「バイク事故」バイクの楽しさを考えるためにあえて向き合ってみよう

世の中からは「危険だ」として遠ざけられるバイク。

むしろそれを当然と思っている人も少なくありません。

だからこそ筆者はこれまで、バイクの持つ楽しさや優位性を紹介し、さらには「文化としてのバイク」を認知してもらおうとこのブログを書いています。

しかし、身近に大きな事故を見聞きするようになった今、あえてバイクの市民権を最も脅かしている要因。

つまり「事故」について考えてみることにしました。

ちょっと長くなりましたが、皆様にも是非一緒に考えていただきたい内容です。




目次

「危険」を軸足にして安全を考える

「バイクって危ないじゃないですか」

と、バイクに乗らない人に付加疑問文で尋ねられれば、筆者はいつも…。

「『危険だからこそどうやって上手に楽しくバイクと付き合っていくか?』そこを大切に考えるからライダーは前進思考で快活な気持ちを得られるんですよ。」

と、バイクについて説明しています。

「一歩進んだ考えを持つためのツール」そうですよね。

でも、楽しみにばかり目が行ってしまうと、「危険」をどうも軽く扱ってしまう傾向はないだろうか?

バイクの楽しみを考えるにしても、あくまでも「危険」を軸足に考える。

まさに「平時に有事を想い有事に平時を想う」ということが必要なのでしょう

昨年までの事故の現況

事故は考えているつもりで実は遠ざけている、そんなことなのかもしれません。

事故が身の上に起きるとは誰しも考えたくないですよね。

単に危ないから気を付けようということではなく、今実際にどんな事故が起きていて、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?

そう考えて、近年の二輪事故の状況を警視庁の統計から調べてみました。

参考にしたい統計資料がいろいろとあるのですが、少しづつみながら考えていきましょう。

まず下の2つの表は交通死亡事故全体における二輪車乗車中に亡くなった方々の割合です。


参考元;上下ともhttp://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

どうでしょうか?

「意外に少ない」という見方もあるかもしれません。

一昨年度と比べても「7人増えただけじゃないか」そう見えるかもしれません。

でも二輪車の数は歩行者や四輪車の数より圧倒的に少ないことを考えると、かなり多いということになります。

7人増えたのではありません、今年新たになくなった方は全国で684人もおいでになり、この数が一昨年に亡くなった677人より数的に多かったということです。

つまり毎年それくらいの方々が不幸にもバイクに乗っている中で亡くなってしまっているというのは考えさせられます。

もう少し長いスパンで見てみましょう。

下の図は警視庁がここ10年の交通事故死者数の中で二輪車乗車中に亡くなった方の数の推移を表したものです。


参考元;http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

単純に見ると1Ⅰ年前や8年前よりだいぶ減ってきているように見えます。これは歓迎されるべきことですが、昨年度からから増加に転じているのは気になりますよね。

「バイクが増えたから事故も増えたんじゃないの?」

そういう方もおいででしょう。

でも、一概にはそうだとも言い切れません。

参考元;http://www.jama.or.jp/industry/two_wheeled/two_wheeled_2g2.html

これは日本自動車工業会によるここ約10年の二輪車販売台数推移を表にしたもの。

内容的には250㏄スポーツが少し伸びたのですが、あとは数を減らし続けているんです。

「ここ10年、事故自体が減ったのはバイクが減ったからだ」という見方もできます。

でも、この1年に限って見方を辛くすると、「バイクの数は減っているのに事故が増えた」という見方もできますよね。。

理想はバイクの数が増えても事故率が低い状態。

「バイクなんてない方がいいんだ」とか、「どのみちバイクなんてろくなもんじゃないよ」といわれるとそれはやっぱり外野の思うつぼ。

結果をもってそこは抗いたいところですよね。

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統計から対策を探る

統計に載ってしまった方々は、私たちに教えてくれています。


参考元;http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

これは昨年度に起きた事故の時間帯をあらわしたものです。

朝夕の行き帰りは眠気や疲れもあるので、先を急がず余裕をもって出発するなど、乗車前の条件を整えることも必要でしょう。

また、周囲の交通も気ぜわしい中なので、一層の防衛運転が必要ですね。

14時~15時に少し増えるところ、これは峠道やツーリングから帰る時間であることが想像できます。

目的地から「やれやれ」と変える時も最後まで気が抜けません。

意外に深夜早朝も割合的に多いのは驚きました。

筆者の身近にいるので新聞専売所の方?という想像もできますが、あるとすればロングツーリングで暗いうちに出るとき。

そうだとするなら、無理せず余裕をもっていかなくて休憩を多くとりながら出かけた方がいいということですね。

実際はどこで何があったのかということまではさすがに載っていないので、あくまで想像の域を出ません。

しかし、通勤からツーリングまで、ご自分の走行パターンい重ねて想像すると、気を付けるべきポイントが見えてきませんか?

