NEXCO各社の2022「ツーリングプラン」SSTRでの使い処は?

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目次

今年は全20プラン

令和4年4月21日、NEXCO各社より2022年度版のツーリングプランが発表になり、4月25日より予約開始となりました。

以前こちらの記事で、バイクの高速料金が土日限定で乗用車の半額になる「二輪車定率割引」をご紹介しましたが、筆者はこの記事の執筆のため、NEXCO中日本の広報の方に電話で取材したところ、「ゴールデンウィークに間に合うようにツーリングプランの策定を急いでいる。」という情報を得ていましたので、これがなんとか間に合ったようです。

2022版のツーリングプランは、全20コース。

利用期間は4月25日~11月30日までの約7か月間となっています。

「2輪車ETCツーリングプラン」とは?

ツーリングプランは、NEXCO 東日本、NEXCO 中日本、NEXCO 西日本、京都府道路公社および兵庫県道路公社がETC 搭載の二輪車を対象に期間限定で販売する企画割引商品で、これを利用すると、対象エリアの高速道路が2 日ないし3 日間、定額で自由に乗り降りできるようになります。

ツーリング需要を高め、各地に広がる観光地やツーリングスポットの活性化への効果が期待される一方、手数の多い申し込み方法や、利用の仕方によってはかえって割高になるケースもあり、さらに、エリア外に住むライダーからは「恩恵が無い」など、ネガティヴな声も聞かれます。

しかしそれでも、ガソリン価格高騰中のSSTRにあっては、うまく・お得に活用したいという方も多いはず。

そこで今回は、ツーリングプランと「二輪車定率割引」の『利用の「コツ」を抑えて、お財布に余裕を持たせる方法を考えていきます。

今回のエリア分け

2022年度版の内容を見てみるとこれまで通り、北海道から本州はもちろん、四国・九州までを広範にカバーされているようです。

 まず北海道から見ていきますが、道内2コース共にフェリーの港付近をカバーしていますので、本州との往来にも便利そうな内容。

コース名 利用期間 プラン料金
①道南・道北コース 3日間 6,100円
➁道南・道東コース 3日間 6,100円
申し込み先 NEXCO東日本公式WEB サイト「ドラ割」

 3日間乗り降り自由となれば、Northernラリーに参加される方にも有益になるでしょう。

続いて本州のエリア分けを見ていくと、これまでカバーされていた今回のエリアに含まれない場合もあり、若干縮小された印象を受けます。

コース名 利用期間 プラン料金
③関越道・東北道コース 2日間 3,000円
⓸東北道・常磐道コースミニ 2日間 2,500円
⑤東北道・常磐道コースワイド 3日間 5,100円
⑥東関道・館山道コース 2日間 2,500円
⑦首都圏 東名・中央道コースミニ 2日間 2,500円
⑧首都圏 東名・中央道コースワイド 2日間 3,900円
申し込み先 NEXCO東日本公式WEB サイト「ドラ割」

例えば、例年奥松島あたりまで北に伸びていた「東北・常磐コース」が、今回は相馬までになったのはいささか残念。

東北地方では昨年・今年と震災遺構の整備が進んで一般公開されたところも多く、SSTRでは福島以北から千里浜を目指すライダーならば、いろいろな意味で物足りなさを感じるところかもしれません。

また、関越道・東北コースでは、軽井沢に行く場合に碓氷峠を通れば良いとして、もう少し新潟方面に伸びが欲しいと思う方も少なくないでしょう。

一方で、SSTRでは利用者の多い安曇野を含んだコースが東京・名古屋の両方向から用意されているので、恩恵にあずかれるライダーも多くいらっしゃると思います。

その「中京圏 東名・中央道コース」と「首都圏 東名・中央道コース」の2コースを併用すれば、東名・新東名・中央道を使ってかなり広範な移動を楽しむことができるので、これは愉しいかもしれませんね。

