TIMEWARP RIDERS CLUB

バイクは少年を大人に、大人を少年に還す。

カブに乗って未来へ行こう!ホンダスーパーカブは世界につながる夢の翼

今回の東京もモーターショーではスーパーカブが「新しい」姿を見せてくれました。

EVなど新世代へのシフトが大きなテーマだった東京モーターショー2017.

その中であえてカブを大きく取り扱ったホンダブース。

きっとそこには、大きな大きな意味があるのかもしれません。

筆者は「なぜ今カブなのか?」を掘り下げて考えようと思います。




CUBはやっぱりCUBらしく

ホンダ・スーパーカブ50・110のモデルチェンジは2014年のAA 04/JA10型から3年ぶり。

カブのモデルチェンジはNHKのニュースでも取り上げられ、早くも多くの話題を呼んでいます。

でも、「どこが変わったの?」とその姿を見て言う人も多いでしょうね。

ちょっと見ただけでは四角かったライト周りが、また丸型に戻ったくらいにしか見えないですよね。


↑ 既に先代となったスーパーカブ50・110(写真は110)参照元;https://bike-lineage.org/honda/cub/aa04_ja10.html

冒険を恐れずに言ってしまえば、「カブ」と言われて、ライトが四角くなった直線的なデザインの先代カブのイメージをパっと思い受けべることができる人は少ないかもしれません。

誕生以来の曲線的イメージこそがカブだとも言われ、国民的に親しまれた形に「戻した」ということもできるでしょう。

変わっているところをよく見てみましょう。

参考元;http://www.honda.co.jp/SUPERCUB/personal/equipment/

一見昔のデザインに戻ったように見えるこの丸目のヘッドライトはLED。

実用車として、明るくて寿命の長いLEDの採用はうれしいところですよね。

落ち着いた足回り

角目と呼ばれた先代譲りのテレスコピックサスが、昔ながらのフォルムの中にあるのは目立つところでもあります。

例えば昔はざるそばのざるを何段も重ねて肩に担いで配達するお蕎麦屋さんなんて珍しくない時代でした。

自動遠心クラッチで左手をフリーにしたのが、そんな風に仕事をする人たちへの配慮だったのはあまりにも有名なお話。

さらにこのフロントサスも、左手で何か仕事をしている人の姿勢の変化を極力抑えるためのものでした。

ブレーキをかけたとき、あえてフロントを沈み込ませないようにする構造になっていたんですね。


これ↑はリトルカブのものです。
参考元;http://www.honda.co.jp/LITTLECUB/

このフロントサスに関しては、他のバイクから乗り換えた場合にちょっと慣れを要する感じはありましたね。

恐らくテレスコピック式になったことでフロント周りの重量も軽減されていることでしょうし、より安定感のある走りと走破性が期待できそうです。

燃費番長は健在

かつてリッター150km  4.5馬力を誇ったカブのエンジンも、この新型からはリッター当たり105㎞・3.7馬力へ(110㏄は65㎞/L・8.0馬力)

それでもハイブリットカーならうらやむ数値です。

あえてお上に皮肉を言えば、環境規制のおかげで燃費や効率が犠牲になるというのは、エコに名を借りた規制の横暴だと思います。

しかし、きっと様々な障壁になったであろうリッター100㎞以上の高燃費を、守りぬいたホンダの意地と技術には素直に拍手を送りたいものです。

すっきりしたハンドル・メーター周り

ちょっと地味な変更ですが、メーターもケースと一体感があってかなり見やすくなっていますね。

そしてスイッチ類も同じように、すっきりしたイメージです操作性がよさそうです。



小さなCUBの大きな大きな存在感

カブというバイクは、多くの人が知る通りホンダの原点、ひいては日本のモビリティーの原点をなすものでしょう。

東京モーターショー2017でホンダブースは、4輪と2輪を一か所にまとめたブースになっています。

世界の自動車メーカーがEV化へシフトすることを表明し、2輪メーカーも「バイクの未来」を提示する出展が今までになく大きな位置を占めるモーターショウとなっています。

ホンダも「RIDING ASSIST-e」というロボット技術を応用した自立できるEXバイクや、来年の発売を目指すというEVとハイブリットのPCXを展示しています。

しかしそういう未来への展示よりも遥かに大きなスペースを使って、、今回ホンダはカブの歴史を展示しながら新型となるCUBの展示をしています。

「どんなに時代が変わってもホンダにとってカブは真ん中なんだ」

この小さなカブたちに、大きな存在感を持たせているのは、きっとそういう意味なのでしょう。

カブ・夢・社会

1958年8月、稀代の名車ホンダ・スーパーカブの発売です。

初代となったC100も今回モーターショーに展示されていましたね。

カブ発売当時の日本は高度経済成長の入り口に差し掛かったころ。

「3丁目の夕日」や「ひよっこ」の時代といえば解り易いでしょうか?

