乗らないなんてもったいない!セローでライテクの引き出しを増やそう

 

2017年の9月30日~10月1日の2日間、朝霧高原イーハトーブの森で、柏秀樹先生主催の『「秀樹とセローであそ部」セローミーティング』が開催されました。

この「朝霧高原イーハトーブの森」は柏先生プロデュースによるトレッキングを中心としたオフロードコース。

ハイレベルな楽しみ方よりも、初心者から上級者まで豊かなオフロードの世界を体験できることを主眼に置いて造られたコースです。

そしてセローもまた、初心者から上級者まで楽しめる間口の広さと愉しみの奥行きが人気のバイク。

今回はセローミーティングでメインとなった柏先生のライディングレッスンの模様を中心にお伝えします。

ですが、セローに限らずオフロードバイク未体験の方に、土の上の楽しさをお伝えできればと思っています。

目次



 「セロー愛」はすべてを超えて

澄み渡る富士のふもとに、たくさんのセローライダーが集まりました。

ナンバーを見てみると、大分・福岡・京都・広島・名古屋・長野…etc。

前日からのキャンプも可能というロケーション。

大きな荷物をセローに背負わせて遠征するライダーも数多く見受けられましたよ。

中には他車を臨時にセローにする人々まで…。(笑)

前々から筆者はオフロードって女性率高いと思っていましたが、このセローミーティングもやはり女性の参加は他のバイクイベントより多かったように思います。

また、オフロード歴うん十年というベテランさんもおいでになっていましたが、オフロードコースでセローを走らせたことがない人も少なくないようでした。

それだけに、セローという車種がいかに間口が広くフレンドリーで、奥深い車種なのかを改めて感じました。

きっとそれが、多くの人々がセローを長く愛している理由なんでしょうね。

セローでもっと安全に「カモシカ」しよう

今回のメインは柏秀樹先生によるライディングレッスン。

特に今回はオフロードを走ったことにない方も含めて、基礎的な考え方や練習の方法を学ぶことに主眼が置かれたレッスン。

集まったセロー乗りの皆さんは、セローをより「カモシカ」らしく走らせようと真剣なまなざし。

今回のレッスンのはじめに、柏先生はこうおっしゃっていました。

「例えばご飯はどんなふうに食べても食べられるよね。

けど、ちゃんとしたお作法で食べた方がキレイだし、味わい深くなるものでしょ。

それにお作法にも理由があって、姿勢よく食べるというのは消化にもいいわけですよ。

ライディングも同じで、とりあえず バイクを走らせるのは誰にでもできる。

でも、ちゃんと理屈を理解してバイクの性能を引き出せるように乗るためには、やっぱり学ぶことが大事なんですね。

基本を徹底して理解し、繊細さの幅を広げることでオン・オフ問わずライダーは安全にテクニックを上げることができる。

基礎がしっかりしていれば、例えどんなバイクだろうと、何歳だろうと末永くバイクを楽しめるんですよ!」

柏先生はモーターサイクルジャーナリストとして40年以上活動され、白バイ隊はじめ「バイクを指導する人」を指導されてこられたライテク界の大御所であらせられます。

それだけに、本質を分かりやすく説明されるところも、やはり流石だと思いました。

レッスンの中身は、先生が著しになった「柏秀樹のIQライディング」というご著書を実践しながら体感していく内容になっています。

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この本の柱となっているのは「メリット5」という考え方。

これは…。

  1. 車体垂直
  2. アイドリング発進
  3. ピッチングモーション
  4. 呼吸・脱力管理
  5. 広い視野・視線

という5つのポイントを押さえることでバイクから一掃の楽しさを安全に引き出す練習方法。

具体的には、意外と見落とされがちな低速時に要求される微細な操作を磨き直し、バイクの動きを阻害しない姿勢をつくることで「曲がる・止まる・走る」というバイクの基本をまとめ上げていく、目からうろこのレッスンなんです。

安全に楽しむためには欠かすことのできない「心の余裕」をどう作っていくか、そういう深い部分までのレッスンなんですね。

今回はセローミーティングなので、ほぼ全員がセロー。

年式の違いはありますが、いずれにしても今回の練習課題には最適な車種と言えます。

練習序盤は極低速で、上半身の力をユルユルに抜力してロールバランスで車体の垂直を保つ練習から始まります。

ステップから足を離して、アクセル操作はせずにクラッチを徐々にリリースするというアイドリング発進。

書くのは簡単ですがやってみるとなんとも難しい!

