初めてバイクを買うとき、それが新車ならメーカー保証状態ですから、安心感も大きいですよね。
しかし、少しでも安く手に入れたいのであれば、中古車を選ぶというのもやぶさかではありません。
ただ、バイクは車以上にパーツの一つ一つに命を預けることになる乗り物です。
それだけに、少しでも程度のいいものを選びたいですよね。
特に、中古車の場合は品質は一定ではないので、その傷み具合を見極めることが必要になります。
そこで起きてくるのが、「中古車を選ぶとき、どんな点に注意して選んだらいいの?」というお悩み。
今回は、絶対外せない重要なポイントをお話ししていこうと思います。
目次
「いいバイク」って何だろう?
「バイクに乗っている人を観て、自分もバイクに乗ってみたいと思うようになった。」
例えばバイクに乗るきっかけがそういう衝動的なものであることはよくあることです。
「凄くバイクに乗りたいんだけど、バイクの事は全然わからない。」
そういう方、身近にもいますからわかります。
そこで悩むのが、中古バイクを何を念頭に置いてバイクを選んだらいいのか?
どんな人でもとりあえず、ある程度かそれ以上の「いいバイク」の乗りたいという願いはあると思います。
じゃあ「何がいいバイクなのか?」とお聞きになりたい方も多いですよね。
筆者が思うにそれは「何に対していいバイクなのか?」を考えることだと思います。
そこをまず考えましょう。
バイクで何がしたいの?
「バイク」と一口に言っても、いろいろとジャンルというかカテゴリーががあるものです。
なので、最初に「バイクで何をしたいのか」という方向性をはっきりさせるといいですよ。
「バイクでやりたいこと」これに応じたバイクを選ぶとその先の楽しみは無限大に広がります。
例えば…。
- 普段の足としてより便利なものが欲しい
- 旅に出たい
- サーキット走行を始めたい
- オフロードで飛んだり跳ねたり、林道走行だってしてみたい
そうですねぇ、サーキットにも行けちゃうスポーツバイクで通勤からツーリングというのもアリです。
またオフロード車であれば結構オールマイティーにこなしますし、サスペンションが大きく良く動くので通勤使用では疲れを感じにくいのでグッとですね。
なので最初にバイクを選ぶなら、ある程度バイクでやってみたいことを考えて、それを叶えてくれる車種を選ぶことをお勧めします。
車種が決まったら相場を探ろう
結論から言えば、値段の安さで飛びつくのはナンセンスです。
少しでも良い車両を仕入れたいのであれば、受け身な買い物は禁物。
ネットを使ってその車種のちょっとした「オタク」になるくらい、攻めの買いがベストでしょう物。
とはいえ「安いか高いか」はどうしても気になりますよね。
ただこれももっと相対的に考えなくてはいけません。
値段の高い安いは、そのバイクの相場から言って高いか安いかを判断されるべきです。
では、どうやって相場を探るのか、具体的にその方法からご説明しましょう。
まず、候補となる車種を2~多くとも4車種くらいに絞ります。
そしてそれぞれの車種について、ウェキペティアなどの情報を参考にその車種の特長や、リコールの有無などを大まかに認識しておきます。
次に、バイクブロスなど中古車情報サイトで近隣の地域に絞ってその車種の検索をかけ、だいたい10~20件くらいを抽出してサンプルとします。
参考元;http://www.bikebros.co.jp/bikesearch2/B01/1024544/
このときのポイントとして、その車種における、
- 値段と走行距離の傾向。
- 傷などの具合と走行距離の傾向。
についてみることで、大まかな「相場」を把握することができます。
つまり、「これくらいの走行距離ならこのバイクはだいたいこれくらいの値段。」
というのが解ってきて、同じ距離なのに相当安く売られている場合には「何か訳がある」といった具合に目見が立つわけです。
お店を廻って実車を見に行こう!
