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目次
はじめに
本稿は昨年秋に北海道在住の大学生ライター板倉貴徳(いたくら・たかのり)さんが取材・執筆を担当された記事です。
実は昨年の秋口には校了していたのですが、編集の都合で時には北海道に雪が舞ってしまい、「バイクで遊びに行ってみてくださいね」と言えるような状況ではなくなってしまたので、
「年が明けてゴールデンウィークごろに公開しよう」
と言ってお蔵入りにしていた稿なのです。
しかし、今年がまさかコロナでこんなことになるとは…。
それでも非常事態宣言解除を受け、Part1として上記記事をリリースし、GoToキャンペーンに勢いがつけばとPart2の用意をしておりましたが、コロナ渦再びという状況に…。
なんとも悩ましい状況です。
筆者の板倉君はホントに素敵なバイク青年です
この原稿の筆者である板倉さんは、まだバイクの免許を持たない高校生のころから「バイクウォッチャー板倉」として、SNSにその日見かけたバイクのカッコよさなどを純粋な憧れと共に書き連ねていた少年でした。
大学生になってからはその憧れは一層強くなり、一生懸命バイトをしながらお金を貯め、厳冬期でもロードヒーター完備の教習所で二輪免許を取り、掘り出し物の中古車があると聞けば吹雪の中をいとわずにそれを見に行く。
その後手に入れたバイクで日本の約半分を走破。
初回点検での走行距離はなんと7,000㎞を超えていて、バイクショップに驚かれたほどでした。
その後もツーリング中に北海道で大地震にあったほか、バイクを廃車にするほどの事故にも遭っても、冷めやらぬ情熱で見事に復活。
彼の文章からはいつも、オジサンが忘れてしまったバイクや未知なる冒険にときめく好奇心がキラキラと輝いているのが伝わってきて、読んでいるうちにワクワクしてくるんです。
私のようなオジサンからすると、歳と共に忘れかけていた新鮮なときめきがなんと神々しく思えることか…
これまで毎度毎度勢いあるレポートをしてきてくれた板倉君も今年は既に大学4年生。
今回も様々な実習や試験等々で大変忙しい中、再編集に協力してくれてました。
来年から社会人になるわけで、これまでのような大胆な弾丸ぶりは恐らく今年度限りで見納め?
『うーん、これは困った…。』
編集長山本、悩みました。
この稿をお読みになる経年ライダーの皆様に一つお願いがあります。
本稿もPart1に引き続き、彼が巡ったツーリングスポットをご紹介する内容になっています。
しかしながら、この状況下「遊びに来てくださいね」と言って実際に行けるかというとそれは極めて厳しい状況かもしれません。
また、旅の経験に長けた経年ライダーなら「そんなの穴場というより定番じゃん」というご指摘もあろうことも重々承知しております。
ですので今回は、板倉君だけでなくバイクを愛してやまない若いライダーを応援する「きっかけ」にしていただくために、この状況下ですがあえてこの稿をリリースします。
「若者のバイク離れと言われる中で、実はこんなにバイクに熱い青年がちゃんといる」ということに主眼を置いていただき、どうか温かい目でお読みいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2020年8月1日 ポジドラ編集長 山本昌彦
世の中の快気を願って
こんにちは、北海道在住の大学生ライター板倉です。
北海道も最近は夏日が続き、暑い日々が続いております。
そんな中で、僕は現在4年生なので卒業研究やら実習やら、いろいろ忙しい日々が続いています。
しかしながら、コロナ禍でなかなか大学に行くこともできません。
その上、バイクも自粛中には思うように乗れない日々が続いていてしまい、学生生活の最後がこういうことになってしまったが本当に残念でなりません。
なおも移動の自粛が再びという最中ではありますが、夏の短い北海道。
世の中全体のいち早い快気を願いながら、前回に引き続き道民目線の道東ツーリングスポットを紹介していきます。
道東エリアの広大さ故、2回に分けてお届けしているこの原稿。
前回の記事では、十勝、釧路エリアをめぐりました。
今回はpart2として、根室・オホーツクエリアをめぐります。
北海道の東の果て 根室エリア
さてさて、やってきました根室エリア。
色々道内を廻っている僕ですが、これまで唯一道内で訪れていなかったのがこの根室エリアでした。
