本格的にバイクシーズンを前に、バイクを買い替えたい人。
あるいは転勤などで、泣く泣くバイクを手放さざるを得ない人。
バイクを売る状況は人によってさまざまです。
しかし、どんな状況であるにせよやっぱり、バイクを売るならできるだけ高く売りたいものですよね。
筆者は元バイク買取専門店の店員。
今回は査定する側、バイクを売る側双方の視点に立って、お力になりたいと思うんです。
買う方買取のポイントと対策、そして、業界裏事情もできるだけお伝えしていこうと思います。
目次
「買い取る」のは業者・「売り渡す」のはあなた
全く何の準備もしないで、ただ業者を呼んだ?
それは非常にもったいないことです。
それでは業者の言いなり。
表題のように、バイクを売るのはあくまでもあなたですよね。
ですから、どんどん主体的に動いて、自分のバイクを売り込む姿勢が肝心なんです。
つまり、そのための「準備」が大切だということ。
そのなかでも一番大事なのはご自分のバイクの走行距離や状態に合わせた、大まかな相場の読み方を知っておくことです。
もちろん、査定員に見せるまでには、少しでもバイクをきれいに見せる努力も大事ですね。
最終的に業者に価格提示されるのではなく、売り手が主体的になって相場を読み、妥当な中でも最高価格をこちらから提示する。
これを筆者は「買い取り」ではなく「売り渡し」と呼んでいます。
この稿では
- 「およその相場の読み方」
- 「減点項目をなるべくカバーする車両の仕上げ方」
- 「査定を依頼する上での注意事項」
- 「今特別お伝えしておきたいこと」
についてお伝えしていきます。
およその相場の読み方
まず、買取の仕組みを知っておきましょう。
査定額は仕入れ値・売価は売価
中古車情報誌などに出ている売価を買取価格だと勘違いしている人が実は非常に多いです。
買取というのは、依頼主からバイクを仕入れ、多少の修繕を施した後、業者オークションに転売・もしくは自店で販売する仕組みを言います。
要するに、買い取った後に、コストをかけて商品化するわけですから、買取査定額は仕入れ値・売価は売価なのです。
査定額=おおよその相場からの減算
査定額は、業者向けの中古車オークションで取引される中で、車種ごとの距離や年式から時価として大体の目安が決まっています。
つまり、中古市場をにらみながら、買い取るバイクの破損個所・消耗具合から商品化するまでのコストと儲けを見積もるのが買取だと言っていいでしょう。
「車種・年式・走行距離で大体のお値段がわかります。」
というよくある謳い文句はそういうことなのです。
実際の買取ではフレーム番号で距離別の相場が出ていて、店の予算で大まかに提示額を想定して出かけていき、それをバイクの現状で引き算するということになるんですね。
大体修繕にかける予算はお店の規模によっても違いはありますが、1台大体3万円くらい、多いところで5万円くらいでしょうか。
お店としては送料やオークション出品料などのコストもあり、当然儲けも出さなければなりません。
クラスや年式にその時の人気の具合によっても違ってかなり幅もありますが、大体売価として掲示されている値段のうち15~25万円くらいはそういう諸々のコストだと思います。
※原付は単価が低いことと、ビックスクーターが値崩れを起こしているのでこの限りではなく、かなり低い査定結果になることも少なくありません。
中古車情報見て相場を探る
買い取り額の相場はいくらくらいなのか?