こうして車種の相場を把握したところで、今度は実際の購入も視野に入れた形でお店を選んでいきます。
メールで質問、あるいは電話でということも今どきできないことではありません。
でも、ここはやはり実際にお店に行ってみることをお勧めします。
というのも、お店もいろいろで、その車種に対して得意不得意があったりは正直あるものです。
また、
- 感じがいいお店なのか?
- 車種についての知識が豊かなのかどうなのか?
中古車にトラブルはつきものですから、やはり親身に相談に乗ってくれて、長く付き合えるかどうかを見ていくことが目的です。
バイクの安さだけではなく、候補となるお店のサービスの質もしっかり見に行きましょう。
またできれば一回の来店で決めてしまわずに、2・3軒、それも2・3回づつ行くのがいいと思います。
良い店なら顔を覚えてくれますが、何度か行っても覚えてくれない店はサービスが期待できません。
また、この複数の店を何度も訪れるのには狙いがあって、これは候補に挙げた車種について複数の個体のエンジンの音などを覚える為でもあるんです。
タイヤの減り方、距離年式を考慮していくと、値段もそれ相応かどうか、その判断材料になるものです。
また店によって購入後のロードサービスや補償の旗艦・内容も異なります。
そういったことも含め一つでも良い条件での購入を心がけましょう。
中古車選びの外せないポイント
バイク屋さん目線で言えば、どんなボロバイクでも「パリッ」ときれいに見せる技はいくらでもあります。
外見で飛びついてはダメ!
なので「外見がキレイ=調子のいいバイク」とは限りません。
つまり、値段の安さとパッと見がキレイだからと言って飛びつくのは限りなく「ナシ」です。
中古バイク選びではどうしても外してはいけないことというのがあります。
それは、バイクの基本性能つまり、「止まる」「曲がる」「走る」という点に欠損がないかどうかです。
とにかく「命にも関わること」という認識を持って中古車を選ぶことがまず大切なんですよ。
そのためには、外装状態に惑わされず、そのバイクの基本的な部分がしっかり機能するかどうかを確認しなくてはなりません。
ひとまずバイクを前から順にみる形でポイントを整理しますね。
「止まる」ことをテーマに見ていく
「止まる」という点について重要なのはやはりブレーキですね。
まず、ブレーキディスクを指で挟んだとき、明らかに凹凸がわかるものは、ディスクの限界に達している可能性があります。
また、ブレーキレバーを握ってなにか違和感を感じるものはご用心です。
お店の人がいい人なら、前輪を少し持ち上げて車輪を回し、ホイールやブレーキローターが左右にぶれないことを確認させてくれます。
もしお店の方からでなくとも、お願いしてやって見せてくれれて問題なければ、サービスとしてもGOODです。
またブレーキパッドの消耗の度合いが激しいものや、ブレーキフルードがこげ茶色になって劣化しているものもあります。
ほとんどの店では納車整備時に無償交換の対象となるはずですが、稀にこれを渋る店もありますので、その店とは縁がなかったことにするべきです。
「曲がる」ことをテーマに見ていく
「曲がる」という点では、フロントフォークのゆがみや、ステム系の変形や劣化がないかどうかが重要なポイントです。
まず、見た目で、フォークオイル漏れが見えなくても、フロントフォークを2,3回ストロークさせて中のオイルが出てくるようならアウト。
発見したら、お店にオーバーホールが無償整備の範囲に入っているかどうか確認が必要です。
店によって納車整備予算が違いますから、受けてもらえないこともこれまたまれにあるんです。
またフォーク関連では、インナーチューブに傷があるものは事故車の可能性があります。
これも同様にお店が把握している要因をしっかり聞き出すことが肝心です。
更に、ステムの状態を見ていきましょう。
この中で購入の選択肢から除外するべき車両の見分け方というのがあります。
ハンドルを2・3回左右に動かして引っかかりがあるものはステムベアリングが劣化している可能性があります。
これはお店に言ってベアリング交換を無償でお願いできるかの確認をしてOKであったら大丈夫でしょう。
問題は次のような場合です。
- 左右のハンドル切れ角が異なるような場合、
- あるいはハンドルロックがかからない場合
- 左右に切ったときに車体が大きく上下してしまうもの
- フロント関係のパーツがほかのパーツに比べて明らかに新しい場合
- エンジンやエキゾーストパイプにタイヤが当たったような跡があるもの
これらは事故車である可能性が強く、フレームに異常があるとみて、特段の理由がない限りその個体は購入の候補から外すべきです。
まずお店の方で積極的には教えてくれない内容なので、「ひょっとしてこれは?」と言ったときのお店の反応を見るしかないですね。
それで、「実はそれで安くなっているんです」と正直に言う店ならお話だけ聞いてあげてもいいと思いますが…。
「走る」ことをテーマに見ていく
「走る」という点では、まず燃料系とエンジン、それに駆動系を重点的に見ていくことになります。
タンクの中はキレイ?
