最先端を征くバイクたちに会える。
モーターショウの楽しみの大部分はそこにあるのかもしれません。
若い人には斬新な感覚が、そうでない人には懐かしさが。
今回のモーターショーではちょっとした時空を超えた楽しみが待っています。
TIMEWARP RIDERS CLUB 今回はKawasakiブースの展示から「新しい懐かしさ」について掘り下げたいと思います。
目次
帰ってきたZ900そしてRS
今回のモーターショーでは、世界中の自動車メーカーが、EVや高安全技術などを盛り込んだコンセプトカーを多数出展していました。
そんな先端のバイクが多い中、Kawasakiブースは時間を巻き戻したような不思議な感覚を楽しむことができます。
それがこのKawasaki Z900RS
どうでしょう、「新しい!」と思った方。
「懐かしい」と思た方。
このバイクについては様々な反応があると思います。
硬派な方だと「ちがーうっ!」なんて言ったりするかもしれませんね。
昨年あたりから、スーパーチャージャー付のH2の車体をネオレトロ外装を付けたZ900RSが出るのでは?
そんな噂がありました。
でもどうやらそれとはまた別の形になりましたね。
Z900と750RS な時代
「レトロ」の元となったのは言うまでもなくZ1(ゼットワン)の愛称で親しまれるZ900です。
今でも中古市場で、完調なものなら100万円~200万円以上の値で取引されるほどの人気ぶりですよね。
誕生は1972年といいますから、筆者もまだ3歳。
高度経済成長の只中にあった時代で、「欧米に追い付け追い越せ」というのが合言葉のように言われていた時代です。
バイクの開発もまさにそう。
メイドインジャパンが世界に打って出る。
その一端を当時のバイクたちがになっていたといっても過言ではありません。
かつてのZたちを 見れば、今でこそレトロそのものです。
しかし今で言えばH2を見るような思いでZ1のスピード感に夢躍らせた人も多かったと聞きます。
当時はまだ世界で初めての4気筒OHCバイクCB750Kをホンダが出したばかり。
Kawasakiは世界初となるDOHC4気筒をバイクに搭載して、Z900をリリース。
当時から操縦する喜び、そして圧倒的なスピード感。
これこそがmade in Japan世界が!というアピールになりました。
輸出車として、特にアメリカで大人気となったZ1でしたが、当時の日本ではメーカーの自主規制により、750㏄を超えるバイクの販売は公式にはありませんでした。
それ故900㏄のZ1は夢の乗り物。
このスピード感を何とか手に入れたいという声に推されて、日本では1973年からいわゆるZ2(ゼッツー)として750RS が発売され、伝説的な人気を博します。
かつての2台からは、オーバー750㏄への憧れや時代の熱さなどに思いをはせる人も多いのでしょうね。
つまり、今回のZ900RSはZ1とZ2のダブルネーム。
そんな当時の熱さを現代の技術でまとめ上げた、Kawasakiファンの夢の結晶ともいえるバイクなのです。
じっくり見てみよう
参考元;http://veterans-gaming.com/index.php?/gallery/image/231-1973-kawasaki-z1-z900/
どうでしょう、あくまで同じ角度でぱっと見。
改めてZ1と比べると、1972年当時のデザインも相当スマートな印象を受けます。
エンジン回りからマフラーのシュっとした感じ、全体のまとまりもいいですよね。
そして今回のZ900RS。
先代Z900からすると、外観上は足回りが相当しっかりしたなぁという印象を強く受けます。
フロントのルックスは
ライトはLED。
この辺からパット見たときの「今」を感じさせますね。
ただ、メーターケースはブラックで当時の雰囲気があります。
メーターそのものは視認性のいいアナログタイプ。
スピードメーターとタコメーターの間にはシフトインジケーターも備えている点が新しさを感じさせます。
フロントの足回りを見てみます
そしてスポークの雰囲気を上手に表現したホイールはまさに「ネオ」で「レトロ」ですね。
それでいてこのラジアルマウントのキャリパーにはABSが組み合わされています。
当時のZ900がシングルディスクの対向2ポットキャリパーでしたから、この片に時代を感じますね。
更に頃を倒立サスペンションが支えています。
