TIMEWARP RIDERS CLUB

バイクは少年を大人に、大人を少年に還す。

柏秀樹先生のバイクレッスン|安全を引き出せるライダーになるために

コーナーを鮮やかに速く駆け抜けるという憧れ。

ツーリングの距離を延ばす彼方へのロマン。

林道やOFFロードを切り拓くような快感。

バイクの楽しみ方っていろいろありますよね。

しかし、どんなジャンルのバイクを楽しむにせよ、まず志すべきところは「安全かつ快適にバイクを楽しむ」ことではないでしょうか。

「安全」という言葉も何となくあり触れたもの。

それだけに「知っているつもりで」だいぶおろそかにしてきたんじゃないだろか?

筆者はバイクに乗てちょうど30年という節目を迎え、最近富にそう思うようになりました。

そして何となくこれまでの自分とバイクとの関わりを、計りにかけたいような気持にもなり、最近XJR1300Lという教習車に乗り換えたところです。

そんな時に渡りに船?もしくは飛んで火にいる何とやら?

なんと納車からわずか一週間後というタイミングで、2りんかん主催の「弐輪道 柏秀樹のライディングレッスン」に参加させていただくことになりました。

受講して見えてきたのは、日頃多くのライダーが見落としている、基本操作上の重要性。

失敗は発見の母

今回はこれを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。




「安全の引き出し」を増やす低速練習

サーキットで膝を擦りたい人、肘まで擦ってみたい人、いますよね。

でも、今回の柏秀樹先生のレッスンは、歩くほどの極低速から、必要な動作を繰り返し繰り返し練り上げていくスタイルです。

「そんな低速の練習なんて俺には地味すぎてちょっと…」なんていう人もいるかもしれませんね。

筆者はあえてそういう人にこそ、柏秀樹先生のレッスンをお勧めしたいと思います。(受講してつくづくそう思いましたね)

参考元;http://driverstand.com/tenpo/top/event/riding-school/index.html

よくよく考えてみれば、GPライダーが限界域で絶妙にマシンをコントロールしながら鮮やかな走りができるのは、あの速度の中でも 一つ一つの動作を丁寧にこなしてこその結果

実際、マルケスも確実にラインを狙う練習を低速で、しかもじっくり何度もやっているんですよ。

柏先生のレッスンが低速域にこだわるのは、低速だからこそ安全にバイクの動き確認でき、ライダーが余裕をもって必要な動きをマスターできるからです。

公道で、1/1000秒を争う人なんていませんよね。

むしろ様々な交通の中にある公道はサーキット以上に、不意に潜む危険に対して気を抜けない場所であることは間違いありません。

どんな速度域のどんな状況でも、適切なバイクの動きを引き出していける。

そんなライダーになるためのノウハウがマスターできれば、ライディング中の安全性は格段と上がって、やがては公道であれサーキットであれ幅広いスチュエーションに対応できるようになる。

そうは思いませんか?

安全のための引き出しを、極低速の中で増やしていく、それが柏秀樹のライディングレッスンなのです。

柏先生が提唱する「メリット5」とは

柏先生のライディングレッスンの柱となるのが、柏先生が提唱されている「メリット5」。

午前の最初は座学ではまず、安全のためにライダーがいかに「余裕」をキープしていくか、そのために必要な5項目の基本動作を「メリット5」として理論的に学びます。

「メリット5」の内容は…

  1. 車体垂直
  2. アイドリング発進
  3. ピッチングモーション
  4. 呼吸・脱力管理
  5. 広い視野と視線

何のために各項目があるのか、具体的にどんな点に注意して、どんなポイントを確認していくのか?