戦後不足した都会の労働力を補うため、地方都市から義務教育を終えたばかりの少年少女たちが「金の卵」と呼ばれながら集団就職でやってきた時代でもあります。

いまだに16歳でバイクの免許が取れるのも、当時のなごり。

自動車がまだ高価で特別なものであった時代に、手ごろなモビリティーを欲していた当時の人たちの需要のど真ん中にCUBは誕生したのです。

また、カブのシート高や荷台の高さなど車体寸法は、当時の日本人の平均的な体格をリサーチして作られています。

そんなこだわりの一つ一つに、年齢性別を問わず幅広く人々の可能性を広げようとしたホンダの「夢」が感じられますね。

多くの人々の夢をかなえ、貧しかったこの国を立て直す原動力として、CUBは大いに貢献したと言えるでしょう。


カブ・夢・世界

以来60年、世界の人々に愛され続け、CUBは今年累計販売台数が1億台に達しました。

↑今回コンセプトバイクとして展示された「スーパーカブ110 1億台記念車」

現代のバイクは欧州の規制に合わせて造られ、若干高めなシート高など欧米人の体格を意識した車種も少なくはありません。

これもグローバルといえばグローバル。

しかしカブの世界観は「グローバル」という言葉が貧しく聞こえるほどバカでかいのです。

CUBの開発に先駆けて、本田宗一郎と藤沢武夫専務は欧州へ渡航。

バイクのあるべき姿を探る度に出かけました。

そこで見えてきたのは欧州と日本の国情の差。

これを受けて様々な議論の末、「日本で必要とされるべきバイクの方向性」が導き出されたと言います。

つまりそれは高級な大型車より、誰もが手のうちにできる、使い勝手の良い小型大衆車。

日本を強く意識したモデルでありながら、海外でも変わらぬ人気を誇るカブ。

世界のある国では、バイクの事を「Honda」と呼ぶ国があり、そこには必ずCUBがあるのです。

カブのスタイルは、単に日本を世界の基準に合わせるやり方ではなく、世界で見聞したものから日本であるべきものを足固めして造られた点が特筆的です。

そんなカブが、貧しかった日本がカブで元気になったように、今日もどこかの国々を元気にしている。

恐らく工業製品が達成すべき「グローバル」というのはこういうことなのかもしれませんね。



カブ・夢・未来

例えばスーパーカブ50で言えば卵一つ分くらいの燃焼室しか持っていません。

110㏄にしても大差はないでしょう。

にも関わらず、環境規制はそんなカブにも容赦はありません。

折角インジェクション化で対抗しても触媒を強化するように言われたり…。

ただ、ホンダはそれにめげることなく、実用的なパワーをキープしてカブのカブらしさを守るために、本当に良く頑張ってくれたと思います。

時代は125㏄へ?

