ホンダCT125は6月発売へ!(前編)その歴史から見る「令和ハンター」の奥深さ

目次

CT125がこれからのバイクの風向きを変える?

最近、バイク誌ではバイクの新しい愉しみ方として、カブの話題を大きく取り上げる記事が多くなってきましたね。

今やカブ専門誌もあるほどのブームです。

これらの記事を読んでいると、カブさえあればいろいろな楽しみに出会えるんだなと思い、カブの世界に引き込まれていきます。

もしかしたら、カブのブームが新たな風向きを与え、バイクシーンの羅針盤が新たな方向を指し示しているのかもしれません。

恐らくその直近に見えているのは、これまでカブシリーズの永久欠番的存在だった名を冠した、あの名車の復活でしょう。

1980年に海外で登場し、未だ世界的な人気を誇るCT110。

その姿を令和に進化させたのが昨年の東京モーターショーで世界初公開となったCT125コンセプトです。

歴史ある個性豊かなスタイリングから、ある人は「ハンターカブ」の名に過去を見つめ、またある人は「CT125」の名に未体験の夢と可能性を予感する。

そんな風に、恐らく年代によって、その見方は多様なものだと思います。

いづれにしても、今後125㏄の手ごろ感の中に、バイクの楽しさの本質を期待するライダーが増えるのは間違いないでしょう。

そんな期待が高まる2020年1月、ホンダから「CT125ハンターカブ」が6月に発売予定だというアナウンスがありました。

今回はそれを受けて時空を超えながらバイクファンの期待を一身に集めるCT125ハンターカブの魅力を、その歴史に尋ねながら掘り下げます。


CT125までの歩みに訊くスタイリングの魅力

恐らくカブに造詣の深い諸先輩方からすれば「今さら?」と言われることも多々あるかと思います。

しかし、これからバイクを愛好してくれる令和の若者たちのためにも、CT125ハンターカブに至るバックグラウンドを探ってみるのは楽しいことなのではないでしょうか。

私自身、今回系譜をたどってみることで発見を楽しむことができました。

ですので、これまでの系譜をたどれば、恐らく日ごろ遠巻きにカブを見ている方でも、カブへの興味が隆起してくるのだと思います。

まさに、「古きを訪ね新しきを知る」ということで、CT125ハンターカブの奥深い楽しさがわかってきますよ。

アメリカ育ちのスタイリング

日本でも、未だ「ビンテージカブ」と呼ばれながら年季の入ったカブ主様方に愛好されているC100。


実はこのC100がアメリカで発売されたことが、CT125ハンターカブに続く歩みの第一歩と言えるでしょう。

C100を手に入れた西部のライダーたちは、レッグシールドを剥ぎ取ってブロックタイヤを履かせ、カブをダートトラックやクロスカントリーレースに持ち込んで遊びだしだのがコトの始まり。

