TIMEWARP RIDERS CLUB

バイクは少年を大人に、大人を少年に還す。

「新しいなつかしさ」ネオレトロバイクXSR700に跨ってみて思ったこと

「ネオレトロ」最近よく耳にするようになった言葉です。

ファッションや建築、色々な分野でかつてあったものの雰囲気を取り入れて、全く新しいものを造るのが流行っているようです。

「新しいけどどこか懐かしい。」

バイクでもヤマハのXSR900の登場以来、ライバル各社からも、各々のビンテージイメージを醸し出すネオレトロバイクを順次発売される見込みです。

10月14日に愛知県のサンビーチ日光川で行われたヤマハのMTシリーズ体験試乗会。

何とそこに、新型のネオレトロバイクXSR700が初展示されるということで、筆者は思い切って東京から取材に行ってきました。

違いは見た目だけにとどまらず


写真はXSR700コンパクトで渋い車体です。

数多くの女性ライダーにも愛され、かなり長いバイク歴を持つ人からも大きな支持を集めるヤマハのMT-07。

MT-09がそうしたように、今回このMT-07にも「ネオレトロ化」が及びました。

一見すると「外装交換?」とも思われがちですが、跨っただけでも結構な違いを感じます。

今回はMT-07にも乗せていただいているので、比較などを交えて紹介していきますね。

まず、跨ってみて感じるのは「腰高感」ですね。

これがXSR700のシート周り。

こちらは同じ角度で撮影したMT-07のシート周りです。

一見してだいぶ雰囲気も違いますが、このあたりにだいぶ変更点があります。

MT-07のシート高は805mm、対してXSR700は835mm。

何と30mmもアップされています。

フレームは共通しているところがほとんどですが、シートフレームだけがXSR700では専用のものだそう。

見た目にもわかる肉厚なシートを支えています。

実はよく見るとハンドルの高さも微妙に違うんですよね。

これによって両車を比べると、まずMT-07ではスーパースポーツほどではないにせよ、尻上がり感のあるシートでややスポーティーなホールド感を感じます。

XSR700はというと、ハンドルポジションもあって、MT-07より少し直立した姿勢になります。

しかし、タンクには膝周りの逃げがあって、スポーティーなホールド感も確保されているように感じます。

エンジン回りは共通のCP-2を搭載。


↑写真はXSR700

乗り味については後述しますが、270°の並列2気筒DOHCで、そのキャラクターはMT-07の性格を「従順」と言わしめるほどやさしくも頼れる特性です

足回りも共通ですが、このXSR700から新規制によりABSが標準化されています。

また、出荷状態ではMT-07のタイヤがミシュランのパイロットロード4であるのに対し、XSR700 ではピレリ―のファントムが同サイズで標準装着されます。

このファントムというタイヤも、それこそビンテージバイクファンに懐かしがられる銘柄。

しかしながら外見上のプロファイルからして、ツーリングタイヤ以上のグリップが期待できそうな感じです。

往年のパターンを恐らく最新の構造のタイヤに刻んだ、つまりタイヤからしてネオレトロという芸の細かさは楽しいですね。

メーターやテールランプなどはデザイン的にXSR900とほぼ共通で、シリーズを印象付けるものとなっています。

パット見だけですと、両車はよく似ているのですが、こうしてじっくり見ていくと、その違いにワクワクしてきませんか?

ヤマハ流ネオレトロ=「スポーツヘリテイジ」

既にヤマハは、いわゆる「ネオレトロ」のラインナップにXSR900というバイクを持っています。

このバイクもかなり幅広い層から熱い支持を受けていますよね。

このXSR900の場合は、全く新しい設計のスポーツバイクMT-09の基本部分にレトロな外観を持たせてデビューしたいわばネオレトロ第一弾ともいうべきバイクです。

単に古めかしいだけでは「ネオ」じゃないということなんですね。

今回のXSR700 はその第二弾。

同じMTシリーズなら250にも?

