ホンダ スーパーカブ110試乗インプレ【カブと暮らす和みの日々】

目次

うらやましいぞ、カブ主さん!

最近SNSやバイク誌各誌をにぎわせているのはカブの話題。

ブームもだんだんと熱を帯び、今では大型量販店の一角にもカブコーナーが設けられるほどの勢いです。

手ごろで気軽、そんなカブだからこそ味わえる世界があるそうで、それを紹介する誌面はいつも笑顔があふれています。

私もposidriveで、カブにターゲットを絞った疲労軽減シート「Dr.モペット」の広報や販売をしながら、イベントなどでいろいろなカブ主様方にもお会いしてきましたが、

 

やはりどの方も楽しそうです。(お買い上げありがとうございました。)

さて、日ごろは1000㏄のスポーツバイクに乗る私。

現在私の手元にカブはないのですが、彼らに出会ってからカブ主様たちがとてもうらやましくなってきました。

「もしカブと暮らせるならば?」

そんなことを思いながら今回は、ホンダモーターサイクルジャパン様からスーパーカブ110の広報車をお借りして、「カブと暮らす楽しさ」を体験してみたいと思います。


カブが我が家にやってくる!

といってももちろん、新車を自分のものとして納車するわけではありません。

それでも東京・青山のホンダ本社へ向かう日は「カブに会える」という興奮から胸が躍りました。


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いよいよお預かりするカブ110とご対面。

用意されたのはなんと、

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造形社さんの「カブonly Vol.6」の表紙を飾っていた車両そのものでした。(なんともご縁のあることで…。)

街中で散々見かけるカブですが、カタログ撮影にも使われる車両ということもあって、細部まで実によく磨かれています。

そんなこともあって、「きれいなバイクだなぁ」というのがカブ110を見た第一印象。

1週間お借りするだけなのはわかっているんですが、カブを連れて帰れることに大きなワクワクを感じていました。

早速この子にまたがって、いつもの撮影場所へと移動します。

カブが思い出させてくれたもの

通常、私のインプレ記事ではメーカーさんから1週間ほど車両をお借りします。

そして、この日程の中で天候が悪化して思った撮影ができなくなることを恐れ、お借りしたのその日が晴れていれば「予備撮影」と称してマシンの外観撮影を行っています。

ホンダさんからお借りした場合、いつも立ち寄るのが神宮外苑の絵画館前。

幸いこの日は晴天で、自然光の下に置いたカブ110はアーベインデニムメタリックの奥深いメタリックがピカピカと輝いていました。

普遍的なスーパーカブの外観を見ていると、私の幼少時代のことが思い出されていきます。

私の小さいころ、父親は街で小さな印刷工場を開いていて、当時のカブでよく仕入れや納品に出かけていました。

思えば私とバイクとの出会いというのはそのころのカブが初めてだったのかもしれません。

きらめく美しいカブの姿。

そこから親父の働く姿がちらちらと思い出されたのは、カブならではのことでしょう。

それほど一見変わらないように見えるカブですが、改めて目の前のスーパーカブ110を見てみると、細部はやはり進化していて、

愛らしいカブの表情を創るライトも今はLED。

スイッチ類も当時のようなゴツゴツとしたものではなく、カバーと一体感のあるスマートな形になっています。

視認性の良いメーターは120㎞/hまで目盛られていて、これもまた『親父のころとは違うんだな』と思わされたところ。

「原付」の主役はやはり、ピングナンバーに以降したこのメーターを見ながらそれを確認したような気持になりました。

そんなメーターを見ながら「ふふっ」と思いだしたのは、かつて親父の頃のカブにはメーター内に燃料計がなかったこと。

シートを開けてタンクに直接取り付けらた燃料計を走行前に確認しておく必要があったのですが、うっかり深夜にガス欠を喫し、長い距離カブをブツブツ言いながら押して帰ってきた父を、当たり前のようについている燃料計を見て思わず思い出しておりました。