そんな彼らのニーズに応え、1961年にアメリカホンダがCA100T TRAIL50を発売します。

今回、使用可能な映像が手に入らなかったのですが、リンクをざっとご覧いただくとお分かりのように、これが「カブ+トレールバイク」の融合が始まり。

レッグシールドを廃したワイルドなスタイルの源流がここにあります。

片手がフリーになるカブの特性と、軽量な車格がハンターに好まれ、山中の狩場に分け入るのに適したトレールマシンへと進化が続きます。

1963年には、沼地などの走行を考慮して、マフラーを勝ちあげたスタイルを持ったC105T TRAIL 55が発売されます。

CA100T同様、このバイクはブロックタイヤやチェーンを掛け替えることで2次減速比を変更できるダブルスプロケットを装備していたのが特長でした。

個のスタイリングが現地では大人気。

近代、我々が知るCTのアイデンティティー、あの勝ちあげマフラーのスタイリングの源流がここにあります

この人気を日本仕様として持ち込んだのが1964年に発売された上記のHUNTER CUB C105H。

つまり、「ハンター」の名は日本発祥で、このモデルが初なんです。

実は当時の国内向けC105Hにはレッグシールドが装備され、スーパーカブと変わらない姿で売られていたとのこと。

これを嫌らってレッグシールドを外すライダーも少なからずであったそうで、ひょっとするとこれが今も楽しまれているカブカスタムの源流なのかもしれませんね。



さらに同じ1964年の北米では、OHV87ccユニットを搭載してパワーUPしたCT200が登場。

このモデルこそが「CT」の名を冠した初めてのモデル。

赤いカラーのせいもあるのか、だいぶCT125のスタイルに近づいてきました。

1968年には日本でも、法規に合わせたCT50が誕生。

51歳の私が幼稚園生の頃、住んでいた団地の駐輪場にこのバイクがあって、子どもながらにこのマフラーがカッコいいと思ってみていました。

現在は私くらいの年齢の方々がバイク人口のコア層。

なので、多くの人が幼少期に見た「勝ち上げマフラー」の記憶が、CT125を期待する呼び水になっているのかもしれませんね。

その後「カブ+トレールバイク」のコンセプトは世界的に拡散、1981年には日本仕様のCT110が発売されました。

発売から38年が経過した今も世界的に人気は衰えを知らず、CTだけを扱う有名専門店があるほどの人気ぶりです。


写真は海外仕様のクロスカブCT110。
(「クロスカブ」の名もここから来ているんですね。)

カブの歴史の中でも特筆的なテレスコピックサスの採用で、トレールバイクとしてのパフォーマンスが格段に向上。

山中で斜面に対応しやすいようにと、左右にサイドスタンドを配置しているというのもユニークです。

特にリアキャリア付近に備えられたエアクリーナーのインテークは、マフラーのスタイリングと共にCTが持つ、もう一つのトレードマーク。

昨年の2019年の東京モーターショーに参考出品されたコンセプトモデルにもそのコンセプトは受け継がれていましたね。

これまでもクロスカブ110がハンターカブの意匠を継承してくれていたわけですが、


ちなみにこちらのクロスカブは、ポジドライヴのDr.モペットを装着しています。

バイク座シート Dr.モペット

価格:14,300円
(2020/1/31 12:58時点)
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CT125ハンターカブでは意匠のみならずハンターとしてのギミックを新しく磨きながら継承したというのが大きな見どころ。

各部には、かつてないほど「ホンダの本気」を感じさせる造り込みが施されていて、その容姿には思わず引き込まれる引力を感じます。

ただ、外見的に見える魅力は、CT125の魅力のうちの表紙部分。

これまでを見てお分かりのように、CTのネームと独特なスタイリングは、日本から世界に旅立ったカブが、様々な文化を吸収しながらその国に馴染む形に変化してきた証。

それだけに、CT125(コンセプト)が昨年の東京モーターショーで世界初公開となったことは非常に意義深く、

オリンピックイヤーの2020年に世界を吸収してきたハンターカブが、今度は日本から世界に向けて発進しようとしているというのが面白いところなのです。

私も今回、系譜をたどることでCT125に至るバックグラウンドが広く見えて、「令和ハンター」への期待が益々大きくなりました。

そしていよいよ、市販車の「CT125ハンターカブ」が6月に発売予定となります。

CT125ハンターカブ

ちなみに、この写真をご覧になって、「おっ」と思われた方も多いと思います。

実は東京モーターショーに出品されていたCT125コンセプトからさらに進化したモデルになっている模様。

その違いは、さらに別の稿で詳しくお伝えしていこうと思います。

いづれにしても、CT125ハンターカブは今後いろいろな世代を巻き込んで、世界のバイクシーンに楽しい渦を起こしてくれることでしょう。

AT小型免許で乗れるアドベンチャーバイク。

これは本当に待ち遠しい一台になりましたね。


まとめ

最後に、ちょっとこちらのポスターをご覧ください。

これは先日リニューアルオープンした、ホンダ本社1階の「ウエルカムプラザ」で見かけた歴史展示の一つ。

関連記事「ホンダウエルカムプラザ青山がリニューアル」

ここからは、早くから世界を見渡したホンダの勢いを見ることができますね。

恐らくグローバル化という言葉は、今や会社でも学校でも相当に使われている言葉だと思います。

しかし、多くの場合この言葉は「外国人と会話ができること」として誤解されているようですね。

真のグローバルとは言葉だけでなく、自国の文化を海外に紹介したり、その国の文化に馴染み、自国にその文化をなじませたりすることがそうなんだと思います。

世界のカブはまさにそれを地で行くもの。

CT125ハンターカブのネームとスタイリングはグローバリズムの象徴です。

 

さて、CT125、そのバックグラウンドをご理解いただいたところで、後編では、東京モーターショー披露されたコンセプトモデルと6月に市販予定の「CT125ハンターカブ」との違いから、その乗り味をバーチャルインプレッションしてみます。

お楽しみに!

「ホンダCT125ハンターカブが6月発売へ(後編)発売前のバーチャルインプレッション」


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