バイクで児童虐待防止を呼びかける「オレンジライダーズ」は凄かった

皆さんは毎年11月が「児童虐待防止月間」であることをご存知でしょうか?

街のなかでも、駅前などでオレンジのリボンを配る人がいたり、オレンジリボンマラソンとか「オレンジ~」というイベントが良く行われるのがこの時期です。

今回筆者は、千葉県で行われた「オレンジライダーズ」に参加しました。

これはバイクによる児童虐待防止啓発のためのソーシャルアクション。

とかくバイクというと「事故」「暴走族」悪いイメージで語られがちです。

でもバイクだからこそできる社会貢献ってあるんですね。

今回はこの活動をレポートします。

目次



オレンジライダーズって何?

「オレンジライダーズ」を主催するのは、千葉県大多喜町にあるバイカーズカフェー「Café club BIGONE 風の村」のオーナーの道家さん主宰のネットコミュニティー。

彼らは毎年クリスマスには有志が集い、サンタクロースに扮したライダーが児童養護施設の子どもたちにお菓子を配る活動を10年も続けています。

11月は児童虐待防止月間。

2016年から彼らはクリスマスの活動に加え、児童虐待防止の象徴とされる「オレンジ」を身にまとって「オレンジライダーズ」として千葉県内各方面の児童養護施設への訪問活動を始めました。

そんな活動の実績が認められ、今回は千葉県・千葉市の児童福祉の担当部局からのオファーを受け、児童虐待防止の啓発啓蒙の目玉として、オフィシャルな「オレンジライダーズ」が走りました。

参加したら涙が出た

「STOP児童虐待防止!」と書かれたオレンジのベストを身にまとったライダー達。


↑ 千葉市庁舎での出発式の模様と着用したベスト

千葉テレビの報道によればその数約70人。

千葉市庁舎での出発式で見送られ、3つの班に分かれて千葉県内の児童養護施設を目指します。

大きなパレードのキャラバン隊となった我々は、房総半島の南部にある児童養護施設に到着。

(※施設内での写真は諸般の事情によりありません、悪しからず。)

施設の門の前では既に、楽しみに待ち構えていた子どもたちが身を乗り出しながら大きく手を振っています。

到着して施設の前庭にズラリとバイクが並ぶと、早速子どもたちが寄ってきました。

「うわぁー、カッコいいねこのバイク」

「これ二人乗り?」

「ハンドルに画面がついてるよ、すごいねぇ」

とっかえひっかえバイクにまたがり、興味深々です。

2歳か3歳くらいの子も、中高生のお姉さんに抱っこされながらやってきます。

そんな小さな子が、身体を支えられながらタンクの上に登って何とかハンドルに手をやろうとしていたり…。

とにかく、素直にかわいくてそれだけでも来た甲斐があったと思いました。

良く見てみると職員の方のご指導もあるのでしょう。

子どもたちはちゃーんとよそ行きの服を着ています。

「楽しみに待っていてくれた」

子どもたちを改めて見るとその様子が伝わってきて、涙腺に急に力が入りました。

お菓子を配るという活動。

良くこういうボランティアワークを、上から与えてあげる的なものと勘違いする人も少なくはないのですが、彼らは決してそうではありませんでした。

力強いバイクにまたがる大人の優しさに触れる子どもたちと、たくさんの笑顔をもらって楽しむ大人たち。

バイクを通じて楽しい時間を共有できました。

お菓子はきっと子どもたちの笑顔へのお礼なんだ。

そう思うと、バイクに乗っていて、そしてここに来られて本当によかったとさらに目頭が熱くなりました。

覚えてください電話番号「189

実は筆者は児童養護施設の児童指導員として約12年ほど勤めていました。

当時も被虐待児は担当しましたし、当時からも年々増え続ける児童虐待には憂慮していました。

殴られたり、切り付けられたり、全く放置されて不潔な環境に長く置かれたり…。

他にも信じがたい、そして筆舌尽くしがたい状況におかれていた子がたくさんいます。

出展元;https://www.kodomo.living-in-peace.org/orphanage?gclid=EAIaIQobChMIndv-x9So1wIVFR4rCh3x0AJrEAAYASAAEgKIf_D_BwE

