、神田の神田明神。
江戸三大祭および日本三大祭りの一つに数えられる神田祭で有名な神社ですね。
こうして現地に着てみても、最新のEVハーレーがこの御門の中にあるなんて信じらません。
『ホンマかいな?』
と思いつつ御門をくぐるとそこに…。
2台のライヴワイヤーがご鎮座してました。
オレンジのライヴワイヤーのは近未来をテーマにしたシルバーの台座に、そしてブラックの方の台座は「和美」をイメージした台座に飾られ、この二つが1対をなすディスプレイがされています。
実は私は展示2日目の12/3日にお邪魔したのですが、前日の2日にはこちらでプレスリリースがあり、
落語家の立川吉笑さんによる「ハーレー落語」が披露され、和服女性によるアンヴェールが行われるなど、非常にユニークな演出があったのだそうです。
映像協力;MOTOZIPさん
現地で案内をされていた方に、なぜ神社の境内がお披露目の場所に選ばれたのかと伺うと、
「ライヴワイヤーは世界にEVの時代の幕開け担うバイクなので、日本にもEV時代が来たぞということを世界に発信するには、こうした「和」の空間がそれにふさわしいのです。」
とのこと。
なるほど、確かに神社の朱の色は、日本について最も象徴深いイメージなのだと外国人の友人から聞いたことがあります。
私たち日本人にとってもそうですが、神殿が見えるこの角度で配置されているのは、外国人の方には相当インパクトがあるでしょうね。
伝統から電動へ
神田明神という土地柄、ご高齢な先輩方も多く「昔からハーレーが大好だったんだ」と関心深げにライヴワイヤーのもとにお寄りになって、案内の方に説明を求めて来られる方を少なからずお見受けしました。
しかし、「最新のハーレーで、これは完全電動車なんです」という案内の方の答えに、「ところでこれは何CCかね?」とお訊きになる方多数。(笑)
V2のサウンドとバイブレーションはファンの心に長年刻まれてきたハーレの伝統であり代名詞なのですから無理もありません。
伝統が電動に置き換わったハーレー。
諸先輩方を引き付けるハーレーとしての魅力とは?
その場を俯瞰的に見ながらハーレー初のEV車を見つめていきます
フレームにマウントされているのは、巨大な15.5kWhの高電圧タイプのリチウムイオン電池。
5つのパーツで構成されたフレームもしっかりとした剛性が確保されていますが、このバッテリーも車体の強度メンバーになっているのだそうです。
以前、H・Dウルトラ乗りの知り合いがワインディングを鮮やかに切り返しながら、
「このバイクで峠を走るとさぁ、フレームがヨレて暴れるんだよねぇ」
と言って笑わせてくれるのですが、この頑丈そうなフレーム構成ではそういったことはなさそうです。
また、リチウムイオン電池というと、耐候性を心配される方も多いわけですが、このバッテリーには5年間の走行距離無制限保証付きなので安心して乗れますね。
そのバッテリーの下に見えているのが電動モーター。
最高出力は75kWで最大トルク114Nm。
例えば1202㏄のハーレー・ロードスターでも96Nm/4,000ですからこれは相当なもの。
しかも、アクセルを開けたその瞬間から100%のトルクで猛烈にダッシュ、255㎏の車体をたったの3秒で0→100㎞/hに到達させる驚異的な加速力を持っていて、これはポルシェ911ターボやランボルギーニアヴェンタドーといったスーパーカーの加速性能に並びます。
縦置きモーターから発生した出力を、ベベルギア(傘型ギア)を介して横軸に移し、それをドライブベルトへと伝えていくパワートレイン。
境内には、このパワートレインが発する加速音がスピーカーから流されていましたが、それは「キュイーーンっ」というジェット機のようなサウンド。
「このジェットサウンドこそが、新たなハーレーサウンドなのです。」
とハーレージャパンの方が胸を張っておられました。
最新の足回り
そして、このビックトルクと俊敏な動きを受け止めるのは、足回りは最新のテクノロジーを駆使した足回り。
フロントには、伸び側と圧側の役目を左右で分担し、ビッグピストンで高いダンピング性能を発揮するSHOWA製SFF-BPを採用、そのボトムにはブレンボ製のモノブロックキャリパーがラジアルマウントされており、
リアには「バランスフリー」構造で減衰力応答性を向上させたSHOWA製のBFRC-lite フルアジャスタブルリアショックを採用。
加えて、前後タイヤはミシュランとの共同開発による専用タイヤ「スコーチャー ・スポーツ」を装着し、サイズはCBR600RRやZX-6Rなども履いているフロント120/70 ZR 17、リア180/55 ZR 17という組み合わせ。
こうした最新の足回りはハイパフォーマンスなスポーツバイクとしてのキャラクターを予見させてくれるものです。
電子制御でライディングをアシスト
ライヴワイヤーのメーターは、カラータッチスクリーンになっていて、
ディスプレイをタッチするか、ハンドルにマウントされたジョイスティックを操作することで、ライディングモードを設定することができます。
選択可能な走行モードは、
- フルパフォーマンスの「スポーツモード」
- 市街地でのジェントルな走りに適した「ロードモード」
- 降雨時や滑りやすい路面での走りをサポートする「レインモード」
- RESSチャージ(回生ブレーキ)※をフルに活用して走行距離を最大限に引き延ばす「レンジモード」
の4種類。
これに加えて、
- パワー
- 回生ブレーキ
- スロットルレスポンス
- トラクションコントロール
の度合いをライダーの好みで調整し3パターンまで登録することができる「カスタムモード」も備えています。
※RESSチャージ(回生ブレーキ)=スロットルを緩めることで+-を逆転させ、エンジンブレーキのような制動力を得ながら発電する電気ブレーキシステム。
変速機構やクラッチを持たず、スロットルの開け閉めだけで走るというと、ちょっと退屈なイメージを持たれるかもしれません。
しかし、このシステムなら走りに好みの表情を持たせることができ、市街地からワインディングまで様々なシチュエーションを楽しそうですね。
EV時代は詳細な走行プランニングが必須?