ただこの時点で多くの受講者がついつい力んでしまい、バイクの動きとかみ合わずに失敗することも暫し。

でもこの失敗も学習のうち。

一生懸命になると、ついつい力が入って視野も段々狭まって来るのをこの時点で体感していきます。

柏先生のレスンの肝はリラックスして体の力を抜いて心身の余裕を多く持つこと、つまりこれが脱力管理です。

(隙の無いダジャレもこのためらしい…)

クラッチを切ってターン。

これは体に余計な力が入って気持ちもこわばってしまうと、きれいに回りません。

呼吸を整え、身体全体をゆったりと使いながらセローのハンドル可動角51°目いっぱいを使ったフルロックターン!

(決まると気持ちいいんですよこれが…。)


柏先生の模範演技、視線を行き先に送りつつ脱力、肩も行き先に向けることで状態にゆとりを作っていますね。
バイクの動きを阻害しないキレイな動きになっているのが解りますか?(笑顔でできるくらいが大事らしいです)

こうして意識的に「力み」を和らげるため、乗車中の呼吸法や身体への意識の向け方も学んでいくんですね。

レッスンは一つ一つ応用を重ねる形で進み、合わせ技で難易度が上がっていきます。

中盤にむけ、バイクの動きを捉えながらフロントブレーキだけで徐々にブレーキングを行い、姿勢を崩さないように止まる練習に移ります。

更に応用を加え、中盤はリアブレーキをあえてロックさせつつも、フロントブレーキを徐々にかけていくことで安定を保つ方法も学びます。


リアロックで起きる挙動を覚えながら制動。
フロントブレーキと体幹姿勢で
車体をコントロールしていく練習。
(簡単そうですが、バイクの挙動を把握する繊細さが求められ、難しいんですよこれが…)

そして姿勢よく止まれるようになったところで、加速後にはステップに足をかけたまま停車、そのまま足をつかずに停止した状態からのアイドリング発進。

と、こうして複合的な動作を連続動作として自然な形にまとめていく練習が続きます。

練習が進むにつれ、「最終的には気持ちの余裕をも管理することが視野と身体がの硬直を防ぎ、危険回避の遅れを防ぐ」ということを体感を通して習得できるんですね。

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土の上だから理解も深い!

筆者が柏先生の手ほどきを受けるのは、今回が2回目。

前回は味の素スタジアムの駐車場をつかった舗装路面でのライディングスクールでした。(その様子は別の記事として既にアップさせていただいています。)

実は今回のオフロードレッスン、舗装路でのレッスンと基本的な内容は同じだったんです。

「基本はどんなバイクでも一緒」それがよくわかりました。

でもですね、「どうせ同じレッスンを受けるなら、土の上で受けた方が絶対に良い!」というのが筆者の正直な感想です。

全編にわたって柏先生のレッスンでは、バイクの動きを感じ取ることが大切になってきます。

オフ車は元々サスの動きが大きく、さらにセローはクラスの中でも比較的足つき性もよく、自由度が高い車種。

車体の動きをとらえやすく、低速の粘りが強いので、かなりバイクに助けれれる部分はあったと思います。

なので、このレッスンの内容をセローで受けられてよかったなぁと率直に思いましたし、同時にセローのフレンドリーさにも驚きました。

力を抜いたゆとりのある状態をつくることで、ライダーの情報吸収力を上げ、刻々と変化する状況の中でもバイクから安全に性能を引き出せるようにしていくのが柏先生のレッスン。