それを探るにはまず、ネットで中古車検索サイトにアクセスしましょう。
そこでまず、お手持ちのバイクの車種を指定し、車種と年式条件を入力します。
すると全国のバイク屋さんの在庫から、お手持ち車種の現状に近い個体の情報がいくつか挙がってくるはずです。
そこで、その車種のその走行距離の、その状態なら大体どれくらいの値段で売られているかがわかってきます。
大体10件~20くらい見ていけば平均的な値段がわかるはずなので、それがその条件、つまりお手持ちのバイクのおおよその売価相場だと考えていいでしょう。
そしてそこから、先述のコストを予想して引いてみるわけですね。
車種にもよっても一概には言えませんが大方、小排気量なら引き幅を小さめに、大排気なら多めにするといいと思います。
ですから、中古車として例えば45万円で売られていたとしたら、買取価格は大体20万円~30万円の間くらい。(場合によっては15~18万円スタートもあり得ます)
かなりざっくりですが、販売価格からこうした金額を差し引くのが、買取査定額のおおよその相場ということになります。
ですからこうして相場をで予想しながら、一番大きな金額をこちらから提示していきます。
こうして、業者さんにその値段に歩み寄っていただこうというのが、筆者の言う「売り渡し」の基本です。
査定を依頼するうえでの注意事項
さて、相場の読み込みと同時に大切なのが書類のチェックです。
「書ナシ」はダメ
基本的なことですが、なぜかこれが非常に多いので、日ごろから必要書類の所在はしっかりとしておきましょう。
先述の通り、中古市場は盗難に対して非常に厳しいので、たとえ新車で外装バッチリでも、車検証や登録証がないバイクは「書ナシ」と呼ばれて一般に買い取ることができません。
筆者も現役時代に査定に行って、金額を提示した後に「書ナシ」が発覚し、買取を断るケースが何件もありました。
人に頼まない
バイクの知識がない家族や知人に、査定の立ち合いを依頼するのは、仕方ない場合もあると思います。
でもこれは「売り渡し」において全くお勧めできません。(査定員にしたらおいしい物件ですよコレ)
ココだけの話ですが、査定員は「この金額からこの金額まで」と、査定価格の提示に当たってはある程度幅をもって想定したうちの下の金額から提示します。
そこをオーナーが先述の方法で相場の最高額を想定して強気で値段を提示し、愛車に対する思い入れをアピールして粘るわけです。
粘っただけ歩み寄ってもらおうというのがまさに、「売り渡し」。
ここを他人に頼んでしまうと、彼らが用意する最低価格でまんまと持っていかれてしまいます。
それは単なる「買い取られ」。
なので査定員との立ち合いには、できるだけご自身で立ち合いましょう。
スケジュールを開ける
「お気軽に24時間いつでもお電話ください」
みたいなことを業者のCMはいうわけです。
しかし、思い付きで彼らに電話をしても、高額査定は望めません。
まずはしっかりと専用のスケジュールを設けましょう。
ご自身で査定に立ち会うのは大前提です。
また、洗車の時間も確保した方がいいでしょう。
売り込む車両もできるだけきれいな状態がいいですからね。
一括査定を使うかどうか
Web上にはバイク買取の一括査定サイトがありますよね。
初めにお伝えしておきますが、これこそ思い付きで申し込んじゃだめですよ。
申し込みボタンを押した瞬間から、電話が鳴りやまなくなって、10社以上の業者の対応に猛烈に追われます。
そうこうしていると、昼間なら1時間後には1社目2社目と業者が現れ、その間にも電話の対応に追われます。
もし、時間がない場合は一括査定は使わずに、1~3社に的を絞って同じ日時に業者を呼ぶのがいいでしょう。
ただ、筆者も客としての利用経験がありますが、うまく使えば一括サイトの方が得をするケースはあると考えています。
つまり、一括のあわただしい状況はあらかじめ予想しておくことにして、提示金額の幅を読み取ることに期待するわけですね。
やはり「売り渡し」ですから、たくさんの業者を呼んで自分の値段によりついてくれるのを待つというのが作戦。
あるいは、いくつも業者の価格を聞く中で、こちらが想定した価格が現実離れしていることを知ることもあります。
そうした場合に、折り合っていい現実的な金額というのも、沢山の業者の提示価格を見るからこそ見つけることができるんですね。
なので、スケジュールを確保できるのであれば、こうして幾社かを一括で呼び寄せて、こちらで彼らのスケジューリングをするくらいがいいでしょう。
ちょっとオマケですが、業者を呼ぶ際、ご自宅前にスペースがなければ、書類を忘れずに近所の公園など広い場所で査定を受けることをお勧めします。
筆者のように、家の前をトラックだらけにして、近所迷惑にならないように!
カスタムはどうする?
カスタムパーツは外してノーマルに戻した方がいい?