参照したグラフのように、児童相談所での児童虐待に関する相談件数は激増し、その数を未だ伸ばしています。

今回訪ねた千葉の施設にも150人近くの子どもたちが生活しているそうです。

恐らくオレンジライダーズに笑顔を見せてくれていた子たちの中にも、大変な環境におかれていた子がいることでしょう。

こうして施設で暮らす子どもたちは現在全国に約3万人。

しかし、言ってしまえば彼らはまだ救われているんです。

施設にいる子どもたちは児童相談所に相談が入ったことによって劣悪な環境から引き離されて、施設に身を預けているわけです。

児童虐待は時として子どもの命を奪うことがありますし、よく知られていませんが、虐待がもとで後遺障害を一生背負う子も少なくありません。

そうした危険な現状に今なおおかれている子どもたちが、誰にも気づけれずにそのままになっているのです。

一刻も早くそうした子どもたちを救い出す手立て、それが「189」という電話番号です。

参考元;http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/

折角なのでこの機会にぜひ「いち早く」と覚えてください。

この「189」は虐待の可能性のあるこの安否を72時間以内に確認するための命の番号なのです。

例えば、「近隣で子どもの尋常ではない泣き叫ぶ声が昼夜を問わず聞こえる家があり心配だ」

そんな時はためらわずに189です。

この電話は児童相談所につながり、相談を受けた職員は該当地域から対象者を探し出し、その安否を72時間以内に確認する義務を負います。

たとえ、対象者が誰かわからなくても、それが間違っていても大丈夫です。

通報者の秘匿も確保されます。

とにかく、いち早く虐待に遭っている子、可能性のある子を見つけ出し環境改善のための措置を行うのが目的です。

今回の「オレンジライダーズ」では県内で行われているお祭りにも参加し、啓発冊子を配って「189」の啓蒙と、里親さんの募集を呼びかけるか活動もしていました。

大編隊でも安全で効果的なアピール

とにかく大所帯のマスツーリング。

沿道の人たちは一台パレードになっている我々に「なんだなんだ?」と注目しています。

ベストを見て「なるほど」という人、活動をご存知の方もいて、大きく手を振って声援を送ってくださる方もいます。

このとき筆者が思ったのは「バイクが集まるとこんなにも人が振り向くんだな」ということ。

そこに「児童虐待防止」と書かれているのは、確かに街の人に啓蒙するのには大きく貢献できるはずです。

筆者が参加した班は50人の大所帯。

一つ間違えば、交通の妨げにもなりかねない大きな大きなバイクの隊列でしたが、アテンドスタッフの皆さんの操列技術も素晴らしかったですね。

信号などで、列が切れると、別のアテンドスタッフがさっと列の先頭に立ちます。

主要な 交差点等では、先回りしたスタッフがしっかりとガイドを務めています。

参加された皆さんもオレンジライダーズの趣旨を十分に理解され、意識の高い形で走っていたのも効を奏したのでしょう。

約8時間もの長丁場でしたが、事故はもちろん周囲の交通に不快な思いをさせることもありませんでした。


↑ 今回アテンドを務められたスタッフの皆さん。(中央の方が代表の道家さんです)

これも、「サンタライダーズ」の実績。

一流の操列技術だと思います。

スタッフの皆様本当にありがとうございました。


まとめ

とにかく、バイクにの乗っていてこんなに感動したことはありませんでした。

子どもたちがおめかしして待っていてくれます。

でもその子どもたちの背景も大変なもの。

励ましつつ励まされ、優しい気持ちを持って帰れます。

私の住んだアメリカはもともと寄付の文化があり、厳ついバイク乗り達が今回のように難病の子どもたちを慰問したり、

ハリケーンの被災者を救済する募金に走ったりするツーリングが盛んにおこなわれています。

「バイクとソーシャルアクション」

普通に考えてしまうとなかなか結び付けにくいものでもあります。

でも実際はバイクが集団で走ることの注目度は満点。

しかし、日本でバイクを文化として根付かせるためにも、こうした活動は本当に意義の深いものです。

今回の趣旨は「児童虐待防止」。

もしも、こうしたソーシャルツーリングに「自分は参加できないな」という場合にも、189の事を身近な人に教えてあげてください。

一人でも多くの笑顔を救い出しましょう。

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