最近にわかに話題になっている「あおり運転」。
無茶苦茶な運転で進路をふさぎ、強制的に停車させられたうえ、猛烈に激高した輩が降りてくる。
皆さんは遭遇されたご経験がありますでしょうか?
実は筆者もかつて遭遇し、メット越しに殴られた経験があります。
至っていつも通りの運転をしていて遭遇する「あおり運転」。
車でならまだしも、バイクで遭遇した際、我々ライダーはどう対処すればいいのでしょうか?
今回はこの「あおり運転」への対応方法など、いろいろと考えていきたいと思います。
目次
バイクで「あおり」に遭遇したら
このように車で遭遇した場合も相当に厄介な「あおり」ですが、バイクの場合はいったいどうやって回避、または対処すればいいのでしょうか?
命に関わるほどではないにせよ、筆者も先述のように「あおりの末の恫喝」を経験しています。
これは今から10年くらい前、路側帯もないような対面交通の県道で、筆者が50~60km/h で乗っているグランドアクシスを邪魔に思ったらしいのです。
車体を左右に振りながら怪しく車間を詰めてくる黒い足立ナンバーのノア。(思い出しただけでも腹立ってきます。)
『家も近づいているので、なんとか速度を上げてこのまま逃げ切りたい。』
そう思ったもの間違いだったのでしょう。
ノアが対向車線に出て筆者を追い上げ、進路をふさぎ怒号と共にドライバーが降りてきます。
全く無言で反応しない筆者に輩が、殴ってきました。
これは筆者の反省ですが、こうして追ってくる輩から速度を上げて逃げようとすると、相手の油に火を注ぐようなことになるようです。
警視庁広報課に対策を訊いてみた
東名の一件からクローズアップされる「あおり運転」。
車で遭遇した場合は、
- 一切取り合わない
- 窓を開けない
- 相手が危害を加えようとした場合はその場で110番
これはワイドショーのコメンテーターとして呼ばれていた弁護士氏も言っていたこと。
確かにそうだと思います。
ただ、バイクで遭遇した場合、ライダーは生身。
なので二輪で運転を妨害されるのは4輪以上に危険性が高いはずです。
停止を強要されたとすれば、いきなり駈け寄られることになり、避けようがありません。
東名の一件ほど話題にはなりませんが、実は「あおり」で執拗に追い回される、あるいは進路をふさがれるなどで、命を落としたライダーも少なからずいるのだそうです。
筆者の仲間内でも幅寄せされ、左のハンドルとガードレールに指を挟まれて、指を落としそうになったライダーがいますからね。
とにかくバイクの場合、コトが起きたら砦もなく、いきなり最前線に送り込まれた格好になるわけです。
だからといって、まともにやり合って、こちらが傷害罪で挙げられたのではどうしようもありません。
今回筆者は、こうした「あおり運転」に バイクで遭遇した場合 、ライダーとしてどう回避すべきなのかを警視庁広報課に電話で訪ねてみました。
お話によると、
ということでした。
「マスコミではなく個人様への対応なので、非常に抽象的な答えしかできなくてすみません…」というエクスキューズもありましたが…。
個人メディアの限界に挑戦するタイムワープ、しかし力及ばず申し訳ありません。
どうやら、バイクで遭遇という想定がないのか、明確に「バイクの時はこうするべし」という見解はお持ち合わせではないようでした。
であれば、お上をどうこう言っても始まりません。
自衛策はライダーの方で知恵を絞らなければならないようです。
筆者自身の経験、そして筆者の身近におきた「あおり案件」から、バイクで遭遇した場合、
どうやったら相手の好戦性を萎えさせられるか。
恐らくそこを考えていくしかないと思います。
ドラレコは有効な防御手段?
