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車載工具でトラブル脱出!バイクのエンジン応急対処と事前整備の方法

エンジンが動かなくなった時、あなたはどうしますか?

例えばそれがツーリング先だったりしたら、何としてでも正常な旅程に戻りたいじゃないですか。

その先あなたにはどこまで落ち着いて対処できるかが求めらてくるのです。

今回は車載工具でできる範囲のエンジンの応急トラブルシューティングの方法や、事前点検のポイント等について紹介していきます。




とりあえずは小6理科並みの知識でOK

「メカは苦手で…」なんてそう小難しく考えることはありません。

手始めに「エンジン」を「内燃機」って言い直してみると、グッと解り易くなりますよ。

必要な知識は小学校6年生の理科で習う「ろうそくの燃焼」。

これを思い出して応用できればほとんどのトラブルは解決です。

そうです。あのガラス瓶にローソク入れて、「ふたをすると消えちゃうのはなぜですか?」ってあれです。
おさらいすると…

  1. まず燃料点火する。
  2. 更に外気(酸素)を取り込んで酸化現象を起こす(つまり燃焼させる)
  3. 酸化して出る二酸化炭素(排気ガス)を外に出してあげないと炎は消えてしまう。

でしたよね。

燃焼の原理に忠実になる

エンジンは『内燃機』ですから、エンジンの中で燃料であるガソリンを中で燃やしている(実際には爆発させる)わけです。

形と燃料、そして排気ガスの成分が多少違うくらいで、燃焼にかかわる条件はこのろうそくの実験とほぼ一緒なんです。

なので、「エンジンの調子がいまいち」というときは「慌てずに燃焼の原理に忠実に単純化して考えれば、恐るに足りません。

エンジン点検手順

例えば今まさにあなたはツーリングの真っ最中にエンジンが止まって大弱りの真最中だったとしましょう。

でもまず落ち着いて、先ほど思い出していただいた理科の実験、赤い字にした単語を一つ一つ順に思い出していけば大丈夫。

  1. 「燃料」
  2. 「外気(酸素)」
  3. 「点火」
  4. 「排気」
    まずこの4つ。

これがエンジン(内燃機関)の中では下のような形で行われます。

参考元;http://image.itmedia.co.jp/mn/articles/0807/24/ay_carele05_fig01.gif
上の図は免許を取るための教則本で一度は目にしたのではないかと思います。

  1. 燃料をガス化して外気と混ぜた「混合気」が吸入され、
  2. 圧縮された後、
  3. 点火され
  4. 排気される

という工程が内燃機関での「燃焼」です。

この中で「燃料が燃焼して排気される条件を何が阻害しているのか?」、もっと言えば「なんで燃えないのか?」ここを探ります。

できるだけ単純化して考えるのがミソですね。

※点検を始める前にココは気を付けて!