一生懸命イメージを膨らませながら聞き込んでいかないと、具体的な操作につながっていかないので、耳で聞いて理解していくこのセッションは重要です。

「メリット5」が理解できたところで、柏先生がまず各項目についてのデモンストレーションを示してくれます。

そして、「メリット5」の一つ一つの項目を確認・習得するべく実技に入るという流れですが、ちゃんとここで見本を見せてくれるので、「あるべき姿」が分かって一層イメージしやすくなるんですね。

先生のデモンストレ―ションをみながら、筆者は不覚にも「おっ簡単、これならできるかも」と思ってしまいました。

しかし見るとヤルでは大違い。

その後、情けないほどできない自分を思い知らされることになるのでした。

バイクは極低速こそが難しい

筆者もそうですが、多くのライダーが苦手なまま、何となくやり過ごしているのが極低速域でのバイクの動き。

柏先生のライディングレッスンでは、バイクを動かす上で必要な動作一つ一つを「できているつもり」で終わらせるのではなく、苦手な部分を確認して、それとしっかりと向き合いながら理論的にクリアできるようになるのが特長です。

レッスンンはパイロンを四角に並べたコースで、バイクが不安定になり易い2km/h~30km/hという速度でのバイクの動きを確認することから始まります。

実技は、

  1. 車体垂直を保って、両足を出しながらアクセルを使わずにクラッチのみで2㎞/h前進⇒
  2. そのまま90°方向転換⇒
  3. 25㎞/hまで加速⇒
  4. フロントブレーキの加減で停止目標地点にとまり、足を浮かせてロールバランス⇒

1~4のひとつづつを確認した後、連続動作として統合し、これを繰り返して四角く回るレッスンです。

字に書くと簡単そうですが、やってみるとまぁ難しいこと。

車体垂直で練習するのは…

「二―グリップ」が基本であるわけですが、あえて両足をステップから離して練習します。

これは、左右に振られる動きに対してはライダー自身が重心でロールバランスを取らなくてはいけないことを確認し、対処していくことを目的にしているからです。

左右の振れが加わると、思わず転倒への恐怖心が働き、体が硬直してステアバランスをとるハンドルも異様にぎこちない動きになってしまいます。

ただ車体が垂直でゆっくりなので、もしもの際は足で踏ん張ることができます。

低速で安全であることがわかってくると、だんだんとバイクの動きに集中して身体の動きにも余裕が出て来てくるため、次の動作へのつながりもしっかり確認することができるんですね。

つまり、ここでは車体が垂直状態の時に現れる車体の動きを確認し、身体の動きを柔軟にすることで対応することを習得していきます。

筆者もやってみましたが、やはり最初は緊張から上体に力が入ってガッチガチに。

特に両足を上げての体幹のみのロールバランスは思った以上に難しく、バイクの動きと体の力加減をを習得する良いきっかけになりました。

アイドリング発進は何のため?

2㎞/ℎ という極低速をキープして90°旋回、そして。これを発進をクラッチの強弱のみで調整しながら加速につなげていく。

これは自分のバイクのクラッチをフルに使えるように微調整の感覚を覚えるのがこの課題の目的です。

自分のバイクのクラッチを征すれば、やがてUターンも楽に行え、バンク中のギャップ等も余裕をもって対処ができるようになるというわけです。

筆者の場合、癖でついついアクセルに頼ろうとしたり、クラッチもラフにつないで2km/hを保てずギクシャクしたり…。

自分のバイクなのにクラッチを使い切れていないという事実に愕然としつつ、向上心を新たにしたのでした。

ピッチングモーションって何?

教習所では、主にレバー操作を廃してリアブレーキでバランスを取ったりすることを教えられますよね。

しかしここでは、両足を出しているのでリアブレーキは使えませんし、フロントブレーキをガツンと握れば、転倒も避けられないでしょう。

たかだか25 km/h  からの減速ですが、両足を上げた状態で停止目標にピタッと止まってロールバランス。

そしてクラッチ同様、フロントブレーキを加減しながら重心を前に移していくのがピッチングモーション。

姿勢を制御して安定した制動を引き出す方法を右の手指に感覚として刷り込んでいくわけです。

やはりやってみるとこれも、リアで補正が効かない分、手前で止まってしまったり、オーバーしたり。

果てはバランスを崩してふらついたりということもあって、「正確に車体の動きを掴んで制御する難しさ」を痛感するセッションでした。


「安全運転」のつもりが「漫然運転」?