コース名 利用期間 プラン料金
⑨中京圏 東名・中央道コース 2日間 3,600円
⓾伊勢道コース 2日間 3,100円
⑪東海北陸道・北陸道コース 3日間 5,100円
⑫中央道・東海北陸道コース 2日間 2,000円
申し込み先 NEXCO中日本公式WEB サイト「速旅」

また中京圏から千里浜を目指すなら、一宮から「東海北陸道・北陸道コース」を利用するのが便利でしょう。

こちらは3日間有効で、石川県へアクセスが2ルートありますから、日本海側から前泊で参加されるライダーが、スタート前の観光を楽しみながら、行きと帰りで道を変えるのも楽しそうです。

さらに近畿圏を見てみると、「名神・北陸道・京都縦貫道コース」が敦賀までカバーしているので、そのあたりが魅力的かもしれません。

コース名 利用期間 プラン料金
⑬名神・北陸道・京都縦貫道コース 2日間 3,600円
⑭中国道・山陽道・播但道コース 2日間 3,100円
⑮阪和道コース 2日間 2,500円
申し込み先 NEXCO西日本公式WEB サイト「みち旅」

南紀方面からですと、「阪和道コース」と「名神・北陸道・京都縦貫道コース」を併用すれば、この区間の2日間の利用料金が7,100円になります。

実はこの区間、「軽自動車等」のETC休日割引で単純に往復するなら(3,560円×2)7,120円なので20円の差しかありません。

しかし、利用日に何度も乗り降りしても定額なのでコースの取り方によっては有利になることもあるでしょう。

特に平日「軽自動車等」の往復料金は(4,980円×2)9,960円の区間なので、5/23~27の平日に南紀から千里浜を目指すなら、こちらの方がお得になりますね。

四国は中央部を共有しながら、東西に分かれるコース分け。

コース名 利用期間 プラン料金
⑯香川・徳島・高地コース 2日間 3,100円
⑰愛媛・高地コース 2日間 3,100円
申し込み先 NEXCO西日本公式WEB サイト「みち旅」

しまなみ海道も人気で、SSTRのゴール後に四国を訪ねるという方の話もよく耳にしますので、そういった方に有利なコースになるかもしれません。

また、九州は古賀を中心とした設定。

 

コース名 利用期間 プラン料金
⑱熊本・佐賀・長崎コース 2日間 3,100円
⑲熊本・大分・福岡コース 2日間 3,100円
⑳熊本・宮崎・鹿児島コース 3日間 4,600円
申し込み先 NEXCO西日本公式WEB サイト「みち旅」

「熊本・宮崎・鹿児島コース」は3日間有効なので、Southernラリーに便利。

 雄大な九州の自然をたっぷり満喫できるかもしれませんね。

さてさて、ここからが本題、今回のツーリングプランの使いどころや、先日お話しした2輪車定率割引との違い、そしてこれらを併用した場合など、いろいろなパターンを想定して「お得な使い方」を探っていきます。

それぞれの割引商品の基礎知識

1.ツーリングプランの場合

まずツーリングプランでは、利用前に申し込みを行い、ご自分のETC(車載器とカード)が識別されるように登録をかけておきます。

そして、利用時には、利用を申し込んだコースのエリア内にあるETCゲート(入り口か出口のどちらか、またはその両方)を必ず通過していることが条件となります。

ですので、エリア外のETCゲートを通過してエリアに入り、エリア外のETCゲートで高速を降りる場合にはツーリングプランは適応されず、通常料金での請求になってしまいます。

また、ツーリングプランでは、走行距離や早朝深夜割引・休日割引は考慮されないので、もし休日割引の方が安かったり、区間料金がもともとプランの料金より安かったとしても、一度予約をしてエリアのゲートを通過すれば、ツーリングプランの料金が請求されることになるので、予め予定コースを見ながら料金を見積っておく必要があります。