点検後に組みあがっていざ乗り出して見たら、まさかのエンジンストップ。

その原因が「燃料コックが閉まってた・リザーブの切り替えをし忘れた・燃料パイプつながってないよ」なんてありがちな凡ミスだったりも少なくありません。

この原因の多くは点検終了時の確認不足によるものが多いです。

バイクの点検はたいていタンクを外して行うことになると思います。

このとき、タンクについている燃料パイプや燃料ポンプの電源コネクターなどを抜くことになりますよね。

点検が終わってタンクを戻すとき、先述のような燃料系の凡ミスが発生しがちなんです。

最後の凡ミスを防ぐには、何がどう組みつけられていたかを覚えおくのが肝心なので、作業開始時に写メを取っておくといいでしょう。

燃料系の点検

まずは燃料系についてですが、ものが燃えるにはまず燃料が要りますよね、なので燃料の流路に障害が起きていないかを確認します。

燃料系もいろいろ

燃料タンクから吸気装置(インジェクションもしくはキャブレター)を通って燃焼室に続く「燃料の通り道」に断線や亀裂などの障害がないかどうかを見ていくことになります。

ただ、バイクによってタンクから燃料を出す仕組みに違いがあるのでいくつか知っておいてください。

原付とか小さいバイクに多いですが、単純にタンクから燃料を落としているバイクがあります。

この場合は比較的に単純なので点検も目で燃料パイプを追ってつながってるか、ヒビなどが入ってないか見るだけで大丈夫です。

そうやって自然に燃料を落とし込むのではなく、エンジンの吸気を使ってタンクから吸い込ませているバイクもあります。

こういうバイクには、左側の写真にあるような燃料の吸入を助けるパイプ(負圧パイプ)があるんですが、これが外れていたり、折り曲げてふさがっていたりすると燃料をちゃんと送ってくれなくなるので注意です。

この辺を見落とさないようにするといいでしょう。

また最近のバイクは電子化が進んでいるので、燃料を電動ポンプで圧送している場合が多いです。

参考元;https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2002/0918/majesty.html

上はインジェクションの一例ですが、数多くの電子部品をコンピューターで制御しているのがお分かりいただけると思います。

点検では各パイプ類が正しく配線されているか目で追うという基本に加えて、電動ポンプの電源コネクターの付け忘れや断線、あるいは後述しますが電気系で燃料ポンプのヒューズが切れていないかも診ていく必要があります。

特に燃料タンク周りのコネクターの接続チェックは凡ミス多発地帯なので要注意ですね。

点火系の点検

燃料が正しく吸気装置につながっていれば、燃料に火を付けている部分、つまりバイクでは点火プラグについてみていくことになります。

点火プラグをザックリおさらい

スパークプラグの点検ポイントはザックリいうと

  • 点火プラグにちゃんと電気が送らていているか
  • プラグの着火部が汚れたり劣化して障害になっていないか?

という2点です。

プラグはたいていエンジンの上部にあって、

このようなプラグレンチを使って抜き取ることができます。

※プラグを抜く前にプラグの周りの砂やホコリを布などで除去してから行ってください。
ゴミや異物が燃焼室に入らないように細心の注意が必要です。

参考元;http://www.ngk-sparkplugs.jp/products/sparkplugs/basic/01_03.html

基本的なプラグの構造はこうですが、全部でなくても、「ガスケット」などある程度点検すべき部分の名称は覚えておくとよいでしょう。

プラグはエンジンのバロメーター

プラグはエンジンのバロメーターともなり、燃焼状態が良好かどうかを判断するができます。

燃焼に最適な燃料ガスと空気のバランスがによって燃焼状態が変わるため、プラグは図のように先端の色が変化するんです。

参考元;http://minkara.carview.co.jp/userid/938182/car/770589/2275225/3/note.aspx#title
プラグの焼け色はこの表で言うと、「こんがりきつね色」であることがベストです。

プラグに電気が来てるかな?

圧縮を確認したら今度はプラグに通電して、しっかり火花が出るかどうかを確認します。

プラグを直接握ったりすると感電の恐れがありますので、プラグを握らずにフレームなどの金属部に接触させた上でスターターなどでエンジンを回します。

参考元;http://4-mini.net/blog/blog/2015/11/28/sparkplugs/

↑こんな感じで車体の金属部にプラグを接触した形にします。

参考元;http://4-mini.net/blog/blog/2015/11/28/sparkplugs/
プラグの先端から「ビビッ」と青い火花が出ていれば通電確認はOKです。

プラグの飛びが怪しいとき

先ほどの方法で青い火花の飛びが弱かったり、飛ばなかった場合には、プラグの先端が黒くすすけたり、湿ったりして電極に障害を起こしている場合があります。

こうした場合、できれば写真のようなワイヤーブラシでプラグ先端の電極をこすって銀色の金属面が見えるようにしてやると応急的に始動できたりします。

また普段はできるだけやらない方がいいですが、ワイヤーブラシがない場合、車載工具のマイナスドライバーで電極面をこすってやるのも手です。

ツーリング時には車載工具にワイヤーブラシを加えておくといいでしょうね。

ただこれらはあくまで応急なので、早目にプラグを交換しましょう!