初めてバイクを選ぶ人が見落としがちなのが、タンクの中の錆のチェック。
実はガソリンは生ものなので、長く放置されていると硫黄化して(腐食して)異臭を放ちます。
その上タンクの中が腐食して錆がたまり、燃料系統を詰まらせてしまうのです。
旧車は特に要チェック項目ですが、比較的新しい車両でも、保存状態が悪い中で放置された経験のある車両は、タンク内が錆びていることがあるので注意しましょう。
このチェックの方法としてはエンジンをかけさせてもらう前に、お店の人に断って、スマホのライトなどでタンク内を覗いて見える限り奥の方まで錆の油有無を確認します。
このとき、錆があるようであれば、お店の人に指摘して、タンク・キャブレター、またはインジェクション系統の洗浄をしてもらいように言っておきましょう。
タンクの中が真っ赤ならタンクの板ガ薄くなって穴が開いてしまう恐れもあるので、程度によっては交換が必要な場合があります。
タンクの錆は走行中に不調になる原因にもなりますから、外装がキレイでも疑って、タンクの中をしっかり見ておくことが必要なんです。
始動音に気を付けよう
お店の対応が良ければ、エンジンをかけさせてもらうことができるはずです。
そこで、まずかかり具合をチェックです。
機関的なこともありますが、合わせて電気系の調子もあわせて知ることができます。
展示状態ですと、既にバッテリーが弱っていることも少なくありません。
なので、お店では必ずバッテリーが無償で新品交換になるかどうかを尋ねましょう。
店によってはオプションということで有料交換になる場合も少なくありません。
また、スターターの元気さも良く聞きましょう。
スターターリレーなどの回路も消耗品なので、劣化していればスターターの回り方に元気がありません。
この辺はバイク屋さんとしても瑕疵(見えない)的な部分で、悪く言えばごまかしが効くところですから、しっかり聞き分けるのがポイントです。
エンジンの音に金属音はないですか?
エンジンがかかったらまず、アイドリングが安定しているかどうかを見ましょう。
冷感時でもある程度安定したアイドリングを保てるのが理想です。
比べてみますと、結構個体差が解り易いくらいあるものです。
回したときのふけあがりに引っかかるところがないか、『ギリギリ』・『ガシャガシャ』・『ゴリゴリ』など異音がないかに着聴します。
間隔の不均等な音、均等でも大きな音など、異常があれば大きな問題があるとみてよいでしょう。
このときさらに走行距離数が若いのに音が出ている場合で、他の個体と比べて音質が悪ければ候補から外した方がいいでしょうね。
このためにも他店展示車を複数見るのが必要なんです。
オイル漏れやゴムパーツのヒビはないですか?
エンジンを暫くかけさせてもらって、エンジン下にオイルや燃料等が垂れてくるのはその場で魅せのスタッフに指摘した方がいいですね。
また、エンジンのアイドリングがいつまでも不安定だった場合には、キャブレター周りのゴムパーツの劣化が原因であることもあります。
良い店ならこの辺は抜け目なく無償交換しますが、言うまでやってくれない店も残念ながらあるので、これはお客さんの側からちゃんと話題に出して点検を促すことも重要なんです。
意外と見落としがちな点に気を付けよう!