2. 2輪車定率割引の特徴

2輪車定率割引は、土日限定で高速道路の通行料金を、平日通常の軽自動車等ETC料金から37.5%引いた金額、つまり普通車の半額相当にする割引商品です。

ただし、利用できるのは1走行が100㎞以上の場合に限られており、首都高など都市圏の高速道路が対象外になっているので、下記の場合は注意が必要です。

 

 

例えば、上記の場合のように適応外区間を挟んで合計100㎞以上を走行したとしても、適応する1区間が100㎞以上にならないため、2輪車定率割引の適応を受けることができません。

しかし下記のように、

例;

間に適応外のエリアを通過しても、適応する1区間を100㎞以上走行していれば、その区間は2輪車定率割引の適応対象になります。

SSTRでこれを利用する場合、道の駅の立ち寄りなどで、高速を降りすることも多くなることが予想されますので、利用する高速道路の区間距離は予め確かめておくことが必要です。

またツーリングプランとは違い、こちらは早朝深夜及び休日割引の料金の方が安ければ、自動的にその料金が優先されるという良心的な設定になっています。

ただ、「2輪車定率割引」は土日限定の単日割引ですので、ツーリングプランとは異なり、往復する場合は、往路・復路それぞれに予約が必要になる点も注意が必要です。

いずれの利用にも、まずは通常のETC料金との比較を

そのためにまず、NEXCOのドラぷら・高速料金ルート検索を使って、利用するルートの通常料金を調べ、ツーリングプランを使った場合との比較しておきましょう。

この時、何も設定せずにNEXCOの検索を行うと、検索時現在の普通車のETC片道料金が表示されるので、予め検索条件を「軽自動車等」にして、出発予定の日時を入れて検索する必要があります。

また検索では、時間や曜日による割引を考慮した金額が表示されるので、休日割引などとの比較も可能になります。

さらに、ツーリングプランの場合は2ないし3日間乗り降り自由とした料金なので、検索で得られた料金を×2とした往復料金でその差を比較すると良いでしょう。

メリットを最大限に活かすなら、こうした手間を惜しまないことも肝心、ということになるようです。

「ツーリングプラン」+「2輪車定率割引」併用への期待

基本的にツーリングプランは都市部から地方の観光スポットに枝を伸ばして行くようなエリア分けがされているため、地方の枝先から枝先への移動については例年「恩恵が無く不便」という指摘も多く聞かれました。

ただ、今回は例年と違い、ツーリングプランは「2輪車定率割引」と併用することが可能になっているので、このネガティヴポイントを上手くカバーできるのではないかと期待も膨らむところ。

そこで、両サービスの長所や短所を踏まえたうえで、「ドラぷら」での検索結果を基にしながら、

『5月21日の朝5時から、ひたちなかで日の出を見たライダーが、ツーリングプランの「関越道・東北道コース」を利用し、さらに上信越道・北陸道で富山IC を目指した場合』

を様々な形でシミュレートしてみました。

お得な利用の仕方とは?

この区間の軽自動車等ETC通常料金は休日割引の適応で片道5,920円(平日なら8,450円)で、往復なら11,840円(平日なら16,900円)になります。

「ひたちなか⇔富山」間で連続して高速道路を利用する場合、まず「ひたちなか⇔藤岡」の166.6㎞間にツーリングプランを適用でき、残りの「藤岡⇔富山」の間に2輪車定率割引」を適応させて併用することが可能です。

また、土日であれば、ひたちなか⇔富山までのすべての道程を2輪車定額割引のみで走らせることもできますので、どのサービスを利用するのか、その選択肢はかなり広くなります。

 さて、このコースの場合、いったいどの方法が一番お得なのでしょうか?