剛と柔の同居に宿る信頼性

ホンダの青山本社ビルから神宮外苑までは目と鼻の先。

この少しの距離の中でも感心させられたのが、車体や足周りの出来の良さでした。

2008年型のAJ07あたりからスイングアームはそれまでのプレス材ではなく、細身ながらもしっかりとしたスチール角パイプになっていて、この2018年型AJ47からは、リアサスの取り付け部を強化して剛性をアップさせています。

フロントサスは、かつてのボトムリンク式にあったどこか掴みどころのないフワフワした感じではなく、路面をとらえながらその凹凸の形をしっかりとライダーに伝えてくれているのがわかります。

車体には「実用車」として「流石」と思えるしっかり感があると同時に、ハンドリングは機敏でヒラヒラとライダーの入力に素直なのが好印象です。

剛と柔の同居したその乗り味は、1人前、いや1台のバイクとしてかなり完成されたなものだと思いました。

電子制御の「で」の字もない、普遍的で素朴な実用車。

しかし、この「任せてください!」と言わんばかりの小柄な相棒に、早くも信頼を寄せる私がいました。

ロータリーギアを蹴りこむ楽しさ

さて、呼び撮影も終わり、これから多摩の自宅へと向かいます。

乗り慣れたスポーツバイクと一番違うのは、やはりクラッチ操作のいらない自動遠心クラッチ付きロータリー4速ギアの存在。

いつの間にかヤマハのメイトやスズキのバーディーといったライバルたちがいなくなり、今やこのミッションは元祖にして唯一無二の存在。

ガシャっガシャっと、一つ一つのギアに入れたことを確認するかのように、蹴りこむ大きめなアクションが、カブらしいリズムを刻んでいきます。

頭ではわかっていたものの、初めは少し戸惑うロータリーミッション。

しかし、このシフトフィーリングは、かつて学生の頃に新聞配達のバイトをしていた友達に乗せてもらったカブのものとは違い、確実性の高いものに進化しています。

以前は今何速に入っているのかをちゃんと覚えていないと、うっかり4速から1速に入ってしまってびっくりするようなこともありましたが、今はその辺がちゃんとできていて、走行中には4速から1速に入るようなことがないように安全な設計がされています。

そして4速のまま赤信号で停止した時に一速踏み込めば、ちゃんとニュートラルに入れることができるので、この辺りは実に便利。

安全で親切な設計ですね。

『これはいい』乗り手を和ますエンジンフィール

スーパーカブ110のエンジンは、109㏄・8ps。

ブレーキペダル奥に見えていますが、この代からはオイルフィルターがカートリッジ式になり、整備性も非常に向上しているとのこと。

一速に踏み入れてアクセルを開けてみる。

すると、「るるるるる」という優しい音と共に「クォーン」という穏やかなクラッチの音がシンクロしていき、この音が重なり合うころにグ~ンとトルクを感じます。

流石にスポーツバイクではないので、右手の動きに吸い付くようなリニアな反応はありません。

ですが、ゆったりと、それでいてか決して細くはないほのぼのとした加速感は絶妙。

時に俊敏さを感じさせる車体の良さもあって、これがたまらない心地さなのです。

ライディングポジションは、ちょうどデスクワークをしているときのように背筋が伸び、両足をべったりとつけられる安心感があります。

視点の高さからでしょうか、いつもより街がゆったりとして見せて、広く感じる視界が街の味わいを満喫させてくれます。

また、カブらしさのアイコンともいえるレッグシールドも、今回非常に低かった外気温を直接膝に当てないように工夫されているもの、ライダーをちゃんとサポートしてくれているのうれしさを感じました。

特に信号間の長い街道は実に豊かな60㎞/h。

カブで巡行していると、頭の中にあったはずの日常のモヤモヤが、だんだんと整理されていきます。

カブにはサラブレットよりポニーが似合う

このスーパーカブ110にふさわしいロケーションはどこだろう?