よく言われているのがドラレコの装着。
「この行為は録画されている」。
一概には言えないようですが、それをアピールすることで、輩が引き下がることも少なくないと聞きます。
人気の高い機種を幾つかご紹介しておきますね。
アサヒリサーチ Driveman(ドライブマン) バイク用ヘルメット装着型ドライブレコーダー ホワイト BS-8W 新品価格 |
こちらは警視庁共同開発で、白バイ隊に装備されたというもの。
配線がいらないので、すぐに使えるタイプです。
複数バイクを持っているという人には、こうしたメットにつけて使えるタイプがいいかもしれませんね。
DV188 バイク用ドライブレコーダー 自転車 オートバイ用車載カメラ 1080P FHD 防水 二重レンズ 130°広角 ダッシュカム 新品価格 |
また、こちらは前後に一台づつカメラを据えて、追い上げてくる輩の様子も映し出すことができます。
後ろの状況も解るので、第三者に事の全容をより深く把握してもらうのには非常に有効だと思います。
少なくとも、ドラレコで証拠を残すということは、相手の好戦性を奪うための有効な手段になるようです。
関連記事;ドラレコのお勧め機種3選
ドラレコ以外に頼るべき方法
ドラレコが良いのはわかっていても、防水対埃などで、どうしてもバイク向けのドラレコは車用より割高なもの。
恥ずかしい話、筆者もそれこそ喉から手が出るほど欲しいですが、ドラレコを装備するだけのお金がありません。
バイク向けのドラレコを「そのうちね」と考えている人も多いと思います。
でも、輩との遭遇はこの後すぐなのかもしれません。
つまり、筆者のよいうにドラレコを持たないライダーが輩に遭遇した場合どうするか?
恐らくドラレコがついていても同じなのかもしれませんが、バイクで輩に遭遇した場合にとるべき行動を考えました。
「証拠を残す」をキーワードに
ドラレコので証拠に残ることが、相手の好戦性を奪う要因としてかなり有効なのではないか。
そういうお話をしたわけですが、ドラレコを持っていない場合にも証拠を残すことはできます。
例えば、オラオラと煽られながらコンビニやガソリンスタンドなどに駆け込みましょう。
つまり、
防犯カメラが必ず設置されているであろうところに逃げ込む
恐らくこれがバイクにとっては一番有効な手段だと思います。
そこで輩が降りてきて暴れて自分で通報ができなかったとしても、こうした場所は声を上げて第三者に助けを求めやすい環境ですよね。
筆者の知り合いでも、輩に追われながら交番や警察署に直接逃げ込んで助かったライダーがいますから、街道で煽られた場合には落ち着いてこれを思い出すといいでしょう。
とにかく一人で対応しないで、助けを求めるというのもポイントです。
スマホで動画を取るというのも有効な場合がありますが、相手によっては「何撮ってんだバカヤロー」と逆にキレてくることも考えられますよね。
ですから、防犯カメラに包囲されている環境に相手を誘導するのはそうした意味でも有効だと思います。
「通報する」をキーワードに
街道ではこうした手立てが有効で、商店がなくとも路地に逃げ込んだりということもバイクならできるかもしれません。
しかし、東名の一件のように高速道路では逃げられませんし、近隣に商店がないような僻地でも輩はやってきます。
ここでは先述の筆者のように、前に逃げようとするのは、相手に好戦的と思われて相手の好戦性に火に油を注ぐことも考えられますよね。
ですので、逃げ場のない状況では、いかに早く通報するか?