先生は講義の中で、「考えない運転は『安全運転』ではなく、『漫然運転』」というお話をされたいました。

特に長い時間バイクに乗っていると、「さぁ乗るぞ」という最初の気合のようなものが疲れに替わって、意識もちょっとぼんやりしてることって実はあったりしますよね。

「メリット5」のうちの「呼吸・脱力管理」、「広い視野と視線」はとくに漫然運転を防止するのに役立ちます。

呼吸・脱力管理とは

いついかなる時にもおちついて、バイクから安全な動きを引き出せるようにするには心身のりリラックスが欠かせません。

例えば、建築の現場では、コンクリートに細かい振動を与え続けて固める工法があるそうです。

柏先生は、「バイクに乗っている人間も長い間振動を加えられているわけで、実際に人の体も硬直するのだ」とおっしゃいます。

身体が知らず知らず硬直しているのに気づかず、必要な情報に対する心身の反応が鈍り、安全運転をしているつもりが漫然運転に陥る。

もしもそんな中で不意に緊急回避を余儀なくされたとしたら…。

これを防ぐのが「呼吸・脱力管理」です。

この練習は身体に入ってしまっている余計な力を意識的に抜くために、鼻で息を吸い込みながら肩を上げ、ふっと口からはくというブレスコントロール。

5感をフレッシュに保つにはこれが最適だと言います。

実際に練習を続けていくうち、ついつい没頭していくのですが、「呼吸・脱力管理」を意識的に入れていくと、その都度気持ちと身体が固くなっているのに気づき、

ブレスコントロールの重要性がよくわかりました。

確かにツーリングなどで長い距離を走っている時に「気持ちをフレッシュさ」ってちょっとぼんやりしたものになってますよね。

「走行中のライダーのリセット」、公道では5分ないし5kmごとに一回がおすすめで,効果的ということです。

これは次にバイクに乗ったとき、皆さんも試してみてください。

広い視野と視線

ライディングを長く続けていくと、緊張が続き、自ずと視野は狭くなるものですよね。

そこで上体を起こしてしっかりと前を向き、視野を広く取りながら目標物に目を向けることで、危険認知を早めて対処を早めようというお話です。

筆者の場合はサーキットでの経験になりますが、そのコースに慣れてくると体の力も抜け、コーナリングなどでは顔を上げて視野を広くとれるようになってくるんです。

そうなると気持ちに余裕が出て自由度が増えるため、楽にコーナーをこなせるようになります。

今回も、最初は緊張のために視野も狭くなりがちでしたが、やはり落ち着いてくると少し顔を上げて視野を広げることができるようになり、課題にもゆとりができたのを感じました。

つまり、アップハンドル車にはかなわなくても、スーパースポーツ系のバイクも、意識を楽に持つことで割と視界を多くとることができるわけです。

走りをインテクレートする

練習後半は各セッションごと一つ一つをの動きを確認し、徐々にそれらを「走る」「曲がる」「止まる」という連続動作として統合していきます。

基礎的な動きができてくると、「リーンイン」や「逆操舵」といったバイクの安定をあえて崩しながらバイクにより鋭敏な動きを促していくこともしていきます。

そして終盤にはリヤブレーキをあえてロックさせながらそれまで練習したフロントブレーキ制御と統合してパニックを起こさず、余裕をもって対処するセッションもありました。

一つ一つの課題の中でじっくりとバイクの動きに向き合っていくこともさることながら、それ以上に難しいのは集中と余裕のバランスをメンタル面でキープしていくこと。

つまり、どうしても没頭していくと心身が硬直して視野も狭くなり易くなるんですね。

そうなるとバイクの操作も雑になり、「わかっているはずのこと」が、思うようにできなくなったりします。

簡単に言えばだんだん我を失っていくんですね。

そこで呼吸を整え、力を抜き直すことで、自分とバイクの動きを継続的に管理できるようになるんです。

ライダーが自らをの気持ちの置き所も含めて、バイクの細やかな動きをコントロールしていくわけで、ここで言う「統合」つまりインテクレートするというのは実に奥深いものです。