分かっちゃいるんですが、ついつい要らない力が入ってしまったり、焦りにつられて微細な動作がちょいちょいできないことがあるんですよね。

とにかく練習ですから失敗というのはあるものです。

舗装路の時も似たようなことがあったのですが、まずあの堅い舗装路に対して「コケるかも」と思うのと、土の上での「コケるかも」はやっぱり違うものです。

その点から、土の上の方が遠慮なく練習できるんです。

筆者が今回、土の上で一番気づいたのは、それまで舗装路の上では気付かない「路面に頼れない難しさ」でした。

全編にわたって微細な操作を練習するのですが、土の上だと、一定ではない路面の要求に合わせていく必要があるので、自ずと習得できる内容が豊かになるんですね。

そのせいだと思いますが、今回のレッスンの後、オンロードバイクに乗りかえていつもの道を走ってみると、それまでとは比べ物にならないほど楽に運転できました。

これは驚きでしたね。

つまり、絶えず変化する未整地に対応してバイクを走らせる微細な感覚は、安定した舗装路面でのとてつもなく大きなゆとりと安心につながることを実感したんです。

「ライディング上の引き出しが多くなったのかな?」

これは、まだオフ車に乗ったことの無い多くの方に体験していただきたい「実感」です。

もっともっとセローの時代へ

初心者から経年ライダーまで、こうしてフレンドリーに付き合ってくれるヤマハ・セロー250。

残念なことに、2017年8月31日に環境対応基準が一層厳しくなったことで、多くの車種と一緒に製造が打ち切られてしまいました。

当然セローを惜しむ声は強く、筆者の予想では恐らく今年のモーターショウには次期モデルがお目見えするものと予想しています。

ヤマハも登場時期などは明らかにしていませんが、既に次期セローをスタンバイしていることを公言していますね。

今回のセローミーティングでは、ヤマハMC本部 第2事業部主幹としてセローの開発に長くかかわってこられた牧野 浩さんによるトークショーも行われました。

トークショーの中では、セローの開発と発展過程の貴重なお話しを聞くことができました。

柏先生の「今度出るという次期セローはスタイリングが、……に期待しましょう」という言葉に、会場が一瞬かたずを飲んだのは内緒にしておきますね。(笑)

(王様の耳はロバの耳、先生の喉元にカモシカの脚? 言っちゃってもファンなら誰も怒りませんよ…)


左が牧野さん、温かく朗らかで、強さも感じる素敵な方でした。

現在は(株)プロトの商品部長をお勤めの牧野さん。

2016年末で定年退職なさるまで、ヤマハ発動機で商品開発をされた方で、V-maxからMTシリーズまで幅広く関わってこられています。

なんと今回は前日八ヶ岳で行われたMTミーティングから直接、セローに乗って前日からのご登場でした。

(ご自分たちで造ってきたバイクに乗るって、どんなに気分がいいんでしょう?)

筆者も前夜に直接いろいろとお話をさせていただきました。

例えば、セローの始動をキックからセルに変えたり、ライトを明るいものに変更したり。

こうした何気ない変更も大変だったそうです。

セローの持ち味である軽量な車体や軽妙なハンドリングを大切にしたいという開発スタッフとの間で、その両立に向けた議論が続いたそうですよ。

セローが長く愛されてきたことも、MTシリーズも同じように幅広いユーザーに支持されているのも、ファンファーストにプロジェクトをリードしてこられた牧野さんのおかげ。

次期セローについてはさすがに教えてもらえませんでしたが、次期セロ―の世界はもっともっと深まっていくのは間違いないようです。

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まとめ

セローは本当に親しみやすいバイクで、若い人の中にも「いつか乗りたい」という人が多い車種だと思います。

ただ、セローに限らず「オフロード走行を愉しみたい」と言っても、何からどう始めればいいかわからないというのは良くある話ですよね。

そんな時に今回のようなオフ走行で基礎を学べるスクールの役割は非常に大きいと言えます。

柏秀樹先生も、こうした「オフロード練習」のできるスクールをいろいろと開催されています。

詳しくは稿末のURLをご覧ください。

文中で特にご紹介していますのは、オフロード走行にはバイクの運転の基礎を奥深くする要素がいっぱいだということ。

いっそのこと「教習所はみんなオフロードコースにしちゃえばいいのに」と思うくらいです。(笑)

今回はレッスンの終わり間際に、筆者も丸太で段差を作った緩い坂を上ることもしたんです。

下から見上げると結構急な斜面で怖いんですが、教わった通りアクセルを一定にしてクラッチを微細に操作、体幹でバランスを取って…。

『できたっ!っていうか、できちゃったスゲー!!』

豚がカモシカになった瞬間でした。

とにかく病みつきになりそうなこの嬉しさは、オフ車で基礎を確かめ直した末の結果。

嬉しいもんですよ。

今回の朝霧高原もそうでしたが、最近ではレンタルバイクや装具を若干用意しているオフロードコースも増えてきました。

オフ走行未体験の方、ぜひ体感してみていただききたいですね。

次期セローのスタイリングに期待を寄せながら、本稿を閉じたいと思います。(フフフ)

 

2017年10月11日加筆

今回のセローミーティングの会場となった朝霧高原イーハトーブの森では、毎月(1・2月以外)第一水曜日に、オフワールドの体験と今回のようなオフ走行初級講座が受けられる「一水青空会(いっすいあおぞらかい)」が開催されています。

若干ですが予約優先でレンタルのオフ車(たぶんセロー)を利用することができます。

詳しくはhttp://www.kashiwars.com/lecture/offroad.php (柏先生のKRSオフィシャルサイト)から、お問い合わせ願います。

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柏先生のライディングスクールKRSについてはこちら http://www.kashiwars.com/

今回の会場となった朝霧高原イーハトーブの森はこちら http://asagiri-ihatove.jp/

どんどん走ろう土の上!

SPECIAL THANKS

柏 秀樹先生

イーハトーブの森のみなさん

牧野 浩さん

セローミーティングにご参加の皆様

セロー中心の有名ブログ「SEROWでお散歩」

ありがとうございました。

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