厚岸の軍艦は牡蠣が旗艦だったりする
まずは釧路から東、根室半島。まずは牡蠣が有名な厚岸町(あっけしちょう)からまいります。
厚岸町には牡蠣を提供するお店がたくさんあり、この「桜亭」もその一つ。
北海の幸だけあって、普通にお寿司を食べてもおいしいのですが、写真のような焼き牡蠣がこちらの名物です。
牡蠣の軍艦なんてすごいですよね。
厚岸町のHPの広報で、町内の飲食店を毎月紹介している中に紹介がありますので、厚岸町に訪れる際は、牡蠣が食べられるお店を探してみてくださいね。
※コロナの影響で開店状況も変わってくるかと思います。
他県からの訪問可否やお店の状況などについても、お店の方にお問い合わせください。
ルパンな街がここにある
ここで特にオススメな景色は、厚岸湖の南側を通る、道道123号線。
この道路は十勝にある広尾町から納沙布岬までおよそ300キロ近くある北太平洋シーサイドラインと呼ばれるルートの一部です。
厚岸湾と厚岸湖の境にあるのが下の写真の厚岸大橋。
この厚岸大橋は、町のシンボルであり、北太平洋シーサイドラインの玄関ともいえる重要な橋です。
この橋を抜けると、浜中町の湯沸(とうふつ)岬まで山と太平洋沿いを駆け抜けることができるんですよ。
ここでの見どころは厚岸町の隣、浜中町。
この地域は別名霧多布(きりたっぷ)岬と呼ばれ、霧多布湿原などの湿地帯もあります。
こちらも合わせて観光してみてくださいね。
浜中町といえば、「ルパン三世」の生みの親、故モンキー・パンチ先生の生まれ故郷です。
残念なことに、大人の事情で画像はお見せできませんが、街中にルパン三世のメインキャラクターたちが描かれた看板などがたくさんあって、ルパンのラッピングをした市バスまで走っているんですよ。
街の案内板もルパンたちが描かれているので、ルパンに案内されながら浜中町を散策するのも楽しいいでしょうね。
この町のある湯沸岬(とうふつみさき)には紅白に彩られた湯沸岬灯台があり、「恋する灯台」と呼ばれるほどロマンティックな雰囲気があるんですよ。
なかなか素敵な景色でしょ。
『僕も素敵な恋ができるかな?』
などと、暫く物思いにふけっていられます。
さらに、道道123号を少し北に行くとその途中に「なぎさドライブウェイ」があります。
ご存知の方も多いと思いますが、浜辺を走ることができることで有名な道路は日本でも石川県の千里浜(ちりはま)と、この「なぎさドライブウェイ」だけ。
昨年の夏休みはバイクで本州に帰ったので(僕の郷里は長野県です)、そのとき千里浜を走ることも考えていました。
しかし、当時は台風20号の通過後で大荒れの空模様。
その様子はこちらの記事でご覧いただけますが、結局たどり着いても入口までしか行くことができず。
それでも砂浜の感触を味わえたのは今では良い思い出です。
浜中町のなぎさドライブウェイは砂がしっかりと締まっていて、気持ちよい海風を感じながら走れるのが魅了。
海岸線は時間によっていろいろと表情を変える場所なので、何度訪れてもその時々で違った気持ちになれる場所だと思います。
潮風とバイク、最高ですよ。
いよいよ根室エリアへ
さて、北太平洋シーサイドラインを東に移動し、いよいよ根室半島へ突入。
納沙布ですノシャップではありません
ここまでくれば、日本最東端納沙布岬(のさっぷみさき)ももうすぐです。
語源が同じアイヌ語からきているので間違えてもおかしくはありませんが、稚内市にあるノシャップ岬とは違うので注意してくださいね。
実は北海道にはこのほかにも「江差町」と「枝幸町」(共にえさしちょう)、そして「紋別市」と「(旧)門別町」等、同じ音の地名を持つ場所がいくつかあるので、興味がある方はそのいわれを探ってみるのも面白いかもしれませんね。
さて、納沙布岬と言えば日本最東端として有名です。
バイクで行くならお勧めは納沙布岬に近いライダーハウス鈴木(※雑魚寝のみ)
ここはこの岬から徒歩2分なので日本中で一番早い日の出を見ることができるのが魅力。
映像はあくまでサンプルですが、宿泊すれば潮風と共に味わうこの景色がとっておきのお楽しみになりますよ。
※宿泊可否等現在の状況は上記リンクからお問い合わせください。
地球が丸く見える-開陽台
さらに、もう少し場所を北に移しましょう。
おそらく中標津(なかしべつ)町はライダーなら一度は行ってみたい場所なのではないでしょうか?