これを考えていくことにしましょう。
iPhoneをお持ちの場合
iPhone8とiPhone8PLUSの場合では右のサイドボタンと、左の音量ボタン(のうち大小いずれか)を同時に長押しする。
iPhone7以前のタイプではサイドボタンを5回早押しすることで、以下のような緊急通報画面を出すことができます。
参考元;https://support.apple.com/ja-jp/HT208076
こちらでSOSをスワイプすると、119(救急)・110(警察)・118(海上保安庁に海難救助を求める番号)を選択する画面に切り替わります。
そして選択後は、3秒間のカウントダウン後に先の3つのうちで指定した連絡先に位置情報のテキストメッセージが発信され、通話も可能になります。
同時に位置情報もテキストで発信されます。
それだけではなく、設定で登録された(例えば家族や職場)に自分が緊急通報した旨が知らされ、同様に位置情報もテキストで発信されます。
更にこのアプリに起動をキャンセルしない限り、同じ発信先に経過時間と現在地が変更された場合の位置情報などが変更の都度発信され続けるようになっているのです。
これなら、口が利けない状況でも、何とか現場に警察官を呼ぶことができそうです。
(※絶対に非常時以外では通報しないでください)
Siriなどの音声認識ソフトも有効
しかし、一刻を争う状況に長押しとスワイプのいとまもない可能性もあります。
こうしたときの為にSiriなどの音声認識アプリでスマホから緊急通報をするのが近道です。
特に高速などを走行しながら輩から逃走中に通報する手段として、インカムをスマホ度連動させてこういう音声認識系アプリに頼るのが有効だと思います。
Siriの場合は、ロック状態でも「Hey Siri!」と呼びかけることで起動するように設定しておけばすぐに反応します。
そこで「Hey Siri 緊急通報!」というと119・110・118のどれにかけるか聞いてくるので、「いちいちいちぜろ!」というのとすぐに電話がかかります。
(※絶対に非常時以外では通報しないでください)
ただこれは電話なので、位置情報発信はなく、基本的には受け答えが必要です。
それでも、(これは筆者が児童施設で防犯に関わったときに警察の方に訊きましたが)、110指令室では、受け答えが不能な電話からの入電に対しては、周囲の物音から通報先の特定に勤めるようにしているのだそうです。
ですからなんとか住所のわかる目印と、事件である旨をスマホのマイク前で話すことができれば、警察官を向かわせることができると言っていました。
なのでSiriなどでの通報の場合は、このことを参考にされるといいでしょう
声が出せないときの為の自動音声発信
また、さらに探してみると、Google PayとApple storeの両方でダウンロードできる緊急通報アプリがありました。
参考元;https://play.google.com/store/apps/details?id=dev.jp.yobuyo.basic&hl=ja
それがこの「YOBUYO」というアプリです。
これはアプリを起動し、
画面上のボタンを押すと、自動音声で氏名と地図上の現在地を、自動音声で110番に知らせてくれるというもの。
これはなら、声も全く出せないようなときに便利かもしれません。
ちなみにこれは119への通報も可能なので、事故時も役に立てられそうですね。
(※アプリ内課金があるようです)
(※絶対に非常時以外では通報しないでください)
まとめ
とにかく、誰しも絶対にありたくない「あおり運転」。
輩が降りてくるのも相当厄介ですが、いきなり転倒させられて、ライダーが亡くなったケースもあるとも聞いています。
現場がどんな状況になるかは全く予測がつきません。
ただ、様々な場面を措定して少しでも場の打開に役立てていただけるように、こうしていくつかの方法を提案させていただいた次第です。
多くの「あおり運転」は見境なくキレやすい輩の犯行。
警視庁にも訊きましたが、基本的に事故にならない限り「あおり運転」は、「車間不保持」という軽微な罪しか問えないと言います。
犯人が交通関連としては最高刑である「危険運転致死罪」を問われなかった東名の一件で、「法整備の遅れ」が社会的に指摘されています。
筆者個人としては、「運転妨害」という罪も新たに加えて欲しいと思うところです。
規制の強化も勿論大切ですが、本質としてこれは交通道徳以前の問題ですよね。
「あおり運転」の本質は、瞬間的にでも他者への思いやりや想像力がすっぽり抜け落ちる人間の所業。
かつて子どもの福祉に携わった身として感じるのは、規制強化の必要性と共に、今の子どもたちが将来こういった不道徳な人間として増殖することを防ぐことも必要だと思います。
直近、ライダーは今回ご紹介させていただいた方法で被害を最小限にする努力するよりないのかもしれません。
しかし、社会的に規制の強化と教育の再考、これを両輪として根本的な予防に努めるのが、「あおり運転」で亡くなられた方々への供養なのではないでしょうか?