等と勘ぐってしまいますが、ひとまずヤマハさんとしてはネオレトロのXSRシリーズが完成したということらしいです。

ただ、「あえて」なのかヤマハさんはこのXSRのカテゴリーを「ネオレトロ」としていません。

「スポーツヘリテイジ」

これが同社のカタログ内でのXSRが属するカテゴリーです。

スポーツはわかるけど「ヘリテイジ」って何だよ。

そうですね、「ヘリテイジ」というのは例えば文化遺産とか、その歴史的遺産のようなものを言います。

今回XSRシリーズは新しく700を加え、そのシリーズの幅を広げたところです。

単なる懐古趣味ではない「スポーツ+レトロ」

かつて、尊敬するモータージャーナリストの宮崎敬一郎氏がXSR900とMT-09の両車を比較テストされたネット映像を見たことがあります。

それによると、「コンポーネントを共有しながらも両車のキャラクターははっきり違うもの」といったコメントを確かされていたように思います。

このときは初代MT-09との比較でしたが、XSR900の方がワインディング走行においてのスポーツ性が高いというのです。

電子制御の設定もMT-09よりちょっとシャープな印象でピックアップが良く感じると言います。

さらに、シート高もMT-09の820mmから10mmアップした830mm。

こうしてちょっと腰高になることで、宮崎氏のおっしゃる通り素早いコーナリングはXSR900 の方に軍配が上がるというわけです。

XSRという型をまとったとき、ベースのMTよりスポーツ傾向が強くなる。

レトロな外装からくる印象をちょっと裏切って、「スポーツ」で「ヘリテイジ」という表裏を愉しむシャレが、ヤマハ流のネオレトロだと言えるでしょう。

次の項に入る前にちょっとそこは押さえておいてくださいね。

XSR700の乗り味を占う

今回筆者はXSR700に触れてきたわけですが、残念ながら許されたのは跨ってエンジンをかけるところまで。

でも、この体験試乗会はMTシリーズの試乗がメインだったので、MT-07には体験試乗できました。

ですので、XSR700についての「乗り味」はMT-07の要素から比較した形で予想していきますね。

MT-07で走ってみました。

筆者は身長162㎝、そして一般のXJRよりローダウンされた、重量およそ240kgのXJR1300Lに乗っていて普段なら両足を付けることもできます。

パット乗った第一印象はとにかく軽いこと。

MT-07、メーカー諸元では182㎏。

ただこれはXSR700になると186㎏と、MT-07からすると4㎏の増量になります。

このあたりを感覚として比べますが、やはり腰高とハンドル位置の変更で、その重さの差は全く気になりませんでした。

いずれにしろ普段のXJRの重さを差し置いても、この軽さはかなりなもので、事前に「従順」と聞いていたMT-07、そしてXSR700のキャラクターを早くも予感させます。

足つき性ですが、普段が普段なので805mmのMT-07 でも足の親指の付け根をまげて立っている感じです。

更にXSR700 では835mmと900よりも5mmUP。

つま先的には足の親指の辛うじて腹と中指で支える感じになりますね。

しかし、900がそうであるように、この高さは機敏なコーナリング操作に貢献することが予想されます。

スポーツ性を楽しみにして、ここは慣れに任せるかどうするか…。

※2017年11月18日追記;YSP三鷹産のお話では、20mmダウンのローシートもオプションで選べるとのこと。

これなら大丈夫ですね。

エンジンをかけ、走り出すと単気筒バイクにあるような「グワッ」としたトルク感ではなく、実にシルキーな滑らかさを感じます。

そうかと思うと、ワイドにアクセルを開けたときには「るるるっ!」という歌うような音と共にツインエンジンらしい鼓動感がありました。

それと同時に、車体をグッと前に運んでくれる俊敏な力強いトルクも。

ハンドリングも当然ヤマハのバイクですから、スラロームでも実に素直。

このときのアクセルのオンオフにも、ぴったりとついてきてくれます。

更にスピードを増し、目線と抜重でコーナーにアプローチしていきます。

すると従順でおおらかな、それでいてしっかりとした足回りにほれぼれしてしまいます。

MT-07に乗っていると、段々バイクと会話をしているような気持が起きてくるのが不思議です。

ただ、優しいだけではなくこちらが望めば、バンクをやや深く取ってちょっとワイルドな一面も見せてくれるんですよ。

「バイクの優しさに甘えて何でもできそうな気になって来る」

そういえばMTシリーズ、その意味は「マスターオブトルク」。

なるほど、トラクション、そしてトルクをライダーの手でマスターコントロール(統合操作)できるのがこのクロスプレーンエンジンだと見つけたり。

そうしていくつもの鱗を目から落としながらMT-07の試乗を終えました。

XSR700 ではエンジンがけまでということでしたが、そこで聴いたエンジン音とふけあがりの感じは、MT-07と何ら変わりないものと思います。

XSR900については初代MT-09からエンジンや電子制御にファインチューンが加えられていたというのは、先述の宮崎敬一郎氏のコメントからも解ります。

今回伺ったところによると、XSR700では電子制御系には追加もなく、内燃機的にもアレンジはないということ。

なので、動力的なところはMT-07譲りなところが多いと思います。

逆に言うとMT-07が非常にバランスのいい素性なので、「このバランス感はいじってほしくない」とも、試乗をして感じましたね。

ですが、ライダーの着座位置を上げ、ハンドルでライダーをやや直立させている点が違います。

きっとこのおかげで、ロングツーリングでのゆとりもアップし、なおかつワインディングの切り返しなどもさらに機敏になっているのではないでしょうか?

XSR700、気になる価格は899,640円 [消費%含む]。

これはMT-07(ABS)の760,320円 [消費税含む] に対して、約13万円も高く、ちょっと悩ましいところですね。

MTと共用パーツが多いXSRシリーズですが、恐らくシートフレームの違いがコスト高になっているのかもしれません。

しかし、そうまでして作り込んだ部分でもあるので、この価値はやはり試乗してから感じてもらうしかないかもしれませんね。

 


まとめ

「昔の焼き直し」「素直に旧車買った方がまし」

ネオレトロバイクにはそういう批評が無きにしも非ずです。

でもこのXSR700はまぎれもなく「スポーツヘリテイジ」でした。

新型バイクがでるときって、やっぱり雑誌かネット、つまり2次元情報で知ることになりますよね。

これはだいぶ長い間バイクとかかわっての経験ですが、「うわ~カッコわる~」なんて第一印象の悪かったバイクってやっぱりあります。

でも実物を前にすると、目が覚めるほどカッコよく見えたり。

そんあことってありませんか?

多分それはインクや画面上の色で表現されるバイクより、日照下で見る実際の色の方が鮮やかだったりすることもあるでしょう。

ただやはり、バイクは乗ってなんぼ。

こうした試乗会、あるいは店頭の試乗車があったなら、どんどん乗って比べてるべきです。

ネットに書いといてなんですが、新型車は画面だけでは感じ取れないことだらけですからね。(笑)

2017年12月10日追記

当TIMEWARP RIDERS CLUBでは発売後に店頭試乗車をお借りして試乗記をアップしました。

詳しくはこちらをご覧ください。

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