軽症ならそれでツーリング続行となるのですが、プラグを黒くしている根本原因をやっつけないと同じ症状が再発する恐れがあります。

というわけで、プラグの色から判断して車載工具でもできる措置と事前処置も幾つか紹介しますね。

プラグが湿って黒かったら

プラグの先端は黒く湿った状態になるのは、外気をうまく取り込めていなかったり、吸入器のガソリンの吐出量が多すぎたりすると燃料過多になり、空気がうまく取り込めていないか燃料が多すぎるのが原因です。最初に疑うべきは空気を取り込むところについている「エアクリーナー」ということになります。

「エアクリ」とプラグはセットで点検

エンジンに取り込んでいる空気に異物の混入を防いでいるのが「エアクリーナー」です。

プラグが湿って黒ずんでいる場合はエアクリーナーの汚れや目詰まりが考えられます。

なのでエアクリーナーを点検し、必要があればメーカーが指定する方法で洗浄又は交換してください。
(※エアクリーナーには「湿式」と「乾式」があるので、わからないときはショップに訊きましょう。)


ちなみに上の写真がそのエアフィルター(SRX400の場合)です。

左の新品状態からだいぶ汚れるものだというのがお分かりいただけますよね?

基本的に空気の通り道を確保することが絶対条件ですから、汚れたエアクリーナーは燃焼の敵なのです。エアクリーナーとセットで交換することをお勧めします。

これがスパークプラグで、右が新品で左が約3,000㎞使用したものです。

プラグは使っていると、やがてすすけてカーボンが堆積し、白い碍子の先にある電極の大きさが減退していきます。

こうしたプラグやエアクリーナはいわゆる消耗部品です。

異常がある場合だけでなく、何キロあるいは何カ月ごとの交換が望ましいかなどをショップに聞いておく等、平素からの点検で消耗具合を把握して、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。

 プラグの先が白かったら

またプラグの焼け色が白っぽくなっていたら、燃料より酸素の供給過多という状況を表します。

これには、バイクが「エンジンに取り込まれる酸素の量が多い」と言っているわけで、詳しい調整が必要です。

今回は車載工具で簡単にできる範囲のことをお伝えしているので、吸気系に手を加えていないのであれば、ショップに相談した方がいいでしょう。

そしてまた、吸気系をカスタムしているのであれば、その設定を見直すことが必要ですね。

コンピューターの異常も一因?

最近のバイクはバイク内のコンピューターが最適な燃焼状態を作り出すように常にコントロールしています。

カスタムなどで改造していないし、エアクリーナもきれい。そういう場合はコンピューターの不調が考えられます。

※写真はSRXです。

これも電気系にかかわることですが、ひとまずマフラーやエアボックスについているコネクター類で外れたり断線しているものがないか、あるいはそれらのヒューズが飛んでいないか?

それらを目で見ながら確認しましょう。先述しましたが、電子燃料噴射装置(インジェクション)が付いた最近のバイクではこうして燃焼一つとっても、電気系統が深くかかわっている場合がありますので配線の結線状態、ヒューズ類のチェックをしてみましょう。