そう思いながら今回選んだロケ地は、とある牧場。

青山の一等地から持ち込んだだけに、スーパーカブが牧歌的な風景によく馴染むのがわかります。

道程は少々の山坂もあり、車両全体の味をテイスティングするには絶好のコースです。

平地ではスムースな動きを見せるカブ。

ですが、勾配で速度を維持していくためには、ギア操作がやや忙しくなってきます。

「がんばれ!」とかかとでギアを蹴りこむ私。

ピークパワー付近で微振動を感じさせながらも、素直なハンドリングで応え「まだまだです!」と頑張るカブ。

大型バイクで来る時よりも、バイクとの会話が多いのがカブならではの旅情なのですね。

牧場では牛・馬・羊フェンス越しのポニーたちにもご挨拶。

ちょうどこのポニーたちとカブの光景を見て、槇原敬之の「LONSOME COUBOY(ロンサムカウボーイ)」という歌の歌詞を思い出していました。(捕まっちゃったのが超残念)

この歌は朝晩のバイトの少年が原付(50㏄ですが)を相棒に会話しながら自分の成長を夢見る歌詞が歌われています。

確かにスーパーカブはサラブレットのような競走馬ではないけれど、働くときはしっかりと働き、いつもは人を和ませてくれる存在。

スーパーカブ110は生活に素朴なリズムを刻むポニーのようなかわいい相棒ですね。

カブとの時間をもっともっと味わいたくなって、ちょっと遠回りをして帰ります。


ロケ地のご紹介

今回スーパーカブ110のロケ地として伺ったのは相模原市にある服部牧場さん。

関東では近場のツーリング先としてポピュラーな宮ケ瀬湖に近く、神奈川県下随一の広さと規模を持つ牧場です。

牧場には50頭余りの乳牛や精悍な馬たちがいるので乗馬体験ができたり、愛くるしい羊を鮮やかにコントロールするシープドックの訓練が見られるほか、ヤギ、うさぎ、ミニブタなど10種類以上の動物達に餌あげも体験できます。

また、牧場でとれた新鮮な牛乳を使ったソフトクリームやイタリアンジェラート各種は人気メニュー。

本格的な手作りソーセージをホットドックとしていただくことができたり、

手ぶらでバーベキューを楽しむこともできるので、ファミリーのお出かけ先としてもバッチリ楽しめますよ。

営業は年中無休 朝10;00~17:00
【冬季期間(11月~2月) 金曜定休(祝日除く)】

ここは是非チェックしてみてください。

ちょうど写真に写っていますが、牧場からの帰路ではシートにposidriveのDr.モペット(M)を装着。

ノーマルシートも硬すぎず柔らかすぎずよくできたシートですが、Dr.モペット装着時はパワーピーク付近で大きくなるエンジンの振動をしっかりと消してくれるのがわかりました。

また青山からの帰宅時に若干の痛みを感じていたお尻も、返却時にはDr.モペット装着していたので約40㎞の道のりは痛みも皆無。

カブツーを愉しむ皆様。

手前みそながらこれはおすすめです!

バイク座シート Dr.モペット

価格:14,300円
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まとめ

2018年4月に日本自動車工業会が発表した「二輪車市場動向調査」によると、バイク人口の平均年齢は約52.7歳(当時)。

またこの調査によると、これらのライダーの中で「10年後にもバイクに乗り続けている」と答えた人の割合は非常に低かったそうです。

そんな中、これまであこがれ続けたけれど買えなかった高価なバイクを、いわゆる「あがりバイク」として無理無理手に入れる人も少なくないのだそうです。

どちらかといえば、私もその口。

ですが、いつまでもお金に糸目を付けずにバイクで遊んでいられるという人はほんの一握りの人でしょうし、バイクの価格はもちろん、タイヤやオイルといった消耗品の価格上昇もあって、

「本当に歳を取ってからもバイク維持していけるかどうか?」

と、時々不安になることがあります。

恐らく最近、カブの人気が高まる背景の一つには生涯現役ライダーでいたいという夢と現実への期待もあるのかもしれませんね。

私はその世代のど真ん中でそう思っているのですが、皆さんはどうお感じになっておられるでしょうか?

これまで世界中の人々に夢と希望と自由を与えてきたスーパーカブ。

この愛おしき相棒はこれからも夢の翼として、我々の傍らに長くあり続けてほしいと思います。


スーパーカブ50/スーパーカブ110 主要諸元

取材協力;本田技研工業株式会社/ホンダモーターサイクルジャパン株式会社

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