EVですのでタンクといってもガソリンは不要。
リット(開口部)を開けると200v三相充電ポートがそこにあります。
ここからの普通充電普通の場合、1時間の充電での航続可能距離は15~15.8㎞で、0から80%までまでの充電時間は約10時間、同じく100%までは12.5時間を要すとのこと。
充電ポートの映像2カットはMOTOZIPさんよりご提供いただきました。
日本仕様の特長は、高速道路のPA やショッピングモールなどでの急速充電設備に対応する「CHAdeMO」の充電ポートをシート下に装備していることですね。
この充電方法ですと、0から80%までが40分、100%までは1時間で充電完了。
一回の充電での最大航続距離は、下道主体の定常走行なら最大で235㎞。(日本橋から国道294号経由で福島の郡山あたりまで。)
高速道路を主体とした定常走行では152キロ(日本橋から東北道経由で栃木の日光に行くくらい。)になるそうです。
高速での航続距離が短くなるのは、ガソリン車とは逆の傾向なのでちょっと不思議ですよね。
これは高速巡行では市街地よりも制動時の発電回数が少なくなるというEVならでは事情。
実際の走行ではこれより若干航続距離の長短が発生するかもしれませんが、いずれにしても上記の数値は片道での参考値です。
現在全国に「CHAdeMO」の充電設備は約8,000基ほど設置されているそうですが、ツーリングに出かけるには予め充電スポット場所の確認や充電時間を考慮した時間配分など、しっかりしたプランニングが必須になりますね。
近未来からライヴワイヤーを振り返る
EVならではの事情として面白いのは、法律によるライヴワイヤーの立ち位置。
道路交通法でライヴワイヤーは出力をキロワットに換算すると大型普通二輪に属するため、大型普通二輪免許かAT限定大型普通二輪免許が必要です。
ところが、排気量を区分の根拠とする道路運送車両法では、EVのライヴワイヤーは250cc以下の扱いを受けるため、なんと車検対象外。
それでいて、ナンバーには緑枠が付くというのですから何とも複雑な話です。
これはあくまで内燃機を搭載する車両を基準とする現代のお話。
令和2年暮れ現在、EV二輪はまだまだ特殊な存在です。
くしくも、私がライヴワイヤーを取材した12月3日は政府が2030年代半ばまでにガソリン内燃機だけを動力とする車両の発売を禁止する方針を発表した日。
今後さらにEV/HV化が進み、内燃機だけに頼る乗り物が少数派になる時代が必ずやってくることが、これでほぼほぼ確定したわけですが、そのころにはEV二輪についての法基準も今のものとは様変わりしているかもしれません。
モビリティーのEV化、その中で二輪がどうなっていくのかには興味があり、私もこれまでいろいろと取材を重ね、
関連記事;大阪から始まるバイクの電化 国内4社コンソーシアムがバッテリー交換式EV2輪を実証社会実験へ
その中でモビリティーのEV化の中でも、2輪の場合はクリアしなければいけない問題がまだまだたくさんあることを実感しました。
ただ、高価なショルダーフォンを重々しく肩にかけていた時代に、スマホを片手に大概の用を済ませられるようになる未来を想像できた人はほとんどいなかったはず。
そんな風に、常識の変化がありうることを考えながら、EV二輪については肯定的に考えなくてはと考えているところです。
EVが珍しくなくなった近未来の人々が振り返ったとしたら、ライヴワイヤーは「新たなハーレーの楽しみ方」を早い段階で示し、「EV時代にハーレーというブランドを未来に繋いだ先見的なバイク」として語られる一台になるのは間違いないでしょう。
カラーバリエーションは下記の2色。
ライヴワイヤーの価格は3,493,600円(税込み)で、既に12月3日よりプレ予約が開始されています。
さらに12月12日(土)からは、全国の正規取扱ディーラーでも順次、各週末に展示販売が行われる予定です。
2020年12月11日追記
今回はポレスカンファレンスをご取材なさったMOTOZIPの相京雅行様より、当日の映像4カットをご提供いただきました。
MOTOZIPさんの記事;「ハーレー初の電動スポーツバイク Live Wire国内発売発表式典が開催 | MOTOZIP(モトジップ) バイクで楽しむあれこれ」
こちらではインスタバイク女子のRURIKOさんがこのライヴワイヤーを紹介されていて、動画でも配信なさっているので、応援してあげてください。
また、今回のプレスカンファレンス中、和服で司会とライヴワイヤーのアンヴェールを務められた山口ミカさんのカァワイイ映像満載なツイッターはこちら、
ご自身でもいろいろなバイクに乗られていて、バイクイベントのキャンペーンにも多数ご出演です。
是非是非応援してあげてくださいね。
そして、このMOTOZIPさんは東京の下町 江戸川区でバイクのパーツの製造販売をなさっているワールドウォークさんが主催されているバイクメディア。
ワールドウォークさんの製品はお財布に優しくて、それでいてしっかりできているのが特長、私も以前ご紹介しましたが、例えばこれとか、いいですよぉ~!↓↓↓
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相京さん、ご協力ありがとうございました!!