イグニッション関連のヒューズが飛んでいる場合、バッテリーが原因であることも少なくありません。

バッテリーが古かったりすると点火系だけでなく様々なしかも目に見えづらいトラブルを引き起こすので、事前によく点検しておきましょう。

ちなみに関連記事をこちらにご用意しましたのでご参照ください。

圧縮の確認

ローソクの実験とココだけ違うんですが、内燃機関には先ほどの図のように、「燃料を圧縮させる」という工程が含まれます。

エンジンがパワーを得ながら健全に回るためには重要な工程です。

プラグを抜き取った穴に指をあててスターターやキックでエンジンを少し回すと、通常は「プシュ」と音がして指をポコポコとはじき返してくるはずです。

あくまで今回は車載工具でできる範囲で診断を想定していますから、プラグ周りの応急的な圧縮の診断として紹介しています。

この点検でプラグが緩んでいるのが解る場合もありますから、初めから手で回せたりすれば疑わしいですね。

また、閉めすぎることも圧縮に異常をきたす原因になるので、プラグについている金属のガスケットがつぶれていればそれも疑わしいところです。

プラグの閉めすぎを車載工具で防ぐには、プラグを外すときにプラグレンチを何週させて外したかを最初に覚えておくことでおおよそ防ぐことができます。

もし、プラグのカシメ部のガスケットが平べったくつぶれていたら、応急的に使えてもこれはあとで忘れずに交換しましょう。

詳しい圧縮チェックはやはりショップで

圧縮異常の原因が多走行車など、エンジンそのものの劣化である場合もあります。

そうした場合は正確な計測は専用の工具や知識が必要で、エンジンを分解しなくてはいけないケースも多いので、無理に手を付けないようにしましょう。

また、走っていて「パンっ!」という大きな音がしてそれきりエンジンがかからなくなるということがバイクの使用状態によって稀起こります。

これは燃焼室が異常高温になってプラグの先端が溶解して弾丸のようになり、それが超高速・高温で上下するピストンに穴を開けて正常に圧縮できなくなったもので、指で確かめても指に全く抵抗感がなくピストンが軽い感じで上下しているような状態になります。

正常なバイクではまず起こらないことですが、キャブレターやインジェクションの設定を極端にいじっている場合や、吸気系の設定を正しく行わずにマフラーを改造しているバイクに負荷をかけると起こりやすい現象です。

こうなったときはかなり重症なので、ショップに持ち込むより術がありません。

また、吸排気系の変更には正しい知識が欠かせません。

吸排気系の「単なる見た目チューン」は故障や事故の条件を整えてしまうのでやめましょう。

排気系の点検

プラグが詰まるもう一つの原因としてはマフラーやチャンバー、サイレンサーなどが詰まってしまっている可能性があります。

昔々のバイクであれば「マフラーが詰まる」というのもない話ではありません。

今のバイクで触媒の出来がよっぽど悪いものでなければ排気管が詰まるということもないでしょう。

ただ、カスタムなどでマフラーにグラスウールを詰めている場合などは劣化に注意が必要ですから、その辺りは自己責任でしっか管理していきましょう。

裏を返せばプラグ(燃焼状態のチェック)の点検一つで、ここまで広範囲な障害の診断ができるということです。

最初はいろいろ疑って原因を一つに特定していくのは難しいとは思いますが、いろいろ経験するうちに原因特定は早くなっていくものと思います。

まとめ

さていかがでしょうか。

今回はエンジン関連について、初めての人でもなるべく車載工具でできる範囲の「点検の仕方やポイント」を紹介してみました。

「どうやってものに火が付くんだっけ?」これを思い出しながら単純に分解して考えることで、今の症状の原因を突き止めるヒントになります。

また、文中にもありますが、エンジンの燃焼にかかわる消耗品は特に普段からの点検をマメにして、「前に取り換えてからどれくらい経つのか?」これは最低限覚えたり記録しておくなどして、しっかりご自分で管理されるのがいいでしょう。

応急的なことも申し上げましたが、適当にいじってしまうとやはり壊してしまいます。

何か初めての作業をしようと思ったら、初めのうちはショップのメカさんに「自分でこんなことをしようと思うけどどうするか?」とアドバイスを求めるのもいいでしょう。

知恵袋に投げると大概なことを言う人もいますから、ちゃんとメカさんに対面でお聞きになることをお勧めします。

親切なショップであれば「これはやめといた方がいい」とか「やってみてわかんなくなったら持っておいで」と言ってくれるはずです。

最初は点検整備もとっつきにくいものですが、自分で点検できるようになるというのは、「トラブルに強くなる」ということです。

是非回を重ねて経験値を上げていっていただけたらと思います。

知識は持ってても邪魔になりませんし、きっと役に立つはずです。



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