目次
「令和ハンター」見参
2019年の東京モーターショーで、世界初公開となったCT125のコンセプトモデル。
公開当時、ビックサイト付近は相当な荒天だったにもかかわらず、
「このバイクだけを目当てにビックサイトに足を運んだ」
という人も多いのではないでしょうか。
1981年の名車、ハンターカブことCT110の独特なスタイリングを引き継いだCT125コンセプト。
懐かしい容姿の中にあるLEDヘッドライトや、ABSを備えた(前輪のみ)ディスクブレーキの輝きは、昭和のノスタルジーと令和への期待をクロスオーバーさせながら、私たちに新たな夢を見せてくれているようです。
CT125のあの独特なスタイリングは、カブが海外の文化を吸収する中で形作られてきたもの。
グローバルなバックグラウンドが、CTそしてハンターカブの名を冠するバイクの「目で見る以上の魅力」です。
その次章を、令和の楽しみ方として繋いでいこうとしていることが、後述する市販予定車「CT125ハンターカブ」の面白いところ。
その価値観をお伝えするべく、先日お伝えした(前編)の記事では、その系譜をたどりながら、CT125ハンターカブのヒストリーをご紹介していました。
ホンダCT125は6月発売へ!(前編)その歴史から見る「令和ハンター」の奥深さ
今回、この(後編)では公開された市販予定車「CT125ハンターカブ」の外観をコンセプトモデルのそれと比較し、CT125ハンターカブの乗り味を予想していきます。
「コンセプト」と「市販車」、実は「ほぼ別モノ」
東京モーターショーでのワールドプレミアから約3か月後の2020年1月。
ホンダはCT125の価格と発売時期を発表しました。
こちらが市販車の「CT125ハンターカブ」。
「公開できる写真はこれしかない」ということで、視覚的な情報はこの角度から分かることだけです。
しかし、コンセプトモデルに与えられることがなかった「ハンターカブ」の名が与えられたことから、ホンダの相当な本気ぶりがうかがえますね。
ただ、注意深く見てみると、コンセプトモデルからさらに、いろいろな部分が変更されているのがわかります。
ではまず、前の方から一つづつ比べてみましょう。
灯火類に微妙な違い
わかりやすいのはウィンカーの色。
コンセプトでは4灯のLEDがオレンジのレンズの中に入っている形でしたが、市販予定のCT125ハンターカブでは、クリアレンズになっています。
ちょっとこれは間違い探しレベルなんですが、市販車のCT125ハンターカブの方が若干ライトが大きいのがお分かりになりますか?
ちなみにメーターの位置はよく見るとコンセプトでは左側にあったものが右側にマウントされているのがわかります。
このエリアで目立つのはその辺なのですが、よーく見るとライトケースも大きくなっていて、ライトステーの形もそれに合わせて変わっていますね。
キーレスでないのが「ハンターらしさ」
そして気になるのが、イグニッション。
東京モーターショーのCT125コンセプトでは、イグニッションが普通のキーシリンダーを回すタイプを採用していました。
市販車のCT125ハンターカブではC125と同じキーレスタグになるという見方もありましたが、どうやらそうではなく、キーを使うものになるとのこと。
親しみやすい「ハンターカブ」を名乗る上で、あえてキーレスを選ばなかったのは正解だと思いますね。
ただ、ナビやドラレコなどの電源を取ることも必要な現代なので、メーターの脇には標準かオプションかは不明ながら、DC12Vのアウトレット電源が装備されるという違いもあるようです。
キャリパーとタイヤの違い
さらにこの写真から明らかなのは、タイヤがブロックタイヤからロードユースを考慮したデュアルパーパスタイヤになっていること。