この町にある開陽台は、地球が丸く見える場所です。
中標津町は牧場が多いため、標高わずか270mの小高い丘にある開陽台からでも水平線まで見え、天気さえよければ展望台から国後島も見えることがあるとか。
写真では分かりにくいですが、肉眼だと本当に地球の丸みが感じられます。
編集の山本さんもかつて行ったことがあるそうで、
「当時は”ハイジー母さん”がいたハイジーの家が有名だったんだよ」
と聞きました。
しかし調べてみると、そちらは惜しまれつつも2006年10月に閉店。
変って2007年からは町内のジェラートショップ「リスの森」が店を構えています。
こちらではちみつソフトが食べられるのですが、ここの売店のおじさんがまたインパクトがある方で…。(笑)
写真はNGとのことで掲載できませんが、行けばお会いできると思います。
コロナが収束してチャンスがあったら、是非お話してみてくださいね。
まるで海の上を走る道
根室エリアの最後に紹介するのは野付(のつけ)半島です。
野付半島は砂嘴(さし)と呼ばれる海に突き出た半島ですが、訪れることが年々難しくなってきているそうで、
近年の海面上昇に伴い、低気圧や高潮の条件によっては立ち入り禁止になっていることがあり、この半島自体が海に沈んでしまうのではないかと心配されています。
海面の上にある今のうちに、両サイドが海の道の、この半島でしか眺めることのできない景色を見に行きましょう!
オホーツクの大自然を見る 網走エリア
さぁ、いよいよオホーツクエリアに入ってきました。
知床しれっと走っとこ(風)
その中の網走エリア、まずは知床半島から見ていきましょう。
根室エリアと網走エリアにまたがる知床峠は、北海道に来たことのある方は一度は通ったことがあると思います。
知床八景の一つで、頂上では羅臼岳を見ることができますよ。
条件次第では、こうして山頂だけが見えることもあり、知床の自然を感じることができます。
半島内ではクマやキツネ、シカをよく見ると思いますが、知床半島は世界自然遺産です。
見つけたら黙って見過ごす、これが一番の対処方法。
自然を傷つけたり、侵したりしないようにしましょうね。
そしてこの知床峠を下り、オホーツク海を海沿いに進むと「オシンコシンの滝」という滝があります。
知床八景の滝へ
こちらも知床八景の一つで、知床観光では外すことができない滝です。
他にも知床八景には広く分布した下記の名所がありますが、今回僕が行くことができていないため名前とリンクだけのご紹介で申し訳ありません。(涙)
・夕陽台
僕はまだ試していませんが、知床半島は観光船で外から知床半島を見るのもいいかもしれませんね。
どれも素晴らしいところなので、世の中が落ち着いたらぜひ行ってみてください。
ライダーなら一度は走ってみたい「天に続く道」
さて、最後のご紹介は、国道334号・244号線/斜里国道です。
この道は通称、「天に続く道」。
斜里町の峰浜から大栄地区まで続くこの約18キロの直線は,次回紹介する「ジェットコースター」の道と同じく絶叫…もとい、絶景ロードスポットです。
地平線まで伸びる道路がとても北海道らしい景色ですよね。
昨年、乗用車8台・バイク用2台という知さなデッキ簡易デッキができたようです。
ととても小さなデッキですが、きっとこの景色を見られただけでも、一生モノの思い出になると思いますよ。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
一日も早いコロナの収束と、皆様の健康を祈りながらこの稿を閉じたいと思います。
※各エリアは周遊に1日以上を要する広大な場所です。ツーリングの計画の際は余裕を持ったスケジュールにしてください。
※※また、新型コロナウイルス感染症の拡大が続いているので、現地へのツーリングは状況次第では見合わせ、ゆったりと楽しめる状況になったら、事故の無いようにお気をつけて是非お出かけください。
編集後記
いかがでしたでしょうか。
恐らく、「もうちょっといろいろ知りたいな」といったご感想も多々おありかと思います。
本来なら、昨年に書きあがった文章を基に、さらに実走を重ねながら様々な角度からツーリングスポットをご紹介する予定でしたが、時節柄それもかなわず。
それでも今回は、数々の不利な条件に苛まれながらもよく健闘して書き進めてくれましたので、彼には拍手を贈りたいと思います。
また、板倉君の過去の作品はこちらのサイトに収蔵されていますので、合わせてお読みいただければ幸いです。
さて、たぶん皆さんの周りにも、バイクが大好きな青年たちが少なからずいるのではないでしょうか?
コロナが明けて、ツーリング先で若い子たちを見かけたら、「安全に末永くバイクを愉しんでくれよぉ」と心の中で呟きながらそっと応援してあげましょうね。
そのあたり、皆さんよろしくお願いいたします。