しかし、近年は原付二種へシフトしていく傾向が強まり、年々50㏄の需要はが冷え込みが激しくなっているようです。

反対に、30km/h  の速度制限や二段階右折など50㏄ならではの不便さからも解放されるため、反比例するように原付2種の市場は賑わっていますね。

その中での環境対応はさらなるコスト増を産み、カブのみならず50㏄というカテゴリーそのものそのものを存亡を危うくしてしまうでしょう。

「原付2種の免許取得を緩和する方向で調整が進んでいる」

そんな噂もまことしやかになるなか、既に先代からカブのメインは110㏄の原付二種になったともいわれています。

50㏄の代表選手であるカブが原付2種へ移行するとなれば、その動きにも拍車がかかるでしょう。

それを示唆するように、今回モーターショーではコンセプトモデルとしてではありましたが、スーパーカブ125の展示がありました。

キャストホイールは耐久性がありそうですし、横型エンジンの125㏄はかなり期待できそうです。

初代C100のフォルムを受け継いでいますが、フロントにディスクブレーキABS付き。

カブらしいスタイルながら、ちょっと頼もしいガシっとした印象もある125。

どうやら原付のメインが125になるのも時間の問題ということのようです。

実はモンキーも125㏄となって同じステージに展示されていましたからね。

それでもホンダは原-Ⅰをつくる

しかし、それでも50㏄のカブを新型として出したのにも大きな意味があると思います。

例えばそれは近年解消された「3ない運動」。

都市部ではなかなかわからないことですが、交通網が整備されていない地方では、通学のために原付1種は非常に重要な交通手段。

また、初代C100から取り付けられているエンジン回りの「エプロン」と呼ばれる白い樹脂パーツも、女性の乗車を意識したもの。

50㏄ならではのマイルドさというのは、彼ら彼女らにとって大きな味方になるとホンダは考えているのでしょう。

夢と可能性の翼を授けるのがカブの精神とでも言いましょうか、恐らくホンダマークがウイングなのもそういうことなのかもしれませんね。

EVもやっぱりカブ

今回のモーターショーでは、多くのメーカーがEV化を目指し、数々のコンセプトモデルがステージ上に飾られました。

先述のRIDING ASSIST-eもその一つですが、ホンダはこのほかにPCXのハイブリット車とEV車を展示し、来年の発売を目指すと言っています。

こちらがハイブリット、セルモーターを動力にも利用してアシストする仕組みです。
ホンダのスクーターは既に音と振動の少ないセルモーターですから、きっと自然な形でアシストをしてくれるのでしょう。

メットインスペースに2つのリチウムイオンバッテリーを搭載して、航続距離を稼いでいるようです。
スタイリングからも、ガソリン車と同等の走りが期待できそうです。

50㏄から125㏄へのシフトも間近な未来と考えてよいのだと思いますが、今回のモーターショー全体が示唆したように、EV化へのシフトも今後もっと加速していくでしょう。

そのうちの一つがPCXのハイブリット&EV化です。

ご存知の方も多いかもしれませんが、ホンダはカブをEV化することを考えています。

既に2015年のモーターショーに「カブコンセプト」としてそれは出展されました。

 

参照元;http://www.honda.co.jp/design/TMS2015/

当TIMEWARP RIDERS CLUBのこれまでの取材のなかで、ホンダR&Dの上席研究員の方から、カブをEVにして出品した経緯について伺っています。

 

その話を要約すると、次の通り。

 

EVという話が出たとき、「やっぱりウチでEVならカブだろう。」

ということになり、話がまとまるのに時間もかからなかったですね。

ホンダは創業以来「夢」というものを大切に考えているんです。

夢の中に「ありたき姿」を描き、それを具現化するために切磋琢磨するのがホンダなのだと。

例えばEVという新しいことに挑戦するときもそう。

カブは人々の夢をかなえてきた製品。なのでEVという形でその夢を受け継ぐのであれば、「カブこそがそれにふさわしい」と考えました。

 

この言葉にはやはり重みがありますよね。

こうしてホンダに、本田宗一郎氏の「夢」が受け継がれる限り、私たちはかなり先に未来にも、カブのあの丸みのあるフォルムを観ることができそうです。

ドラえもんと一緒にカブに乗るのもアリですよね。

まとめ

ホンダ・スーパーカブといって皆さんは何を思うでしょうか?

身近過ぎて、そういえばその存在を真剣に考えたことがない。

きっと多くの人がそうなのかもしれません。

筆者がカブといって連想するのは、印刷工場を営んでいた父が、タオルをねじり鉢巻きにして紙を満載して走る姿。

思えば、たまにその後ろに乗せてもらったのが、こうしてバイクブログを書いていることにつながっているのかもしれません。

そんな風に、カブは今もどこかで誰かの可能性や世界観を広げながら走っています。

「大衆に喜ばれる手ごろなものは何か」これを出発点に開発されたカブ。

モーターショウ2017のホンダブースでセンターを務める彼らは、未来へと向かうモーターサイクルたちに、「本質を忘れるな」といっているかのようですね。

「実はまだ一度もカブに乗ったことがない。」

案外そういう人も多いかもしれません。

やはり一度カブの乗り味を経験することは、バイクというものの本質を知る上でも、とても有益なことだと思います。

 

チャンスがあれば、ぜひ試しておいてもらいたいですね。



コメントを残す