CTが形作られてきた諸外国では走破性こそが求められてきたわけですが、この変更はCT125ハンターカブにおいては走破性に加えも、ロングツーリングでの安定性や快適性を求めた結果なのだと思います。
ブレーキキャリパーはタイヤグリップの向上を考慮したのか、1ポットから2ポットに変更。
さらに、ディスクもボルトを5本から4本にすることで軽量化を図り。ハンドリングの軽快感を高める工夫が見て取れます。
ABSについては、今後の新車販売に装着が義務付けらるため、非ABS車との併売はなく、ABSの装備が標準となるようです。
マフラー形状の変化
恐らくこのアングルで一番目立つのは、マフラー形状の変更だと思いますが、どうやら変更はそれだけではなさそうです。
例えばそのマフラーも、シートの位置とスイングアームのピボット位置との関係から見ていくと、マフラーが全体的に下方に下げられているのがわかります。
それでいながら市販車のCT125ハンターカブの方が後端の位置がさらに高く、リアウインカーとの関係からも、また後方に長くなっているようです。
これに合わせて、サイドカバーもマフラーを避けながら、マフラーとの一体感を持たせている印象になっていますね。
タンク・外装パーツの変化
また、少しずつ視線を上にあげると、シート形状もだいぶ違うのがわかりますね。
カブを対象とした疲労軽減シート、Dr.モペットを造っているposidriveの広報も担当している私ですので、
価格:14,300円 |
東京モーターショーでは、このシートに関してかなり念入りに観察していました。
ご覧いただける通り、コンセプトモデルの方のシートは、巨大化した燃料タンクをカバーするように形成されているのがわかります。
これが市販車予定車のCT125ハンターカブになると、実用性がさらに考慮され、シート肉も肉厚になっている模様。
私はこの変更を見て、はじめはC125のものを流用することになったのかとも思ったのですが…、
C125とも違うオリジナルのものを新たに造っているのがわかりますね。
恐らく流用パーツを使うことを前提にする方法もあったのかもしれませんが、コストをかけて金型を起こし、専用パーツをおごる。
やはりここに、ホンダの気合の入れ方の凄さを感じないわけにはいきませんね。
エンジンもハンター専用
そしてなんといっても大きな変化は、エンジンの変化。
両車ともC125をベースにしたものということですが、
クランクケースの形状が微妙にちがうのがお判りいただけますか?
CT125ハンターカブでは、オイルキャップの位置も変わっていて、コンセプトモデルになかったキックスターターが追加になっています。
恐らくこの外見の違いは、内部構造の変化によるものなのだと考えられます。
ステップクオリティーとセンタースタンド長の変更
ステップ位置は両車とも同じ位置にあるものと思いますが、パーツのクオリティーがかなり上がっているのがわかりますね。
さらに、この部分の比較で私が注目しているのがセンタースタンドの長さの違い。
コンセプトモデルよりも、CT125ハンターカブの方が明らかに長いんです。
いろいろな物差しで何度も図りながら見てみましたが、タイヤのインチ数には変更がなく、車高にも変化はないようです。
どうやらこれはセンタースタンドの根元をエンジンに寄せながら位置を少し上げ、マスの集中を図りながら最低地上高を稼いでいるように見えます。
タンデムステップのマウント位置確定
また、リアブレーキがABSではないのはそのままですが、リアキャリパーには「NISSIN」の刻印を追加。
また、コンセプトモデルにはなかったタンデムステップですが、
CT125ハンターカブではスイングアームにしっかりとマウントされているのがわかりますね。
微妙な違いが意味するもの
さて、ここまでいろいろな違いを見てきましたが、この違いからCT125ハンターカブがどんな乗り味なのか?