そしてこれはバイクショップにもよく掲示されていることですが改めてご紹介すると…。


参考元;http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

これも都内の昨年度の例ですが、40代の方の事故が多く5年連続で多いということです。

筆者もこの中に入りますが、これを見ると「気持ちより体の年齢に正直な運転を心がけないと」と考えて自戒しています。

また下の表も同じくショップのプロテクターコーナーのポップなどでお見かけになったかもしれませんね。


参考元;http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

ご覧のように致命傷は、多いほうから頭部損傷・胸部損傷・腹部孫韶ということになっています。

資料によると、このうち何と35%もの人のヘルメットが衝撃で脱げてしてしまったということです。

なので、あご紐は必ず締めることと、胸部プロテクターはしっかり装着しましょう!

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さて、この先はさらに皆さんと考えたいところです。


参考元;http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/nirinsha/2rin_jiko.html

これは、どんな事故が一番多く起きてるかということを表しています。

右直事故はは四輪と絡んでいてどっちの責任割合が?という話もあります。

いずれの責任であるにせよ、防衛的な運転を心がけて事故の当事者になることを極力防ぎたいですね。

出会いがしらや追突、そして正面衝突も「今止まれるか?」を念頭に入れながらの運転が大切でしょう。

問題は、過去5年ともトップだという単独事故。

なってしまっているものは仕方ありませんが、これはライダーの心がけ次第で次に起こる事故を相当数減らすことができるのではないでしょいうか?

自爆事故の仕組み?その一つを見た

シャレにならないような事故を身近に見聞きするようになった。

それは今回の執筆の最終的な引き金でしたが、筆者の気持ちの中にはかねてから、バイクショップで聞いたあるライダーの言葉が「弾」として装填されていました。

これは、皆さんも一緒に考えてください。

筆者のなじみのバイクショップに駆け込んできたツナギ姿のライダーが発した一言。

筆者の友人である店員さんとの会話に、彼は急に割り込みながら悲壮感たっぷりに、やや誤記を強めながら…

「すみません!俺、〇〇みち走ってるんですけど、滑らないタイヤないですか?」

これを聞いた段階で漂う嫌な予感に、我々は一瞬でひそめようとする眉の動きを止めるのに必死になります。

しかし彼は続けて…

「俺、ちゃんと空気圧落としているんです。でも何履いても滑っちゃって… もう俺、何気圧でどのタイヤ履いていいんだかわかんなくなりました」

これはもう3・4年前の出来事なんですが、筆者の頭の中では、特別交通指導員の方から最近「〇〇みちでは自爆が多い」と聞いたこととそのことが繫がって爆発してしまったんです。

 

サーキット走行をしない方のために一応解説しますと…。

サーキットでは限界性能ギリギリで走るため、タイヤには非日常的な負担がかかり、熱のためにタイヤが内の空気が膨張します。

またサーキットは路面が相当に管理されていますから、走行前にコースコントロールから「路面温度」が発表されるんです。

その温度や気温の上がり具合から空気圧の膨張具合を予測して、走行時にグリップが最適になるよう、走行前の冷感時には若干空気圧を落とすことがあるのです。

公道 ≠ サーキット

上の話には何の脚色もありません。

実際にこういう認識を持ったライダーがいて、(今もいるの?)一般公道を走っているのです。

友人の店員さんは呆れながらも一応ちゃんしたと適正空気圧でないと何を履いても滑る旨はアドバイスしていました。

しかし、空気圧をなぜ落とすのか?グリップって何だ?

そういう問題ではないですよね。

サーキットのように例えば200km/h から50km/hに減速してすぐ200km/h オーバーに持っていくみたいな使い方であれば、空気圧は上がっていきます。

それも走行前にしっかりコース全体のコンディションを管理された状態での話です。

まさかこれを公道で…?

はっきり言って一般公道はコンディションが所々違ううえ、扱うスピードも違うので、空気圧を抜いたとすれば必要な圧まで上がるはずがありません。

安全を担保するための「ランオフエリア」も公道には皆無な上、対向車もあります。

なによりそこには地元の方の生活があるのも忘れてはいけません。

サーキットと公道は全く別次元のもので、絶対に同じように考えてはいけないんです。

少なく見積もって、「自分しか見えなくなっている状態」、これがバイクに乗る人として一番危ない状態ではないでしょうか?