検証の結果を下の図にまとめました。

※「ドラぷら上」で5月21日の5:30時発と設定して表示された軽自動車等のETC料金を基にしています。
2輪車定額割料金は標準の軽自動車等のETC料金に×0.375元の料金(35%引き)を四捨五入にて比較。

1. ツーリングプランだけを適応させた場合

まずこのコースでは、ツーリングプランの「関越道・東北道コース」だけを使って走行した場合、ひたちなか⇔藤岡まではツーリングプランのエリアなので往復3,000円が適応となります。

ですが、藤岡から先の富山まで休日割引を利用すればこの区間は片道4,040円(平日なら5,770円)で走行できるので、ツーリングプランだで片道を走行する場合の料金は7,080円(平日は8,770円)

さらに往復なら休日は11,080円、平日なら17,160円となるので、いずれも通常のETC料金で走行した場合と比較してその差は僅かです。

2. 2輪車定率割引のみで走行する場合

また、ひたちなか⇔富山の全区間を2輪車定率割引のみ適応させて走ったとすれば、片道は5,280円、往復では10,560円とある程度の開きが出ることがわかりました。

ただ、この場合SSTRの走行に照らした場合の難点は、先ほども申し上げたように、途中の道の駅などに立ち寄る場合など、一つの区間を100㎞以上にする必要があることです。

高速道路では料金所の使用量もかかって、連続走行とは料金が異なる場合が多いので、2輪車定率割引で高速道路を乗り降りする場合は、ドラぷらで区間ごとの距離と料金を確かめておくことをお勧めします。

3. ツーリングプラン+2輪車定率割引の併用の場合

さらに、ひたちなか⇔藤岡までツーリングプランを利用し、藤岡⇔富山では「2輪車定率割引」を利用したならば、料金は平日料金(5,770円)の37.5%引きなので、片道3,600円(往復7,200円)となり、ツーリングプランと併用した片道料金は6,600円、往復の合計は10,200円となります。

 ですので、この区間では「土日にツーリングプランと2輪車定率割引を併用して利用すると、最も安価に通行できるということがわかりました。

 しかし、利用する道路や、時間帯によってはまた違う結果になることも予想されるので、一律に「定率割+ツーリングプランはお得です。」と結論付けることはできません。

実際、ツーリングプランではエリア内の走行距離を短くするほど割高になるケースも多く、今回も宇都宮⇔富山とした場合なども試算しましたが、この場合は全線で2輪車定率割引を利用した方が安いという結果になりました。

 ただ、こうした点は考慮されているようで、ツーリングプランと2輪車定率割引を併用する場合、2輪車定率割の方が安いと判定される場合は、そちらの料金が優先されることになっています。

今回はあくまで「千里浜を目指す」ということを念頭に考えてきたわけですが、通常のツーリングの中でツーリングプランのエリア内を長めに走ることを念頭にして愉しむなら、それが最もお得である場合も多いと思います。

少なくとも、2輪車定率割引が土日限定なので、平日参加のライダーなら、ツーリングプランや休日割引にメリットを感じる場合もあるでしょう。

いずれにしても、どの方法が一番安くなるのかはコース取りによってかなり違ってくるようですので、ご利用ごとにドラぷらで一般料金との差を探っておく必要があるというのが本文での結論です。

カスタマイズを楽しむサービス

このように、ETC2輪車ツーリングプランはポンと与えられてすぐ使えるサービスとは違い、「よりお得に」利用するには、概要をよく読み込み、ご自分のニーズと照らし合わせることが必要です。

「メンドクサイ」

と言ってしまえばそれまでですが、

「旅を練り上げていく感覚」

としてこれを楽しめる方なら、その手間も1つのエッセンスになるかもしれませんね。

ご利用の方法などは、NEXCO各社のお申し込みホームページ上に案内されているので、ここでは詳しくお伝えしませんが、バイクのナンバーやカード番号、そしてETC車載器番号さえメモしておけばスムースに予約が進むものと思いますので、「利用してみよう」と仰る方は是非チャレンジしてみてください。

取材協力 NEXCO東日本

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