そのほかチェーンやスプロケットなどの消耗品の傷み具合のチェックも必要です。
駆動系の具合はどうですか?
外装の具合やエンジンの具合を見て一番見落としやすい点でもありますからね。
チェーンや前後スプロケットの3点については、スプロケットの歯の削れ具合で判定します。
明らかに新しいもの以外は、購入時新品になるかどうかをお店と交渉しましょう。
これはオプション扱いになることが多いのですが、ミラクルなお店?あるいは状態が明らかに劣化状態なら、無償納車整備の項目に入れてくれるかもしれません。
また、クラッチやアクセルのワイヤー類の両エンドに、ひどい錆がある場合もお店に交換を求めましょう。
ツーリングに出てワイヤーが切れたら泣くに泣けませんからね。
タイヤもちゃんとチェックしよう!
またチェーン同様、見落としがちなのはタイヤの状態です。
ありがちなのは、
- タイヤのトレッド部分(路面に接する部分)やサイドウォール(側面)に日々があるケース
- 明らかにすり減っていたり、サーキットでの使用でサイドが溶けているもの
- 前後の銘柄は全く違うケース。(例えばオフ車で前だけオンロード、後ろがブロックタイヤといった具合もあります)
- タイヤゴムの鮮度落ち
タイやゴムは生ものなので紫外線などで硬化していき、グリップ力が低下していくものです。
ヒビやすり減りがなくても、サイドウォールに記されたタイヤの製造月日から、3年以上経過していないか確認しましょう。
これらの条件に当てはまる場合には、購入前の交換を依頼するべきです。
同じようにこちらもオプションになることが多いですが、状態によっては無償交換について相談の余地ありだと思います。
初心者とバイクのネット販売
だいたいこれまでお話しした内容が、お店で中古車を選んでいくうえで大切なプロセスとなります。
ただ、今はインターネットで安いバイクを簡単に探せるようになりました。
手間なくバイクを手に入れたいというのは誰しもが思うことでしょう。
当TIMEWARP RIDERS CLUBでは「ネットでバイクを買うとき役立つポイントは?実際に1台購入してみた」
という記事の中で今の愛車を購入するところをお伝えしているので、興味のある方は参考にしていただけたらと思います。
ただ、もうお分かりのように、安さにはやはり理由があって、単に年式落ちや積算距離数だけでは判断の付きにくいところは多岐にわたります。
もちろんお店の要でも納車整備はすると思いますが、無償で整備をする範囲や予算も店によってまちまちです。
これまでお話ししたようにいろいろと現状に合わせた交渉が、上手な買い物の鍵です。
それに多くの場合、相場的に対して安いバイクは「安く出しますのでそれなりに了承してください」という意味です。
バイクの知識のある方であれば、年式や距離数から不具合の有りそうな部分を予想して質問もできて自己対応も可能でしょうが、何もわからない状態で安さに飛びつくのは危険です。
やはり初心者が一人で最初から中古車の通信販売に飛びつくのは全くお勧めできません。
まとめ
さて、ここまで非常に大まかですが、中古バイクを選ぶうえでどうしても押さえておいて欲しいこと。
そして、お店との交渉のポイントなどをまとめてきました。
筆者はかつてバイクの買取販売店に勤務して、整備もこなしていました。
なので、車種ごとにいろいろな「クセ」があるのを知っています。
またお店がすまし顔で売りたい部分もちょっと知っていたりするんですね。
今回はそうして経験を踏まえた上でのアドバイスです。
これを執筆しているのは10月中旬。
学生さんもバイトで頭金ができたり、春から自動車学校に入校して頑張ってきた人たちも、バイクの購入に具体的な行動に入るシーズンですね。
そんな折、ぜひご参考にしていただけたら嬉しいです。
バイクで、豊かな毎日を!!