それだけに完成すればまさに人馬一体、いや人機一体の動きが期待できるわけです。

筆者の場合は「ローマは一日にしてならず」という通り、基本理論は理解したものの、「統合」した動きにはまだまだ遠い道のりを感じました。

 

午後の仕上げはトライカーナ

トライカーナはタイム計測をする形で行われましたが、レースとは違って、タイムの向上が目的ではありません。

正確に一つ一つの動きが綺麗にきまると、 結果として タイムは上がるものです。

つまりいかにパリッとまとまった走りができるかというのがトライカーナをする上でのテーマであり、タイムを目的としないという気持ちの置き所も実はもう一つのテーマと言えるでしょう。

コースは午前の四角く並べたパイロンの感覚を少し狭めて、バイクで言うならちょうど「ダエグ」型?にコースを取って行いました。

参考元:http://driverstand.com/tenpo/top/event/riding-school/index.html

午前で鍛えた細やかな動きを、さらに連続的にまとめてインテクレートしていくのが午後のセッション。

練習中の動きの確認が今一つわからなかった人には、先生が直々にタンデム教習をしてくれます。

「柏秀樹のタンデムは乗っときな~!」と先生自らおっしゃるとおり、頭を抱え、首をひねっていた皆さんもタンデムの後は「なるほどわかりました、そうやればいいんですね」と笑顔で自分のバイクに戻り、その後走りには何かが宿ったように機敏になっていました。

今回、先生の講義を複数回受講しておられるライダーが何人かおられ、中には柏先生主宰のスクールKRSの受講生の方もおいででした。

やっぱり皆さん志も高くて、走りがきれいなんですよね。

初受講の自分とこんなに差が出るなら、また次の機会もと小さく気合をいれた筆者です。

  「楽しく永く楽しむ」そして『生き残る』(まとめ)

バイクはとかく「速いこと=うまいこと」というイメージを持たれがちですね。

やはり先述のように、バイクはどれも安全に楽しく乗れなくてはうまいも下手もありません。

「安全運転をしましょう」というと、「わかってるよ」「そんなの当たり前!」

そういう反応って多いと思います。

こうして記事にまとめてみましたが、やはり「ゆっくり走るのが難しいとかってなんだよそれ?」という方もいるでしょう。

筆者は、サーキットやオフロードコースといったクローズドコースを経験していますが、今回柏先生のレッスンで「大変な忘れ物」があることに気づかされました。

それは一言で言えば「基礎」、今まで知ったかぶりを通して、基礎を非常におろそかにしてきたというのを痛感したんですね。

もし低速域を苦手に思っている方がいらしたら、いえそれ以上に「低速域なんて用はねえぜ」という人にこそ、一度はこうした基礎の練り直し的なレッスンを受けていただきたい。

これが今回主な執筆意図です。

柏秀樹先生はこの弐輪道のほかにもオフロードイベントなど楽しいい講習会がたくさんありますので、ぜひ一度先生のレッスンで「ニガテ」を発見し、しっかりと向きあって克服されてみてはいかがでしょうか。

低速レッスン、きっと目から鱗、棚から本マグロですよ。

今回の「メリット5」を含む練習方法、そのほかにも役立つ情報が、先生のご著書「IQライディング」の中により詳しく解説されています。

まだの方は是非どうぞ。

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コメント

  • 柏秀樹本人です。
    かなり細かく正確にレポートをまとめていらっしゃる。
    私が原稿料を払う?
    なんてね。
    基礎って入門と思いがちだけど、
    プロこそ基礎に何度も立ち返っています。
    正しい基礎認識と練習方法があれば、の話です。

    よろしければみなさん、KRSへおいでください。

  • 恐れ多くも勿体無くも、先生直々にコメントいただきました。
    ♪(v^_^)v
    2りんかんさん主催の「弐輪道ライディングレッスン」は今年度あと二回の開催ですので、お近くでない方は、先生がご主催されているKRSのホームページで、http://www.kashiwars.com/schedule/schedule.php
    をご確認の上、ご参加なさってみてください。
    先生本当にありがとうございます。

    下溝行きたい!
    けど今はなもので…、

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