ZRX1200ダエグの後を追う形でリリースされたこのZ900RS。
ダエグが正立サスでしたから、、コーナーで「もうちょっとイケる感じ」がZ900RSには与えられているのでしょう。
先代のz900の尖がり具合からして、その辺も受け継いでいるんですね。
タンクからエンジン回り
でも、やっぱりZといえばティアドロップタンクですよね。
フレームの形式が変わっていますが、その上にこのティアドロップタンクをうまく載せてます。
Zの雰囲気をしっかり受け継いでいます。
そしてエンジンンは機械遺産的価値の高い空冷DOHC4気筒から、現行Z900をベースとした水冷DOHC4気筒へ。
空冷フィンの雰囲気をあしらった形で水冷っぽく見えるところをブラックアウトしてうまく造り込んでいますね。
マフラーの集合部の直後が太くなって、しっかり触媒まで見ていると、Zのイズムを未来に残そうという努力を感じます。
テール周辺にご注目
先代のZ900を知る人が「あっ」といいそうなのがリヤ周り。
テールのツッパリ具合もやや大人びた感じはしますが健在ですが、リアタイヤの向こうがスカッと見えるのがzらしくないという人もいます。
早くもネットで「2本サスじゃないとなぁ」なんてつぶやいてる人たくさんいましたね。
ただ、どうでしょう、こうして全体を見るとやっぱり新しいスポーツバイクですよね。
先代のz900の「影」は確かに受け継いでいると思います。
しかし、懐古主義的に先代Z900と同じ形をこのZ900RSに求めるのはちょっと違う気もします。
始めにお伝えしたように先代Z900が時代の中で目指していたもの。
それは「最先端であること」だと思います。
そのイズムを受け継いだとしたならば、このZ900RSはちゃんとその系譜の先端にあると言えるのではないでしょうか。
諸元を見てみよう
今回プレスカンファレンスで発表されたZ900RSの諸元は以下の通り。
筆者はXJR1300Lに乗っていますが、6速で111psはうらやましいです。
ダエグに乗っていた人からしても、一本サスや倒立サスの採用で、軽快でしっかりした操舵の楽しみを感じることができるのではないでしょうか?
モーターショーではスペシャルが見もの
今回のKawasakiブースではこのZ900RSがメインの見ものだと言えます。
更に今回は先代のZ900に縁の深いモトコルセやビトー、そしてドレミコレクションといったスペシャルコンストラクターたちもkのブースにコラボ出展。
↑JBビトーさんの力作、チタンパーツが美しいイエローのZ。
↑「あのモトコルセが造るとこうなる」といった感じオーリンズや専用カーボンパーツなど、豪華パーツの宝石箱やぁ。
彼らが腕によりをかけて制作したZ900RSカスタム達には各社のプライド、時に歴史がにじみ出ていました。
特にドレミコレクションは現在先代Z900のパーツを復刻作成している会社。
今先代Z900を所有するなドレミさんにお世話にならない人はいないというほど、Zを知り尽くした会社です。
なので、新車でドレミというのが非常にタイムワープな感じで素敵です。
ブレーキディスクがローソンタイプなのが渋い!
まとめ
今回のモーターショーでは、世界のメーカーがEVへの転換、そして高度安全技術の応用を盛り込んだ展示が多くありました。
KawasakiもEVに向け取り組みを紹介していましたが、コンセプトモデルの登場はなく、CGでの紹介にとどまりました。
今回Kawasakiが強調していたのは他とは違う「Kawasakiらしさ」。
つまり、力ずよくも荒々しくはなく、優しいけれどしっかり頼れる。
そうした愉しみの領域が広いバイクを作り続ける。
そして、ライダーが思いのままにマシンの性能を引き出していく。
そんな操縦する楽しさを将来にも残していきたいんだ、ということです。
「男Kawasaki」と最初に言ったのは尊敬する柏秀樹先生だということですが、
やはり今回このZ900RSからも「時代に流されないぞ」という硬派な感じが伝わってきましたね。
Z900RSは早くも年内12月から発売予定。
Kawasaki全部入りといった感じのこのZ900RS。
価格は120万円台になるということで、これは買いですね。
2017年12月12日追記;当ブログではZ900RSに試乗記事をアップしました。
詳しくはこちらをご覧ください。