「あおり運転」からバイクを守れ!警察庁が全国の署に対応強化を通達

交通の秩序を根底から乱す「あおり運転」。

各地であおり運転によるとされる事故が相次ぎ、2017年は国民的にあおり運転への罰則強化を求める声が大変大きくなった年でしたね。

2018年1月16日、警察庁は全国の警察署に対し、あおり運転への罰則を強化するよう通達を出しました。

この警察庁通達は、あおり運転の撲滅に向けて明るい兆しではありますが、自衛努力もかなり必要なようです。

今回、筆者は警察庁に電話取材を申し入れ、通達の内容や、今後のあおり運転に対する実際の取り締まりの方法などについて聞きました。




目次

交通法規の脆弱性?

2017年8月には、京都でタンデム中の男女があおり運転の車に進路をふさがれて転倒

この件ではタンデムの二人が重傷を負っています。

特に私たちライダーにとってあおり運転は、命に直結した問題であり、絶対に許すことはできません。

やはり思い出されるのは、その2か月前の東名高速上で家族4人を死傷させた事故。

その痛ましさもさることながら、「あおり運転」そのものを取り締まる罰則がないことなど、社会に波紋を投げかけた事件でもありました。

今回の警察庁通達は、そうしたいわば「交通法規の脆弱性」をカバーしてくれるのでしょうか。

通達の内容は?

先述の通り警察庁は、2018年1月に各都道府県警に対し、いわゆる「あおり運転」に対する対応と罰則の強化をす通達しました。

その内容の大きな特長は、

  1. 現行のあらゆる法をもって対処することを求めたこと。
  2. 暴力等を伴う加害ドライバーを一発免停にするよう求めたこと。

この2点です。

1.あらゆる法律で対処

 基本的に、「あおり運転」というのはあくまで様々な状況行為の俗称であって、「あおり運転」として取り締まるということではないようです。

例えば、あおり行為に対しては、

対象行為と適応法
急なブレーキングで進路を妨害する 急ブレーキ禁止違反
異常に接近して追い上げてくる 車間距離不保持違反
急激な進路変更
(幅寄せなど)
進路変更禁止違反
合図をしない進路変更(幅寄せなど) 合図不履行違反
左側から追い越して前に出る 追い越し違反
クラクションをバンバン鳴らしてくる 警音器使用違反

という現行の道交法が適用され、基本的にこの部分は今後も変わりはないようです。

つまり、あおり行為の中で、交通ルールに違反する部分が罰則の対象で、加害ドライバーの御無体な振る舞いを取り締まる部分が薄かったわけです。

そこで、今後は、暴行・傷害・脅迫等はもちろん、車を使った危険行為もそれらと同等のものとみなし、道交法だけでなく刑法上の暴行罪などで検挙が可能にするようです。

こうした法制間の垣根を超えて罰則の強化を求めたのが、この通達の大きな特徴の一つです。

2. 加害ドライバーを、一発免停にするよう求めたこと。

さらに、ドライバーに危険を感じさせる運転に、暴行・傷害・脅迫等が伴う場合には、加害運転者を「危険性有帯者」として指定することとしています。

この「危険性有帯者指定」というのは新しくできた規定と思われる方も多いと思いますがそうではありません。

例えば薬物乱用者などもそれにあたり、薬物依存の運転者による事件もいくつか思い出されるところではないでしょうか。

これが今回、いわゆる「あおり運転」の対策にも応用されることになります。

そしてこの「危険性有帯者指定」を受けた運転者は、累積点数によらず、一発で30~180日の免停となるとされています。

3.具体的にどうなるか?

この二つが、警察庁が都道府県警に出した通達の主な趣旨です。

例えば、バイクで走っているときに執拗に追い回されたり、さらに追い上げをかけられた。

あるいは急激な進路変更で前方に出て急ブレーキをかけてくる。

被害を受けたライダーが警察官に証拠とともにその恐怖感をアピールすれば、こうした行為が脅迫とみなされる可能性があります。

また、加害ドライバーは表にあげた道交法とともに威力妨害などで検挙して免停にする。

そういうこともその度合いによっては、可能になるようです。

そうなれば、あおり運転撲滅に向けて、かなり心強いものとなりそうですよね。

ただ非常に心配なのは、現行犯でない限りどうやってそれを警察官に現認してもらうかです。

実際、高速道路上で前方の車に急ブレーキで威嚇され転倒、加害ドライバーが逃走しそのまま泣き寝入りというケースもネット上に散見されます。

私たちライダーは、被害に遭った時には転倒や負傷などで、相手のナンバーなど相手の情報を、自身で証言できない場合も多いのでなおさらですね。

 

どう取り締まるの?