これはよく聞くことで、迷いますよね。
実は中古市場では、ノーマルが基本でカスタムの場合はノーマルパーツがある方が査定がいいことが多いです。
筆者が現役だった約15年くらい前には、どんなに高いカスタムパーツでも「ゴミ」扱いする風潮がありました。
でも最近は少し様子が変わってきて、そのパーツがそのバイクにとっての「お約束パーツ」であればつけておいた方が高く売れることが多くなってきたようです。
また、中古パーツ市場も以前よりだいぶ整理されてきたので、しっかりその価値がわかる業者なら、カスタムのままでも喜んで買い取ってくれるようになりました。
ただ、業者の中にはいまだに車両相場の中心となるバイクのフレーム番号にしか興味がない業者もいます。
なのでカスタムで査定を依頼する際には、どのパーツがついているのかを伝えて、しっかり価値を理解して相談に乗ってくれる業者に依頼するようにしましょう。
査定員の心理を先回り
確かに仕事とはいえ、泥まみれ油まみれの車両をそのまま査定するというのは印象が悪いですね。
大体そういう車両はかなり残念な査定結果になったような気がします。
査定員は減算しにくるもの
手をかけてもらえていない車両、つまり愛情が感じられない車両は全体のコンディションを疑われ、査定の目も厳しくなりがちです。
いや、査定員の目からすれば、落としどころ満載な車両は安い値段が言いやすいので、かえって安心するくらいかもしれません。
繰り返しになりますが、査定員は相場価格から「減算」しに来ているのです。
だから変な言い方ですが、バリッと仕上がった車両は落としどころがないので、正直やりにくいと思う人もいます。
なので、どんな車両であれ、最低でも査定員が到着するまでには洗車などを済ませ、しっかり仕上げておくことに越したことはないと思います。
査定UPを意識した軽補修を含む洗車の方法については、こちらの関連記事にまとめてありますので、ぜひご参考になさってください。
エンジンは極力かかる状態で!
いずれにしても買い取ったバイクは商品化されます。
なので、エンジンが始動できるか否かは査定に大きく影響します。
やはりその分「買取後のコスト大」と見られるわけですね。
なので、単にバッテリーが上がっているだけなら、査定を受ける前に必ずチャージしておきましょう。
また、(あまりひどいのは無理ですが)放置車両で、タンク内の錆が少なければ、
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燃料改質剤の役割もあるのでこういった燃料添加剤をを適量入れてみるのもいいと思います。
まとめ
筆者は査定の経験もありますが、一括査定も含めいろいろな方法でバイクを売っても来ました。
今回は高額査定に至ったこれまでの経験をまとめたものです。
Web上には、買った値段を根拠に、結構な距離数を走った高年式車について「業者なんてまともな金額で買い取らない!」 という批判コメントが散見されます。
でも、こうして買い取る側の仕組みや裏事情を知っておけば、あり程度先回りして残念な状況を回避することができますよね。
そのために今回は買取を依頼する側だけでなく、査定をする側、両方の視点から書いてみました。
最後までそのバイクの「主人」として見送るというスタンスがこの「売り渡し」というスタンス。
相場を読むことで査定額を予測することもそうですし、できる限り車両を仕上げてから査定に出すというのもそうです。
車両をそれこそ「ゴミ」のように処分する場合なら必要ありませんが、少しでもお金に変えたいというのであればそうした準備の手間を惜しむべきではないとい思います。
普段からの愛車への愛情、これは査定員もバイク好きな人多いですからちゃんと伝わります。
売るときも最後のお別れとしてもきれいにして欲しいですが、やはり日ごろからしっかり手をかけたバイクはそれだけで査定UPすることも十分にあり得ます。
もちろん車両のコンディションや諸々の事情によってこの通りにならないこともあるかとは思います。
それでも基本的に申し上げたいのは、何もしないで文句を言うのではなくて、「できるだけの創意工夫をしてみましょう」ということです。
今回は筆者の経験でもありますが、一つの「ヒント」といして皆さま各々の工夫でさらに活かしていただければなと思っております。
皆様の高額査定獲得を心かお祈り申し上げて本稿を閉じることといたします。