防衛運転のすゝめ

ワインディングだけでなく市街地にもたくさん危険は潜んでいるので、色々な想定を深めて防衛的な運転をすることが重要です。

先日テレビで現役の旅客機パイロットがインタビューに応えてこう言っていました。

「離陸するとき僕はいつも『ここで壊れたら?ここで壊れたら?』と思いながら『次にどうするか』を毎時考えながら上昇していくんです。」

これはとても頼もしいですよね。「万全」を期した中でもそこに安住しないことが重要なのでしょう。

ライダーに話を戻せばどうでしょう?

  • 今この位置でドライバーから見えているかな?
  • 今この速度で止まれるかな?
  • 何か飛び出してこないかな?

鼻歌歌いながらでも何かあれば、いつでも次の手が打てるように慣らしておくことが必要ではないでしょうか?

ともかく、自らが事故の条件を整えてしまうような運転があってはならないのは確かですよね。

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ドライダー」に願うこと

これはつい最近のお話し。

筆者は完成間もない圏央道の対面交通区間を夜SRX400で走っていたのですが、家族連れのワゴン車に何度煽られたかわかりません。

完全な二輪軽視のドライバーの多さに驚かされました。

単気筒で荷物満載のバイク。

対面しかも夜。

追い上げてくる車たちに対して、何処にも逃げ場がありません。

筆者は先日、柏秀樹先生や特別交通指導員の方にお話を伺いながら、二輪実技講習に真剣に参加されている方々の取材をしたばかり。

「二輪では安全講習を盛んにやって参加者を増やしているのに、4輪がお気楽にこんなこと?彼らは車の中で子どもに『バイクは危ないぞ』なんて教えるのか?」

そんな風に怒りを覚えながら、やっとたどり着いたSAで缶コーヒーで息を殺すのが精一杯でした。

バイクだけしか運転しない人もいるとは思いますが、車もバイクも両方という人の方が多いでしょう。

なのでせめてライダーでありドライバーでもある「ドライダー」には、

  • 車から見てバイクはどう見えるか、
  • バイクから見て車がどうあってほしいか

これを念頭に置いた運転で、交通の中では常に「オピニオンリーダーで」あってほしいですね。

負のモニュメント

かつてのレーサーブームでは各地の峠はサーキットと化し、「ギャラリーコーナー」とあだ名される個所が必ずできていました。

当然そこは専用に造られた場所でもない一般公道ですから、命にかかわる事故も多く、騒音の問題もあって地元の方々に多大な迷惑をかけました。

その結果、各地の峠で「二輪通行止め」の措置が取られ、さらにバイク自体にも事実上レプリカバイクの生産が規制されたり…。

そうしてバイク環境を著しく悪化させたことは否めません。

バイクは自由な乗り物で、自由がゆえに、悪いことも全部自分に返って来る。

それは「自分が事故に遭う」という形だけでなく、 最も悪い場合はバイク全体が社会から排除されるということをも意味します。

世の中で悲しい事件や事故があると、その現場に慰霊塔やお地蔵さんの祠ができたりしますよね。

たいていそういうところは、次にそういう悲しいことが起きないように願う場所であったり、それを後世に伝える場であったりするものです。


参考元;http://3cars3.kaoridondon.net/damcard-hyogo-hitokura

いまだ「二輪通行止め」が解除されない峠にあるその標識は、「ワケあって」バイクが窮地に追い込まれた「塚」のようなもの。

「二輪だけがどうして通れなくなっているのか?」そこを通った人は考え、若い人がいれば次に伝えていってほしいと思います。

まとめ

「そもそもバイクなんて危ないものを自分で好き好んで乗るわけだから、事故なんて自己責任だろ」なんていう人もいます。

全く否定はしません。

むしろ本質かもしれないとも思います。

ただ、「事故なんてその時考えるしかないだろ」という人もいますよね。

これもわからなくもないですが、多少違和感があります。

「バイクは危険なものだ。」これは基本として忘れずに、「だからどうするか」ここが肝心です。

今回は長文にこそなりましたが、次の事故の当事者に誰一人なっていただきたくない。

これを純粋に思って執筆しました。

既に統計の数字になってしまわれて方々には心から哀悼の意を表するとともに、教訓として活かさせていただくことを一人でも多くの皆さんとやっていきたいと考えています。

文中申し上げたように、「平時に有事を想い、有事に平時を想う。」

ライダーの皆さまが、思い切り楽しいバイクライフを、末永く続けられますように!!


「「バイク事故」バイクの楽しさを考えるためにあえて向き合ってみよう」への2件のフィードバック

  1. 久々によい文章に触れました。ありがとうございます。 友達が少ないので範囲は狭いと思われますが、シェアさせていただいてもよろしいでしょうか。

    • 川本様
      温かいお言葉、心より感謝申し上げます。
      愚著ではありますが、多くの方の安全の為お力に慣れたら光栄に存じます。
      是非ともシェアして広めてください。

      ありがとうございます。

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