あおり運転は、故意によってもたらされ、事故は起きなくとも悪質な嫌がらせを受けるケースはあります。

そういった点が、偶発的に起きる事故とは大きく違いますよね。

心強く感じる「危険性有帯者指定」にしても、各違反規定を適応させるには、基本的に警察官の現認が必要です。

通達後、実際の取り締まりをどのように行っていくのか?

そのあたりを警察庁広報課に尋ねました。

 筆者;緑字

警察庁広報課;囲み字

「いわゆるあおり運転に関する行為受けた場合、警察官に現認していただくことが必要だと思います。

しかし、相手が既に現場にいない場合や、転倒で負傷しているときなども考えられるわけで、相手から受けた迷惑行為をどのように警察官に現認してもらえばいいでしょうか?」

はい、今回警察庁として通達は出しましたが、「現場でこのケースはこのように取り締まりなさい」という具体的なものではではないんです。

なので、警察官に現認をとるのはケースバイケースで、具体的に「こうしたらいいですよ」というお答えはできません。

なるほど、例えばドラレコなどの映像を提示して、それで現認していただくという形になりますか?

そうですね、それもあくまで現場の警察官の判断になりますので、確実に「そうです」とは言えません。

「なるほど、あくまで判断は現場警察官に委ねられているのですね。

では、今回のご通達の趣旨として、いわゆる「あおり運転」とされる行為について、取り締まりをより強化し、暴力行為についても併せて積極的に対応していく、という方針は間違いないですね?

そうですね、「方針」というとそれは都道府県警各々がこの通達を受けて方向づけていくものなので、警察庁が「そうです」とお答えすることができません。

また、時期は各々の警察によって違うと思いますが、今後ホームページなどで広報されると思いますので、そちらをご覧になる方がよいかもしれません。

わかりました。

では最後になりますが、危険性有帯者として指定された運転者が一発免停になると聞いています。

この免停期間はいきなり最長の180日になるという噂もありますが、免停期間はやはり180日になりますか?」

はい、この長さもですね、現場の警察官が現認した「悪質具合」によって変わってきます。

ですので明確に「何日間です」という風にはお答えできません。

いろいろご質問でしたが、しっかりとしたお答えができず申し訳ありません。

ご回答の端々をつないでいくと、「とにかくあおり運転を犯罪として厳しく処罰しようとしている」というのは間違いないようです。

現段階では、対応は現場警察官に任されていて、具体的な対応について都道府県警察が今後この通達に対する肉付けを検討中している段階のようですね。

また、これまでも現場の警察の皆さんが被害者の味方になって犯人検挙にご尽力してくださっている様子が報道などで伝えられています。

彼らが今回の通達をより強い武器にして、私たちの気持ちに沿った形で解決に向けた努力をしてくださるのだと信じたいですね。

ドラレコで自衛を!

当TIMEWARP RIDERS CLUBはこれまでも、、あおり運転について取り上げ、いち早く通報する方法なども考えてきました。

関連記事;「あおり運転」にバイクで遭遇したらライダーはどう防御するべきか?

今後もやはり、私たちライダー自身が日ごろからいくつかのパターンを想定し、自衛策を講じる必要があるのは確かなことです。

前述にあげたような悪質なあおり運転事故の多くは、当事者のドラレコや周囲の車のドラレコを解析して加害ドライバーの検挙に至ったものが多くあります。

バイクのパーツもいろいろ必要なものが多いわけですが、とりわけ事故時の証拠保全ができるパーツというのは大切です。

上記記事内でもご紹介していますが、バイク用のドラレコも機能が性と価格のバランスの良いものが登場しています。

実はそう書いている筆者もまだ未装着なのですが、自己防衛の手段としてドラレコの装着を優先的に考えたいですね。

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まとめ

取材の中、近所の警察署で警視庁がこの後ホームページ上にアップする予定だという、PR文を頂くことができました。

そこには「犯罪です、あおり運転」という文字が大きく書かれています。

こうしたPRが広がっていくというのも、あおる傾向を持った運転者に警告を与えることになりますから、さらに全国的に展開して欲しいと思います。

ただ、「犯罪」として立件するにも、「証拠保全」は課題ですから、やはりドラレコの導入が大事ですね。

ちょっと蛇足ですが、ドラレコは命の尊厳にもかかわる機器にもかかわらず、バイク用は車用に対して非常に高価です。

非常に小さな一ブログから叫びますが、政府やバイク議連のPTの皆さんには、ETCと並んでバイク用ドラレコの購入に購入助成金をお願いします。

(ETCの助成金支給を実現なさった)日本二輪車文化協会の吉田会長、ぜひともよろしくお願いいたします!



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