その辺が少し垣間見られたような気がします。
恐らくコンセプトモデルからCT125ハンターカブへ進化するにあたり、「重心の最適化」はテーマの一つだったのだと思います。
例えば、マフラーの取り回しが全体に下げられたことで低重心化が図られ、ロングツーリングでも疲れにくい安定感のあるゆったりとした乗り味が期待できますね。
また、センタースタンドの位置の最適化などマスの集中化を併せて考えれば、ハンドリングには素直で軽快機敏な一面を持ち合わせているのかもしれませんね。
また、写真では角度も違うので実際そうなのかは確かではありませんが、
CT125ハンターカブの方がスプロケットが若干小さいようにも見えます。
もし、これが気のせいではないとすると、ギアチェンも忙しくなく、伸びやかな加速感を得られるでしょうね。
ちなみに「先代」のCT110はトレッキング色が濃厚なバイク。
そのキャラクターを引き継ぐべく、コンセプトモデルでは重心も少し高めにして、ショートなギアで登坂性を重視していたのかもしれません。
しかし、ブロックタイヤ⇒デュアルパーパスタイヤへの変更に表れているように、CT125ハンターカブの市販化に当たっては、トレールファンに的を絞らず、むしろ初心者ライダーにも門戸を開くためにオンロードでの巡行性を豊かにすることが重視されたのでしょう。
さらにスプロケットの変更で、短距離よりも中長距離で燃費を稼ぐことに重点が置かれたのであれば、このクラスならではの旅を楽しめむツールとして、これまでにない「カブツー」の愉しみを提案してくれるマシンになりそうな予感がします。
発売秒読み、果たしてこのプライスは高いのか
今回ホンダモーターサイクルジャパン様から頂いたCT125ハンターカブの写真はこのカラーのみ。
問い合わせてみても「発売前なのでどのカラーが発売になるかはわかりません」というお返事でしたが、各誌WEB版の速報を見る限り、メインカラーとも呼べるレッドも発売されることは確実視されています。
しかも、レッドのキャリアはコンセプトモデルと同じく、ボディー同色となるようなので、見た目にもかなり鮮やかな印象になるでしょうね。
また、東京モーターショーでは、コンセプトモデルに見られた新規専用パーツが多さから、相当な価格になるという噂もありました。
まだ諸元の詳細は記されていませんが、写真と共に送られてきた案内に記されていたのは、
「CT125ハンターカブ、2020年6月発売予定」
440,000円前後(消費税込み)
ということだけ。
確かに「カブ」として見た場合40万円越えは高い気もしますが、CT125ハンターカブは先代CT110の魅力を引き継ぐ新しい夢をかなえるツール。
この内容でC125から33,000円UPのプライスはむしろ良心的と言えるでしょう。
まとめ
かつてモーターショーの花形は最新の大型バイクでしたが、近年、各国で行われるのメインステージ注目を浴びるのは、ミドルクラス以下の親しみやすいバイクたち。
世界的に、小型なバイクたちに熱い視線が注がれています。
やはり、日本でもバイク人口の平均年齢が約53歳(日本自動車工業会2018年4月調べ「二輪車市場動向調査」より)に達した今。
パイクやパーツの価格も上がり、生涯現役ライダーを貫くことを考えるうえで、維持費の安く、短距離でも奥深い楽しみが得られるカブが、急速に見直されています。
また、これまでご覧いただいたように、先代CT110のスタイリングは世界に育まれた型。
そのスタイリングを現代によみがえらせたCT125ハンターカブなら、新しい時代のアイコンとして世界の人々から親しまれれる存在になるのではと、その姿が店頭に並
ぶのをワクワクしながら待っています。
映像協力 ;ホンダモーターサイクルジャパン株式会社
小生もベージュのを注文してあります。年金生活、体力を、ラフ派、4ストシングル好きを考えるとやっぱりこのバイクになりますよ。13台のりつぎましたが33年振りの2輪の新車。早く乗りたい!滋賀/土居
土井様、コメントいただきありがとうございます。
ハンターカブ、ご納車が待ち遠しいですねぇ。
先日C125niha 乗りましたが、あのエンジンがベースということですので、乗り味も相当らくちんなものになっていると思います。
来月の販売時期には、恐らくコロナも退散していることでしょうから、思いっきり楽しまれてください。
いやー、うらやましいぃ~!!